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「the next one is already here」(次はもう現れた)——AIで作った架空の人物が1週間で20万フォロワーを稼ぐ手口

Shiritomo編集部 @shiritomoAI_jp 2026年10月1日 更新
「the next one is already here」(次はもう現れた)——AIで作った架空の人物が1週間で20万フォロワーを稼ぐ手口

フォロワー20万9300人、フォロー数ゼロ、いいねの合計370万件。
このアカウントの持ち主「Jean Phil」は、実在しません。

ブロンドのおかっぱ頭にカールした口ひげ、茶色のツイードスーツ。
パリの街角や花畑でシャドーボクシングをするだけの動画が、TikTokとInstagramで次々とバズっています。
この現象の仕組みを解説した投稿が、アプリ開発者の@simonecancielloによってXに投稿され、11,691件のいいねを集めて広がりました。
SNS運用やAI活用に関わる方にとっては、本物の人間のアカウントがもう必要なのかを考え直すきっかけになる出来事です。

先に結論をまとめると:
– AIで作った架空の人物をバズった動画に合成する手法で、1週間に数万〜20万人超のフォロワーを稼ぐアカウントが相次いでいる
– 同じ型の便乗キャラクターが次々登場しており、その多くが最終的に仮想通貨(ミームコイン)の発行につながっている
– 投稿者は「$299の高額講座を買う必要はない」と手口を無料で公開し、Xでは「死んだインターネット理論」が現実になったと話題に

Xで広がった「get 200k followers in 1 week」(1週間で20万フォロワー)という投稿

発端は、アプリ開発者でAIマーケティングを手がける@simonecanciello(フォロワー2万3000人)が2026年9月30日に投稿した一文でした。
「dead internet theory is real(死んだインターネット理論は本当だった)。
you can actually create an AI character and get 200k followers in 1 week. please don’t buy a $299 course(AIキャラクターを作れば、1週間で20万フォロワーを獲得できる。
299ドルの講座を買う必要はない)」と書き出し、手順を2行で示しています。
「create a realistic character sheet(リアルなキャラクターシートを作る)」「swap your character into viral videos(そのキャラクターをバズった動画に合成する)」という2ステップです。

この投稿には写真が2枚添付されていました。
1枚は「Jean Phil」のTikTokプロフィール画面で、フォロワー20万9300人・フォロー0・いいね370万件という実際の数字が表示されています。
もう1枚は、まさに投稿が説明する「キャラクターシート」そのものでした。
同じ人物を正面・斜め・横・後ろ姿と5方向から並べ、さらに表情違いのアップを添えた、まるでゲームキャラクターの設定資料のような画像です。
投稿から1日足らずで、いいね11,691・インプレッション419万・ブックマーク1万2067件に達しました。

ただ、この投稿だけでは「本当に誰でも真似できるのか」「Jean Phil以外にも同じ手口のアカウントがあるのか」までは分かりません。
そこで引用投稿や一次情報を確かめてみました。

調べて分かったこと

Jean Philとは、そもそも何者なのか

海外メディアのDexertoやKnow Your Memeの記事によると、Jean Phil(本名らしきJean Philanthrope)は2026年9月17日ごろにInstagramへ最初の投稿が現れ、9月19日に投稿されたパリの街角でのシャドーボクシング動画がTikTokで3日間に150万回再生される「ブレイク」を起こしました。
その3日後にはTikTokだけで約5万フォロワー・200万いいね、Instagramでは約15万フォロワーに達し、9月25日時点ではInstagramのフォロワー数が22万8000人を超えていたと報じられています。
わずか1〜2週間で、実在しない人物のアカウントが20万人規模のフォロワーを集めたことになります。
コンテンツクリエイターのJeremy Carrasco氏は、映像の生成パターンを分析した結果「Jean Philは実在人物ではない」と結論づけています。

TikTokプロフィール画面を見ると、Instagramの案内欄に「Instagram : jean_philanthrope」という表記もありました。
TikTokで知名度を得たあと、同じキャラクターでInstagramにも誘導する導線が組まれている形です。

どうやって実写の動画に合成しているのか

投稿の手順にある「バズった動画に自分のキャラクターを合成する」という工程は、具体的にどのツールが使われたかJean Phil本人(運営者)からの説明はありません。
ただし2026年に入り、キャラクター画像を1枚ないし数枚読み込むだけで、顔やデザインを崩さずに新しい映像へ合成できる動画生成AIが相次いで登場しています。
たとえばByteDanceの「Seedance 2.0」はキャラクター画像やコスプレ写真を読み込ませ、顔やデザインを固定したまま新しい映像を生成できる機能を持ち、Kling AIの「Motion Control」も人物の動きを別のキャラクターへ転写する機能を備えています。
Jean Philの制作に使われたツールが特定されているわけではありませんが、個人が高価な専門知識なしに「架空の人物を実写動画に合成する」ことができる土台は、すでに一般のAIサービスとして揃ってきています。

便乗キャラクターはどこまで広がっているのか

Jean Philの数字を見て「次はもう現れた」と反応したのが、引用投稿の中でもっとも拡散したものでした。

この投稿では「jean phil: 209k+ followers. derek mercer: [ 80k+ followers in 7 DAYS ](ジャン・フィル:20万9000人超のフォロワー。
デレク・マーサー:7日間で8万人超のフォロワー)」と、2つのアカウントの数字を並べています。
添付画像で確認できたのは、長い黒髪にモンスターエナジーのTシャツを着た「Derek Mercer」というTikTokアカウントで、投稿時点でフォロワー8万4400人・いいね250万件でした。
ジムで猫と一緒にダンベルを持ち上げる動画や、剣を構えて海岸に立つ動画、強風の中で力こぶを見せる動画など、Jean Phil同様にワンパターンな一コマが並んでいます。
海外メディアの記事でも、Derek MercerはJean Philと同じ制作パターンの模倣例として紹介されていました。

同じ投稿は、便乗キャラクターに共通する型も指摘しています。
「a weird character people recognize in 1 frame(1コマ見ただけで分かる奇抜なキャラクター)」「no text on video, just bio + caption(動画にテキストは入れず、プロフィールとキャプションだけ)」というパターンです。
実際、海外メディアの報道でも、Jean Philの対抗馬として作られた「Archibald Brown」というキャラクターが数日でフォロワー11万人を超えたと紹介されており、1つのキャラクターが当たると、同じ型の二番煎じが連鎖的に生まれる構図が見えてきます。

なぜ仮想通貨との結びつきが心配されるのか

引用投稿の中には、便乗の「次の芽」を示すものもありました。

「tis the new ai meta now?? ‘no crypto affiliations yet’ will prolly shill a coin sooner or later lmao(これが新しいAIの必勝パターンってわけ?『まだ仮想通貨とは提携していません』——どうせそのうちコインを売り込むんだろうけど)」というこの投稿には、「Benjamin Stachio」という別のAIキャラクターのInstagram画面が添えられていました。
口ひげを生やした男性がブラジルのサッカーユニフォームを着て盛り上がる動画などが並び、プロフィール欄には「⚠️No crypto affiliations yet⚠️(まだ仮想通貨との提携はありません)」という一文があります。

この皮肉めいた指摘は的を外していませんでした。
海外メディアの報道によると、Jean Phil自身にも「$JEANPHIL」という名前のトークンがSolana上で発行され、一時は時価総額460万ドル相当にまで値上がりしたと伝えられています。
Derek Mercerにも関連するトークンの存在が報じられており、AIキャラクターのバズりが、そのまま仮想通貨商法の呼び水になっている構図がうかがえます。

本物と見分けがつかなくなっていいのか

フォロワー数の伸びそのものより、「本物と見分けがつかない」ことへの戸惑いを書いた投稿もありました。

「we’re literally cooked. someone can invent a fake person, put them in viral videos and build 200k followers in a week and most people won’t even realize they’re following someone who never existed(もう終わりだ。
誰かが架空の人物を作り出し、バズった動画に合成するだけで、1週間で20万人のフォロワーを築ける。
しかもほとんどの人は、実在しない人物をフォローしていることにすら気づかない)」という内容です。

AIで作られたアカウントは、どうやって見分ければいいのか

この「見分けがつかない」という困りごとは、今回限りの話ではなく、今後も繰り返し検索されそうなテーマです。
今回確認できた範囲で、見分けるための手がかりになりそうな点を整理します。

  • プロフィールの不自然さ:Jean PhilもDerek Mercerも「フォロー数0」で、投稿本数が異様に少ないまま急成長しています。
    通常の個人アカウントではあまり見られない形です
  • 動画の中身が毎回ワンパターン:どのクリップも「同じ見た目・同じ構図・テキストなし」で、インタビューやライブ配信のような台本のない場面が一切ありません
  • プロフィール欄の仮想通貨関連の記載:「No crypto affiliations yet」のような一文があるアカウントは、今後トークンが発行される前触れの可能性があります

Google広告のキーワードプランナーによると、2026年8月時点で「AI 見分け方」は月間390回程度検索されていたとみられ、1年平均と比べても大きな変動のない継続的な検索語のようです。
SNSで知らない人物のアカウントを目にしたとき、上記のような観点でプロフィールと投稿の一貫性を確認してみることをおすすめします。

Shiritomo編集部の考察:ブランドアカウントが学ぶべきこと

この一件で注目したいのは、バズった動画そのものより「導線の設計」です。
キャラクターシートの画像にはInstagramのユーザー名がそのまま書かれており、TikTokで火が付いたキャラクターをInstagramへ誘導する動きが明確に見えました。
プラットフォームをまたいでフォロワーを移動させる手法自体は、企業のSNS運用でもよく使われる基本戦略です。
違うのは、その「中身」が実在しない人物だという点だけです。

もう1つ見逃せないのが、収益化の速さです。
Jean Philは動画がバズってからわずか数日〜1週間程度で仮想通貨トークンが発行されるところまで到達しています。
通常のインフルエンサーがスポンサー案件を獲得するまでの時間と比べると、「バズる→フォロワーを稼ぐ→収益化」までの工程がAIキャラクターでは異常に短縮されていると言えます。
SNS運用担当者にとっては、こうした短時間でのマネタイズ構造が今後ほかのジャンルにも広がる可能性がある、という点を念頭に置いておく価値があるでしょう。

まとめ

AIで作った架空の人物をバズった実写動画に合成するだけで、1週間に数万〜20万人規模のフォロワーを集めるアカウントが相次いで登場しています。
便乗キャラクターの多くが仮想通貨トークンの発行につながっており、プロフィールの不自然さや投稿内容のパターンから見分ける視点を持っておくことが、今後ますます必要になりそうです。

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