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「この世を去りなさい」という投稿が4.9万いいね——インプレゾンビの”自我”がXを揺らす

shiritomo | AI・SNS・話題のテック情報メディア by Hashout編集部 @shiritomoAI_jp 2026年6月11日 更新
「この世を去りなさい」という投稿が4.9万いいね——インプレゾンビの”自我”がXを揺らす

謎解きクリエイターの松丸亮吾さんのXリプライ欄に、強烈な一文が届きました。
相手のアカウントが松丸さんのプロフィール画像(不気味な魚のイラスト)を「吐き気を催す」「人間とは思えない」と批判し、しまいには「この世を去りなさい」と締めくくったのです。

クイズ制作会社Q星群代表の林輝幸氏による投稿でした。
さらに松丸さんが独身であることも突いたその長文リプライは、2万4千いいねを超えてXに広がりました。
これを見た松丸さん本人の反応がまた秀逸で、「このインプレゾンビ殺傷力高すぎて泣いた」と投稿し、それがさらに4万9千いいねを集めるという二段バズに発展。
読んでいるこちらまで笑ってしまいますが、ここにはSNS運用担当者として見逃せない現象が潜んでいます。

松丸本人のリプライが4.9万いいねを記録

松丸さん本人のリプライがこちらです。

Xのユーザーたちの反応もすさまじく、「インプレゾンビ辛辣で草」という投稿が3万8千いいねを超えました。

「インプレゾンビが自我出すほどキモいの草」という声も広がり、今回の一件は「ただのスパムとは違う何かを持ったゾンビ」として注目されています。

通常のインプレゾンビは無意味な文字列や関係のない話題を書き込む機械的なものが多いですが、今回は対象者のプロフィールを精読して個人攻撃を繰り出すという、ある意味「高度な」手口でした。
ネタにして笑い飛ばした松丸さんの返し方も見事でしたが、この出来事が露わにしたXの構造的な問題は笑って済ませられないものがあります。

なぜリプライがここまで極端になるのか

インプレゾンビとは、Xの収益化プログラムを悪用してインプレッション(投稿の表示回数)を稼ごうとするアカウントやその行為の総称です。

XのCreator Monetizationでは、一定のフォロワー数とインプレッション数を維持することで広告収益を得られます。
そこを狙ったのがインプレゾンビで、バズっている投稿に大量のリプライを送りつけることで自分のアカウントの露出を増やそうという仕組みになっています。

問題は「目立てば目立つほど有利」という構造にあります。

普通のリプライより過激で感情的な内容の方が反応を生みやすく、そのぶんインプレッションを稼げる——この論理が、今回のような極端な投稿を生む土壌になっています。
「吐き気を催す」という過激な表現でも、2万4千いいねという大量の反応が付いた。
それ自体がインプレ稼ぎとして「成功」してしまった形です。

2026年1〜2月、Xは収益分配の計算基準を「X Premiumユーザーのホームタイムラインでの表示のみを対象」に変更しました。
これによってリプライだけで稼ぐ手口は以前より難しくなっています。
しかし今回の件が示すように、ゾンビは消えてはおらず、むしろ「量より質」の方向に進化しつつあるのかもしれません。

ブランドアカウントが巻き込まれたときの対処法

SNS担当者にとって気になるのは、「自社のブランドアカウントにも同じことが起きるのでは?」という点でしょう。

企業の公式アカウントがキャンペーンや話題の発表をした際、インプレゾンビがリプライ欄に流れ込んでくることがあります。
特にバズりやすいコンテンツ(プレゼント企画・限定商品・新製品発表など)の投稿は標的になりやすい傾向があります。

具体的な対処法としては、次の3点が有効です。

ミュートワードの活用:特定のパターン(無関係なリンク、不自然な文字列)をミュートワード登録しておくと、自動的に非表示になります。
キャンペーン投稿の前に設定しておくと安心です。

リプライ制限の設定:フォロワー以外のリプライを制限するオプションをキャンペーン投稿に活用することで、ゾンビのリプライ欄汚染を防げます。
完全にシャットアウトするとユーザーとの交流も妨げるため、投稿の性質によって使い分けるのがおすすめです。

スパム報告の徹底:見つけたらブロックとスパム報告をセットで行うことで、X運営によるアカウント凍結につながる可能性があります。
個別対応は手間ですが、継続することが重要です。

また、今回の松丸さんのように「ネタにして笑い飛ばす」対応も一手ですが、ブランドアカウントで同じことをするには文脈を選ぶ必要があります。
ユーモアで返せるかどうかは、ブランドのXトーンやキャラクターが日頃から確立されているかどうかにかかっています。

さらに深掘りしたい方へ

SocialReport編集部の考察

今回の件が面白いのは、「インプレゾンビが個人を分析して個人攻撃を行った」という点です。
従来のゾンビが「スケール(量)」で勝負していたのに対し、今回は「深さ(質)」で挑んできました。

SocialReportのデータ分析の視点から見ると、これはXのエンゲージメント設計が生んだ進化形と言えます。
リプライだけでの収益化が難しくなった結果、一件の「刺さるリプライ」を狙う方向への最適化が進んでいる可能性があります。
量産型のゾンビが減っても、「1件の過激リプライで数万インプレを稼ぐ」型の行動は残り続けると考えておく必要があります。

SNS担当者として注目したいのは、「このような過激リプライが付いたとき、ブランドはどう振る舞うか」という点です。
松丸さんはユーモアで返しましたが、企業アカウントで同じ対応をするには平時からブランドのXトーンを明確にしておくことが前提になります。
ガイドラインには「インプレゾンビへの対応フロー」も加えておくと、いざというときに迷わずに済むでしょう。

X収益化の仕組みが進化するたびに、インプレゾンビも形を変えます。
「対策で減った」という情報に安心せず、リプライ欄の定点観測を続けることがX運用の現実的な備えになるでしょう。

まとめ

インプレゾンビの「自我」が話題になった今回の件は、Xの収益化設計と人間の行動原理が交差する象徴的な出来事でした。
SNS担当者としては、リプライ欄の管理ツールと報告フローを整備し、万が一の際に慌てない準備をしておきましょう。