9000円ゲームが「全てが未完成」――「大手ゲームメーカーはどうしたら良いですの?」
9856件のいいね、引用319件、表示回数275万回。
2026年10月5日にXへ投稿された一つの訴えに、短期間でこれだけの反応が集まりました。
内容は決して複雑なものではありません。
9000円で販売されていたのに全てが未完成で、ストーリーはぶつ切りのまま終わり、その後は追加の金を求められた、という訴えです。
箇条書きで並んだ、よくある不満のようにも見えます。
ゲームを買う側としては他人事ではない話ですし、なぜこの一つの投稿がここまで伸びたのかも気になるところです。
この記事では投稿の内容を整理したうえで、ディスク版廃止の流れやDLC(追加課金コンテンツ)商法の歴史、ゲーム価格そのものの上昇など、背景にある業界の動きを一次情報で確認していきます。
先に結論をまとめると:
– 9000円のゲームが「未完成」で追加課金を求められたという投稿に、いいね9856件・引用319件が集まりました
– 背景には物理ディスク廃止によるデジタル移行への不安と、DLC商法への長年の不満が重なっています
– ゲーム1本の定価は近年8,900〜9,900円台が標準になりつつあり、「9000円=割高」という感覚自体も変わってきています
9000円のゲームが「全てが未完成」だったという投稿
投稿で挙げられていたのは、次の3点でした。
まず、ゲームの価格が9000円だったこと。
次に、適正価格だと思って購入したところ、全てが未完成でテストプレイをしたのか怪しいレベルだったこと。
そして、ストーリーはぶつ切りのまま終わり、その後は「売れたら続き作る」というスタンスで追加の金銭を求められたこと。
投稿の最後には、「こんな大手ゲームメーカーはどうしたら良いですの?」という問いかけが添えられていました。
・ゲームを9000円で販売
— MS (@MS69736492) 2026年10月5日
・適正価格かと思ったら全てが未完成でテストプレイしたのか怪しいレベル
・ストーリーはぶつ切りエンドで、その後は「売れたら続き作る」スタンスで追加で金要求
こんな大手ゲームメーカーはどうしたら良いですの? https://t.co/VWA08yC15w
この投稿にはどのメーカー・どの作品を指しているかの記載はありません。
投稿者の個人的な体験として読める内容で、具体的な社名や作品名は一切出てきません。
それでもインプレッション275万回という数字は、似たような体験をしたことがある人が少なくないことをうかがわせます。
ただ、この投稿1件だけでは「どれくらい広い範囲の話なのか」までは分かりません。
そこで、背景にある業界の動きを確認してみました。
調べて分かったこと
なぜ「未完成」のまま発売されてしまうのか?
「発売後にDLCで完成させる」という商法そのものは、今回に限った話ではありません。
2026年5月には『デッド オア アライブ6 ラストラウンド』が、完全版をうたいながら新キャラクターを有料DLCとして追加販売すると発表したことで「二重課金」と批判を集めた例があります。
これは今回の投稿とは無関係の別タイトルですが、業界で繰り返し指摘されてきた構図とよく似ています。
ゲーム情報サイトの分析でも、「100点の内容を70点まで削り、残りの30点を分割DLCにして売る」行為が増えたという指摘が以前からあります。
開発コストの高騰にともない、発売時点でボリュームを絞り、追加コンテンツで収益を積み上げる設計が業界の一部で一般化してきたという見方です。
もちろん、発売後のアップデートで評価を伸ばすタイトルも存在するため、すべての「未完成」が悪意あるものとは限りません。
ディスク版廃止の流れは、この不満とどう関係しているのか?
もう一つの背景が、物理ディスクそのものがなくなっていく動きです。
ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は2026年7月、公式ブログで2028年1月以降に発売する新作PlayStationゲームについて、物理ディスク版を生産しないと発表しました。
以降はダウンロード版のみの提供になります。
SIEはこの決定について、デジタル版への需要が物理ディスクを大きく上回っている現状が背景にあると説明しています。
実際、国内でもフルゲーム販売の85%がすでにダウンロード版だという調査結果もあります。
ディスク版がなくなれば、中古売買や貸し借り、ディスクそのものを手元に残すという「所有」の感覚が薄れます。
「お金を払っているのに、自分のものにならない」という不安は、今回の投稿にある「未完成でも売れたら続き作る」という不満と地続きの話です。
どちらも、支払った金額に対して何を受け取っているのかが見えにくいという点で共通しています。
9000円は「高い」のか、今のゲームの標準価格なのか?
価格面も見ておきます。
2026年に発売されたPS5向けの新作タイトルを見ると、標準版の価格は『ACE COMBAT 8: WINGS OF THEVE』の8,900円から『仁王3』の9,680円程度に収まっているものが多く、9000円前後はすでに一般的な価格帯になっています。
家庭用ゲーム機本体の平均単価も、2026年6月時点で前年同月比9.5%上昇し、5万1,376円に達しました。
円安や部材価格の高騰、AIブームによる半導体需要の増加などが背景にあると報じられています。
つまり、9000円という数字自体は「飛び抜けて高い」わけではなく、今のゲーム市場の相場に近づいています。
だからこそ、同じ金額を払って「未完成」だと感じた体験は、値段が高いこと以上に、内容と価格のバランスが崩れているという感覚につながりやすいのではないでしょうか。
発売直後に飛びつくのではなく、レビューの評価や配信の実況を見てから購入を判断するという、昔からあるゲーマーの行動パターンが、こうした投稿が出るたびに改めて意識される形になっています。
Shiritomo GAME編集部の考察
今回の投稿が興味深いのは、固有の作品名やメーカー名を出していないにもかかわらず、275万インプレッションまで伸びた点です。
具体的すぎる体験談は「自分には関係ない」と読まれがちですが、抽象化された不満は多くの読者が自分の過去の購入体験に当てはめやすくなります。
引用319件・リプライ123件という比率も、単なる同意の返信より、自分の体験を添えて引用する動きのほうが多かったことを示しています。
これはDLC商法やディスク版廃止という、ここ数年業界全体で蓄積されてきた不満が、1件の投稿を呼び水にして表面化した典型的な構造と言えます。
ゲームメーカー側の広報・SNS担当者にとっては、個別タイトルの炎上対応だけでなく、業界構造そのものへの不満がいつでも自社に飛んでくる前提でコミュニケーション設計をする必要があるという示唆になります。
まとめ
9000円のゲームが「全て未完成」だったという一つの投稿は、作品名も企業名も明かさないまま、ディスク版廃止とDLC商法という業界全体の構造的な不満を映し出す形になりました。
今後も似た投稿が注目を集めるかどうかは、購入前にレビューや実況を確認する動きがどこまで広がるかにかかっているのかもしれません。
さらに深掘りしたい方へ
物理ディスク廃止の公式発表については、ソニー、PS5/PS4のディスク版ゲーム発売は2027年で終了――以降はダウンロード版のみ用意(Game Business)で詳しく報じられています。
ゲーム価格全体の上昇傾向については、ゲームの値上げ時代に、プレイヤーは誰にお金を払っているのか(4Gamer)も参考になります。


