『キャッ党忍伝てやんでえ』新作は「オランダの会社が作っている」――35年ぶりTGS試遊の中身
1990年に放送が始まった子ども向けアニメ『キャッ党忍伝てやんでえ』の新作ゲームを、日本の会社は作っていません。
開発を担当したのはオランダのBlast Zero、発売を手がけるのはアラブ首長国連邦(UAE)のRed Dunes Gamesです。
東京ゲームショウ2026(TGS2026:幕張メッセで毎年開催される国内最大級のゲーム・エンタメ展示会)のブースで実際に試遊したfamitsu編集部の投稿は、リポスト1,500件超・いいね3,800件超まで伸びました。
懐かしさだけでは説明がつかない、海外発プロジェクトの裏側を調べてみます。
先に結論をまとめると:
– 開発はオランダのBlast Zero、発売はUAEのRed Dunes Games。
日本の会社は関わっていません
– famitsu編集部の試遊では、アニメパートが「当時の映像を使い回した」と見紛うほどの再現度と評価されました
– 発売時期は本稿時点で正式発表されていません。
Steamストアページ上も「発表予定」表記で、まずPC(Steam)向けの配信が確認されています
famitsuの試遊レポートが伸びた理由
famitsu公式アカウントは9月22日、TGS2026での試遊感想として「1990年放送のアニメ『キャッ党忍伝てやんでえ』が令和にゲーム化! しかもデキがいい」と投稿し、続けて「しかもオランダの会社が作っている」「UAEとオランダの『サムライ ピザ キャッツ』愛が令和に結実している」と書き添えました。
1990年代のセルアニメを再現した映像パートが添付されており、「本当に新作なのか」を疑いたくなる出来栄えという反応がリポストとともに広がっています。
1990年放送のアニメ『キャッ党忍伝てやんでえ』が令和にゲーム化! しかもデキがいい。しかもオランダの会社が作っているhttps://t.co/TZRHprbgnt
— ファミ通.com (@famitsu) 2026年9月22日
東京ゲームショウ2026で試遊した感想をお届け。日本語声優の収録もバッチリで、UAEとオランダの『サムライ ピザ キャッツ』愛が令和に結実している pic.twitter.com/Fs9unzkraS
添付されている画像は、赤い頭巾状のパーツを頭に乗せた猫のキャラクターの顔がアップで映ったカットです。
目や鼻の描き込み方は当時のセルアニメらしい丸みのある線で統一されており、誰のカットかまでは投稿本文に明記がありません。
ただ、この投稿だけでは「なぜ海外の会社がここまで力を入れているのか」「アニメ部分は本当に新規制作なのか」までは分かりません。
一次情報を確認しました。
調べて分かったこと
なぜオランダとUAEの会社が手がけているのか?
新作の正式タイトルは『キャッ党忍伝てやんでえ ~復活のニャンキー! やっぱり明日は日本晴れ!』(英題:Samurai Pizza Cats: Blast from the Past!)。
開発元のBlast Zeroはオランダの会社、パブリッシャーのRed Dunes Gamesはアブダビ(UAE)を拠点とする会社です。
海外での本作の知名度は、日本とは少し違う経緯で育っています。
英語版はかつて「Samurai Pizza Cats」というタイトルでアメリカで放送されましたが、当時タツノコプロ側に原作の翻訳資料がほとんど残っておらず、ローカライズを担当したSaban社のスタッフは限られた映像素材だけを頼りに、原作とはまったく別の即興ギャグだらけのセリフを新しく作ったと言われています。
結果としてアメリカでは、日本版とはストーリーもセリフ回しも異なる「もう一つの『サムライピザキャッツ』」がカルト的な人気を得ました。
今回の新作ゲームがUAE・オランダという、日本のアニメファン層としては意外な国から生まれた背景には、こうした海外独自の愛され方の歴史があるようです。
アニメ部分は本当に新しく作られたものなのか?
新作ゲームをめぐって、Xではこんな疑問も投稿されていました。
新作ゲームの『キャッ党忍伝てやんでえ』、タツノコプロ協力で新規ムービー部分があるのだろうか? pic.twitter.com/LHtbepjwtA
— 装ノ助 (@sou_omamori) 2026年9月22日
原作を制作したタツノコプロは今回の新作に協力しており、山口勝平さん・折笠愛さん・堀内賢雄さん・山寺宏一さんら原作にゆかりのある声優陣が新規収録に参加しています。
4Gamerの試遊レポートによれば、ゲーム内のアニメパートはアスペクト比4:3・走査線エフェクト・こもった音質のモノラル風サウンドまで再現された新規制作の映像で、記者自身も「当時のアニメから素材を流用していると言われたら信じてしまいそうな出来」と評していました。
famitsuの記事では、原作サイドのスタッフが「これ我々が描いたんじゃないよね?」と聞いてしまうほどの出来栄えだったとも伝えられています。
つまり、投稿にある「新規ムービー」は実際に存在し、古い映像の流用ではなく令和になって新しく描き起こされたものという答えになります。
発売はいつ、どこで遊べるのか?
TGS2026の試遊デモは20分ほどの2Dアクション区間で、主人公ヤッ太郎が刀を使った通常攻撃や必殺技を出せるほか、二段ジャンプが得意なスカシー、手裏剣などの飛び道具を使うプルルンと3人を切り替えて進める作りになっていました。
発売時期はSteamストアページ上で「発表予定」となっており、本稿時点では正式発表されていません。
まずPC版(Steam)向けの配信は確認されていますが、家庭用ゲーム機を含むそれ以外のプラットフォームや価格は本稿時点では未発表のため、続報を待つ必要があります。
古い作品ならではの受け止め方も、Xには残っていました。
何でもかんでも古い作品はいいとは思わないけど、
— そがべしゅうじ(FiFS)(PERSPECT inc.) (@shuji_s) 2026年9月23日
『てやんでえ』は「これこそ」な作品だと思うのに若い子への知名度ないから勿体無いな、と思ってる https://t.co/BK7CKWxDke
「何でもかんでも古い作品はいいとは思わないけど、『てやんでえ』は『これこそ』な作品だと思うのに若い子への知名度ないから勿体無いな」という投稿は、放送当時を知る層と今の若い世代とのあいだにある温度差を映しています。
新作ゲームがPCから先に展開されるのも、まずは海外・国内問わず既存ファンの反応を確かめる狙いがあるのかもしれません。
Shiritomo GAME編集部の考察
今回の事例は、「原作へのリスペクト」の向き先が国によって逆になっている点が面白いところです。
アメリカ版「Samurai Pizza Cats」は資料不足という制約から生まれた”別物”のギャグ作品としてカルト化しましたが、今回の新作ゲームは原作の声優・セリフ・アニメ演出をできる限り忠実に再現する方向に振り切っています。
海外発のリバイバル企画が「原作から離れて独自に育つ」パターンと「原作に忠実であろうとする」パターンの両方が同じIP(知的財産)の中に共存しているわけで、ファンコミュニティがどちらの文脈で盛り上がっているかを見極める視点は、他の懐かし系IP復活企画を追ううえでも参考になりそうです。
また、PC先行という発売戦略は、コンソール版の発表を待たずにSteamのユーザーレビューやウィッシュリスト登録数で反応を可視化できる利点があり、資金調達や追加プラットフォーム展開の判断材料にする狙いも透けて見えます。
まとめ
『キャッ党忍伝てやんでえ』の新作ゲームは、日本ではなくオランダとUAEの会社によって作られ、TGS2026の試遊では原作を知る層をうならせるほどの再現度が確認されました。
発売時期は本稿時点で未発表で、まずPC(Steam)から展開される見通しです。
さらに深掘りしたい方へ
新作ゲームの詳しい試遊内容は、ファミ通「キャッ党忍伝てやんでえ」試遊レビュー、アニメパートの技術的な再現度については4Gamerのプレイレポートで詳しく紹介されています。
開発発表の経緯はタツノコプロのプレスリリースにまとまっています。
