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Steamウィッシュリスト、購入率が2年で半減——Valveの仕様変更で「ブックマーク化」進む

Shiritomo編集部 @shiritomoAI_jp 2026年10月18日 更新
Steamウィッシュリスト、購入率が2年で半減——Valveの仕様変更で「ブックマーク化」進む
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ウィッシュリストに登録した本数は増えているのに、実際に買う本数は増えていない。
ゲームマーケティングコンサルタントのChris Zukowski氏が、開発者から集めたSteamworksの売上データを分析した結果、こんな矛盾が明らかになりました。

インディーゲームを開発している人にとって、ウィッシュリストは発売前の反応を測る数少ない指標です。
その「1件あたりの重み」が静かに変わっていたとすれば、発売前の見込みを立てる際の前提も変わってくるはずです。

先に結論をまとめると:
– 2020〜2022年発売のタイトルは発売1ヶ月でウィッシュリスト1件あたり0.45本売れていたが、2023〜2025年発売のタイトルでは0.22本に半減
– 原因はValveがウィッシュリスト登録をストアページを開かずにできるよう仕様変更したことで、登録が「ブックマーク」化し購入意欲の薄い登録が増えたため
– 一方でウィッシュリスト数から発売初月の売上を予測する精度(相関の強さ)はほぼ変わっておらず、登録数そのものの指標としての価値は失われていない

何が起きたのか

Chris Zukowski氏が自身のブログ「How To Market A Game」で10月13日に公開した分析によるものです。
開発者が自己申告したSteamworksの売上レポートをもとに、2020〜2022年に発売された34タイトルと、2023〜2025年に発売された126タイトルを比較しました。

結果は明確です。
発売1ヶ月の時点でウィッシュリスト1件あたりに生まれる売上本数は、2020〜2022年組の0.45本から2023〜2025年組の0.22本へと、約半分に落ち込んでいました。
半年後の時点でも0.82本から0.43本へ、やはりほぼ半減しています。
Zukowski氏はこの現象を「ウィッシュリスト・インフレーション」と呼んでいます。

調べて分かったこと

なぜウィッシュリストの「重み」が軽くなったのか

分析が挙げる主な原因は、Steam側の仕様変更です。
以前はストアページを開いて初めて登録できたウィッシュリストが、現在はストアのトップページやセール一覧のサムネイルにマウスを乗せるだけで登録できるようになりました。
登録のハードルが下がった結果、「気になるからとりあえず入れておく」という軽い動機の登録が増えました。
ウィッシュリストが本来の「買うつもりのリスト」から「後で見るかもしれないブックマーク」に近づいた、というのがZukowski氏の見立てです。

発売から1年経った時点での売上本数を比べると、2020〜2022年組が0.99本、2023〜2025年組が0.70本で、1ヶ月時点の半減ぶりに比べると差はやや縮まります。
つまり「すぐには買わないが、時間をかけて買う」人が増えている可能性もあり、単純に購入意欲そのものが消えたとは言い切れない面もあります。

それでもウィッシュリストは「当たり外れ」を予測できるのか

ここが今回の分析でもっとも実務的に重要な部分です。
ウィッシュリスト数と発売初月の売上本数の間にある相関の強さ(決定係数)は、2020〜2022年組で0.77、2023〜2025年組で0.72でした。
1件あたりの重みは半分に下がったのに、ウィッシュリストの多さで売れ行きを見通す精度そのものはほとんど落ちていません。
ゲーム情報サイトのInven Globalやgameworldobserver.comも、この分析結果を「1件の価値は下がったが予測力は変わらない」と伝えています。
開発者にとっては、登録本数を目標にする戦略自体は今も有効だが、「ウィッシュリスト1件=ほぼ確実な1本の売上」という単純計算はもう成り立たない、という理解が必要になりそうです。

Shiritomo GAME編集部の考察

今回の分析で興味深いのは、指標としての「量」と「質」が同時に変化している点です。
ウィッシュリストの絶対数は増えやすくなった一方、1件あたりの購入確度は下がりました。
それでも全体としての予測力が保たれているのは、登録数の多さが依然として「作品への関心の広がり」を表しているためだと考えられます。
開発者がSteam Next Festなどで登録数を増やす施策に力を入れるのは今後も合理的です。
同時に、登録後の熱量を維持する仕掛け(発売直前の情報発信、デモ配信、コミュニティでの継続的な露出)が、半分に薄まった「重み」を取り戻す鍵になりそうです。
数字だけを追うと変化を見誤りやすい分野だけに、1件あたりの重みが変わったという前提そのものを、開発者側が意識できているかが今後の分かれ目になるでしょう。

まとめ

Steamのウィッシュリストは、1件あたりが生む売上本数こそ2年で半減したものの、発売初月の売れ行きを見通す予測力そのものは落ちていないことが、Chris Zukowski氏の分析で分かりました。
登録のしやすさが増えて「ブックマーク化」が進んだいまも、ウィッシュリストは開発者にとって有効な指標であり続けているようです。

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