SNS投稿は入り口に過ぎなかった――deleteC大作戦2026、9月から来年2月まで続く「ロングラン」の中身
商品のロゴから「C」の文字だけを指で隠して撮った1枚の写真。
ハッシュタグ「#deleteC大作戦」を付けてSNSに投稿すると、参加企業から100円が、がん治療研究への寄付につながります。
9月28日から30日にかけては、この投稿を呼びかける一斉投稿が毎晩20時に予定されています。
SNS運用やマーケティングに関わる人がこのキャンペーンから学べるのは、「良いことをするだけの企画」という枠を超えた部分ではないでしょうか。
ハードルの低い1つの行動(写真を撮って投稿する)を、どうやって継続的な参加に育てているか、その設計です。
先に結論をまとめると:
– 9月1日から2027年2月まで続く「ロングラン」企画で、9月28〜30日は毎晩20時に投稿を呼びかける最終集中期間にあたります
– 参加方法は投稿だけでなく「買い物」「学び」「みんなのCSA」の4種類、開始3週間で40社を超える企業・団体が参加しています
– 一部企業は参加のハードルをAIツールで下げており、UGC(ユーザー生成コンテンツ)施策の設計として参考になります
なぜ「残り3日」で盛り上がっているのか
「deleteC大作戦」は、NPO法人deleteCが主催する、がん治療研究への寄付とがん啓発を目的としたキャンペーンです。
認定NPO法人deleteCが2026年9月25日に発表したリリースによると、2026年版は9月1日にスタートし、開始からわずか3週間で40を超える企業・団体が参加しています。
参加企業のロゴ・商品名からもラインナップが見えてきます。
サントリーは「C.C.レモン」「デカビタC」ブランドで今年も参画を発表しており、IT企業のJBCCホールディングスは今回で協賛5年目を迎えました。
それぞれの企業が自社商品・ロゴの「C」を消した画像や動画に「#deleteC大作戦」を付けて投稿する呼びかけを行っており、1投稿につき100円が寄付される仕組みが共通のベースになっています。
9月28日から30日の3日間、毎晩20時に投稿のピークを作る一斉投稿が組まれているのは、9月が「がん征圧月間」にあたり、月末に向けて認知と参加を集中させる狙いがあるとみられます。
ただ、このキャンペーンの本体は、実はここで終わりません。
「投稿」だけではない、4つの参加のかたち
deleteC大作戦は「投稿」以外にも、日常の行動を寄付につなげる仕組みを用意しています。
- 買い物:全国646店舗のスーパーで対象商品を購入すると、1点につき1〜2円(店舗により異なる)が寄付されます
- 学び:中学校・高校・大学や企業を対象に、がん教育とCSA(カジュアルソーシャルアクション:日常のちょっとした行動で社会貢献につなげる仕組み)を組み合わせたセッションを実施しています
- みんなのCSA!:銭湯やワイン、スポーツ観戦など、すでにある日常の活動を通じて応援できる企画です
これまでの活動実績と合わせ、スーパーでの累計実施店舗数は1,260店舗にのぼります。
SNS投稿はあくまで4つの入り口のうちの1つにすぎないのです。
なぜ9月で終わらず来年2月まで続くのか
deleteC大作戦2026は、9月1日から2027年2月まで続く「ロングラン」開催になっています。
2月4日は「世界対がんデー(ワールドキャンサーデー)」にあたり、この日に合わせて「deleteC 2027 -HOPE-」というイベントの開催が予定されています。
今年度の活動を通じて、4つのがん治療研究を支援する計画だそうです。
1か月間に集中していた過去の開催方式から、半年間にわたって企業・団体が参加のタイミングを分散できる形に変えたことで、単発の話題化で終わらせず、参加企業側にも繰り返し発信の機会を作れる設計になっているようです。
参加のハードルをどう下げているのか
投稿という行動そのものは簡単でも、「ロゴの上手な消し方が分からない」という参加者側のハードルは残ります。
ここに手を打っているのが、協賛5年目のJBCCホールディングスです。
同社は無償提供している「Cを消すアプリ」を2026年版でリニューアルし、AIが画像内の「C」を自動検知して消去する機能を追加しました。
処理した画像はそのままSNSに投稿できます。
加えて、deleteCの活動背景や寄付の仕組みについてAIと対話しながら理解できるチャットボット機能も試験的に導入されています。
「参加してほしい行動」と「参加者が実際にできること」の間にあるギャップを、無償ツールで埋めにいく発想は、UGCを軸にしたキャンペーンを設計するうえで応用が利く視点かもしれません。
Shiritomo編集部の考察:SNS施策の”継続力”はどこから生まれるか
deleteC大作戦が参考になるのは、寄付という善意の仕組み以上に、キャンペーンの「続けやすさ」の作り方でしょう。
SNS投稿だけに頼ると、アルゴリズムの変化やタイムラインの流行り廃りに参加率が左右されやすくなります。
そこに「買い物」という店頭接点を組み合わせることで、SNSでの拡散が一時的に鈍っても、参加者の行動そのものは止まらない構造になっているようです。
また、1か月に情報を詰め込むのではなく半年間に分散したことも、企業アカウント側からすれば「発信のネタ切れ」を防ぐ効果がありそうです。
毎月少しずつ違う角度で参加を呼びかけられれば、フォロワーにとっても「またあの告知か」という飽きが出にくくなります。
継続的なSNS発信のネタに悩む担当者にとって、キャンペーンの期間設計そのものがヒントになる事例だといえるのではないでしょうか。
まとめ
deleteC大作戦2026は、写真を撮って投稿するという小さな行動を起点にしながら、買い物や学びといった日常の接点、そして半年間という長い時間軸を組み合わせることで、一過性の話題づくりで終わらない仕組みを作っています。
9月28〜30日の投稿ラッシュは、その長い取り組みのなかの一つの山場にすぎません。