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「#kengharit」が公式タグを上回った――Schiaparelli、タイ人俳優2人のパリコレ出席で見えたSNS効果の中身

Shiritomo編集部 @shiritomoAI_jp 2026年10月10日 更新
「#kengharit」が公式タグを上回った――Schiaparelli、タイ人俳優2人のパリコレ出席で見えたSNS効果の中身

「#kengharit」というハッシュタグは、2026年9月27日から10月7日までの1週間でおよそ151万回使われました。
この回数は、ブランド自身の公式タグ「#schiaparelli」の約136万回を上回っています。
ファッションブランドの名前より、そこに招かれた2人の俳優の名前のほうが、SNS上では多く語られていたということです。

SNSマーケティングの担当者であれば「有名人を起用すれば話題になる」という感覚は持っているはずですが、その効果がどれくらいの規模になるのかを具体的な数字で見る機会は多くありません。
タイの俳優ケン・ハリットとナンピングが10月1日のSchiaparelliパリコレに出席した一件は、分析会社による計測データが公開されていて、その規模感がそのまま確認できる珍しい事例です。

先に結論をまとめると:
– タイの俳優ケン・ハリットとナンピングが10月1日、Schiaparelliのパリコレ(2027年春夏)に出席し、2人にまつわるハッシュタグの使用回数が公式ブランドタグを上回りました
– 分析会社Onclusiveの集計では、Schiaparelliはパリ・ファッションウィーク全体のブランド別ソーシャルシェアで2位(9.74%)に入った一方、報道(デジタルニュース)露出では上位に入らず、SNSと報道の評価が逆転しています
– この逆転を生んだのは「ブランド自身の発信力」ではなく「起用した有名人のファンダムが動く量」でした

10月1日、パリで何が起きたのか

ケン・ハリットとナンピングは、デザイナーのダニエル・ロズベリーが手がけるSchiaparelliの2027年春夏コレクション(レディ・トゥ・ウェア)ショーに、ブランドから招待されて出席しました。
公式ファンアカウントはブランドへの感謝を投稿しています。

ケン・ハリットは全身を黒で統一したスタイル、ナンピングはアイボリーのセットアップに、Schiaparelliらしいメジャー(巻尺)をあしらったディテールの靴を合わせたスタイルで登場したと報じられています。
2人は「陰と陽」のような対照的な着こなしで、ファッションメディアからも取り上げられました。

ただ、この記事で注目したいのは着こなしそのものではありません。
このショーをきっかけに、SNS上でどれだけの量の投稿・言及が生まれたか、という点です。
分析会社Onclusiveが9月27日〜10月7日のパリ・ファッションウィークSS27全体を計測したレポートに、具体的な数字が出ています。

調べて分かったこと

なぜ報道では目立たないブランドが、SNSでは上位に来るのか

Onclusiveのレポートによると、パリ・ファッションウィークSS27期間中、ブランド別のソーシャルシェア(SNS上での話題量の占有率)はクリスチャン・ディオールが45.04%で独占的な1位。
2位につけたのがSchiaparelliで9.74%でした。

一方、デジタルニュース(報道記事)での露出シェアを見ると、1位はディオール(7.8%)、2位はシャネル(7.6%)となっており、Schiaparelliは上位に入っていません。
つまりSchiaparelliは、報道ではさほど目立たないのに、SNS上の話題量では2位という逆転現象が起きていたことになります。

Onclusiveはこの逆転の要因を、ディオール・Schiaparelliそれぞれに出席したタイの有名人の存在だと分析しています。
ディオールには女優のリンリン・クォンとオーム・コーンナパットが出席し、2人のソーシャルシェアはそれぞれ24.31%・22.59%。
Schiaparelliにはケン・ハリットとナンピングが出席し、それぞれ5.96%・6.03%を記録しました。
レポートは「2組目のタイ人ペアがSchiaparelliのSNS上の席を作った」と表現しています。

ハッシュタグ単位で見ても同じ傾向が出ています。
同じ1週間の集計で、「#kengharit」は約151万件、「#kengnamping」は約127万件、ナンピングの愛称ハッシュタグ「#nampingster」は約54万件使われました。
合計すると、ブランド公式タグ「#schiaparelli」の約136万件を優に上回ります。
報道記事の本数ではなく、ファンが実際に投稿した量が、ブランドの話題量を押し上げていたわけです。

ファンはどう反応していたのか

ショー当日には、ファンアカウントから2人を応援する投稿も見られました。

このような投稿が1件単位で話題を作っているわけではなく、同種の投稿が積み重なった結果として、先述の百万単位のハッシュタグ使用数につながっています。
Onclusiveの計測期間全体では、パリ・ファッションウィークSS27に関する社会的メンションは2,120万件、リーチは1億5,410万人、投稿した人数(ユニークオーサー数)は1,470万人にのぼるとされています。
これだけの規模のなかで、Schiaparelliというブランドが2位に入った背景に、ケン・ハリットとナンピングという2人の存在があったということです。

Shiritomo編集部の考察:ブランドが測るべきは「発信力」でなく「ファンダムの動員力」

今回のケースが示しているのは、SNSマーケティングで有名人を起用する際に見るべき指標が、フォロワー数やブランド自身の発信量ではないということです。
ディオールとSchiaparelliのソーシャルシェアの差(45.04%対9.74%)は、ブランドそのものの規模や知名度の差とほぼ比例していますが、その内訳を見ると、どちらも「出席したタイの有名人のファンダムがどれだけ動いたか」でシェアの大半が決まっていました。

日本のブランドがインフルエンサー施策を組むときも、「誰のフォロワー数が多いか」より「起用した人の発表に対して、ファンがどれだけの量の投稿を自発的に生み出すか」を事前に見積もる方が、実際の拡散規模に近い予測ができるはずです。
SOV(Share of Voice:話題量の占有率)やEMV(Earned Media Value:獲得メディア価値)のような指標は、起用判断の後ろ付けの説明材料ではなく、起用前の比較検討にこそ使う価値があるのではないでしょうか。

まとめ

Schiaparelliのパリコレは、報道露出では目立たなかったものの、タイの俳優ケン・ハリットとナンピングの出席によってSNS上のソーシャルシェアで2位に入りました。
ブランドの発信力ではなく、起用した有名人のファンダムが生み出す投稿量こそが、SNS上の話題を作っていたことがわかります。

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パリ・ファッションウィークSS27全体の分析レポートは、分析会社Onclusiveが公開しています。