Epic Games Launcherが刷新、Steamより起動46%速く・Linux初対応
5.47秒。
新しいEpic Games Launcherがストア画面を開くまでにかかった時間です。
従来からの対抗馬であるSteamの10.07秒と比べると、46%速いとEpic Gamesは説明しています。
現地時間2026年10月14日、Epic Gamesはこのランチャーのプレビュー版を公開しました。
PCで複数のストアを使い分けている読者にとって、起動のもたつきは地味にストレスになっていた部分ではないでしょうか。
今回はこの刷新の中身と、合わせて初めて対応したLinuxの扱いを確認しました。
先に結論をまとめると:
– 新Epic Games Launcherのプレビュー版は現地時間10月14日に公開され、ストアの起動が最大46%速く、ライブラリの表示も最大30倍速くなった
– Windows・macOSに加え、Ubuntu 22.04 LTS以降・Fedora 43以降・Debian 12以降のLinuxに初めて対応した
– 開発はAIにコードを書かせる「vibe coding」という手法で行われ、Fortnite向けのEasy Anti-Cheat(不正対策ソフト)もLinux版の再構築が進んでいる
何が起きたのか
Epic Games Storeを運営するEpic Gamesが公開したのは、ランチャーそのものを一から作り直した「プレビュー版」です。
現行版と並行して動作するため、試すだけなら今のランチャーを消す必要はありません。
公式発表によれば、速さは単純な見た目の変化ではなく数字で示されています。
ストア画面を開くまでのコールドスタートは5.47秒で、Steamの10.07秒より46%速いとされました。
バックグラウンドからライブラリを呼び出す動作も0.36秒で、Steamの0.42秒より短いという比較が示されています。
ライブラリの表示自体は、従来版と比べて最大30倍速くなったとも説明されました。
ダウンロードは公式サイトのlauncher.epicgames.comから可能です。
ただ、この数字だけでは「なぜこのタイミングで作り直したのか」「本当に実用レベルなのか」までは分かりません。
ここからは一次情報を確かめながら、刷新の背景を掘っていきます。
調べて分かったこと
なぜLinuxに初めて対応したのか
今回のプレビュー版で最も大きな変化は、WindowsとmacOSに加えてLinuxにも対応した点です。
対象はUbuntu 22.04 LTS以降・Fedora 43以降・Debian 12以降で、Epic Gamesは各ディストリビューションの開発者と協力しながら対応範囲を広げていく方針を示しています。
Linux対応が長年難しかった最大の理由は、人気タイトル『フォートナイト』向けの不正対策ソフト「Easy Anti-Cheat」でした。
チート対策の仕組みはOSの深い部分に関わるため、Linux向けに作り直す必要があり、Epic Gamesは現在この再構築を進めています。
報道によれば、まずは実際の環境でテストしながら調整していく段階で、フォートナイトのLinux対応はこれから段階的に進む見込みです。
なお、Steam Deckに使われているSteamOSについては、現時点で必要な機能を満たしていないとされ、Valveとの協議が続いているようです。
「vibe coding」とはどういう開発手法なのか
もう一つの注目点は、開発そのものの進め方です。
Epic Gamesは公式発表で「プログラミングは大変だ。
だから、代わりに新しいEpic Games Launcherをvibe codingした」という趣旨の説明をしています。
vibe coding(バイブコーディング)とは、AIに自然言語で指示を出しながらコードを生成させ、エンジニアが細部まで手で書く作業を減らす開発スタイルを指す言葉です。
既存の機能を参考にしつつ、新しい技術基盤で一から書き直したとされ、Epic Games自身はプレビュー版を「速さを求めたスピードボートであり、まだ豪華なヨットではない」と位置づけています。
プレビュー版は今すぐ誰でも使うべきなのか
速さばかりが注目されますが、プレビュー版には制限も残っています。
ソーシャル機能やアカウント管理の一部オプションがまだ欠けており、ソーシャルメニューを閉じたりサイズを変えたりできない不具合も報告されています。
Epic Games自身も、Unreal Engineで開発している人や、FortniteとRocket Leagueを競技目的で遊んでいるプレイヤーには、しばらく従来版を使い続けるよう勧めています。
機能がすべて揃うまでは、速さと引き換えに細部の使いやすさが犠牲になっている状態だと捉えるのが実態に近いでしょう。
Shiritomo GAME編集部の考察
PCゲームの配信プラットフォーム競争という視点で見ると、今回の刷新はSteamを正面から意識した数字の出し方が目につきます。
起動速度を名指しで比較する発表は珍しく、長年「重い」という印象を持たれがちだったEpic Games Storeが、使い勝手の面でSteamに挑もうとしている姿勢がうかがえます。
Linux対応にも別の意味があります。
Steam Deckの登場以降、Linux環境でゲームを楽しむ人が増えた一方、Fortniteのような大型タイトルがこれまでLinuxで動かなかったのは、不正対策ソフトの制約が大きな壁でした。
Easy Anti-Cheatの再構築が実際に進めば、同じ制約を抱える他のマルチプレイゲームにも道が開く可能性があります。
もう一つ注目したいのは、ランチャーという基盤ソフトをvibe codingで作り直したという選択です。
周辺ツールの開発がAI主導に置き換わっていく流れは、今後ほかのゲーム企業にも広がっていくかもしれません。
ただしEpic Games自身が一部機能の欠落や不具合を認めている通り、速さと安定性を両立できるかどうかは、プレビュー期間の運用実績を見ないと判断できないはずです。
まとめ
新しいEpic Games Launcherは、起動速度とLinux対応という分かりやすい進化を見せつつ、裏側ではAIを使った新しい開発手法という挑戦も抱えています。
プレビュー版はまだ発展途上であり、安定して使えるようになるかどうかは今後の更新を見守る必要がありそうです。