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「俺に届いた!」——スパイダーマン新作公式が仕掛けた”個別リプライ”キャンペーンがXを熱くした理由

shiritomo | AI・SNS・話題のテック情報メディア by Hashout編集部 @shiritomoAI_jp 2026年6月20日 更新
「俺に届いた!」——スパイダーマン新作公式が仕掛けた”個別リプライ”キャンペーンがXを熱くした理由

映画の公式アカウントから「いきなり個別のリプライが届いた」——そんな体験がTwitter(現X)にあるとしたら、どれだけの人が興奮して拡散するでしょうか。

2026年6月17日頃から、映画『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』の公式Xアカウント @SpidermanMovieJ が、独自のファン施策をスタートさせました。
投稿に「リポスト」や「いいね」をしたユーザーに対して、7月31日の公開日まで 不定期で個別にリプライを届ける というキャンペーンです。

驚かせたのは内容です。
届いたのは監督デスティン・ダニエル・クレットンが撮影した97秒のビデオメッセージ。
「来てくれてありがとう」「映画の公開を楽しみに待っていてほしい」という、いわばファンへの直筆手紙のような内容でした。
受け取ったファンは「俺に届いた!」「認知された!」と興奮しながら投稿を次々とシェア。
まさに”サプライズ設計”と呼べる施策が話題を集めています。

Xで広がった「届いた報告」の連鎖

今回のきっかけは、このキャンペーン告知を含む最新予告解禁ツイートです。

このツイートには2万7000件以上のいいね、9800件以上のリポスト、引用ツイートは1400件超。
予告動画そのものへの興奮も相まって、瞬く間にXのタイムラインを席巻しました。

引用ツイートの中には「あーはやくみたい」という一言に6600件のいいねが集まったものも。

映画自体への期待値の高さが、この施策の効果をさらに押し上げています。

さらに、Sony Pictures JapanのグループアカウントもXで最新予告を紹介。

公式アカウントのリプライを「受け取った人」だけが体験できる特別感が、受け取っていないファンに「自分も投稿しなきゃ」という行動を促す構造になっているのがポイントです。

“個別リプライ”施策はなぜ機能するのか

この施策の巧みさは、3つの要素が組み合わさっているところにあります。

① ランダム性によるFOMO効果

キャンペーンは「不定期」です。
全員に届くわけではなく、いつ届くかもわからない。
「もしかしたら自分にも来るかも」という期待感が、継続的なアカウントのフォローやエンゲージメントにつながります。

② 感情を動かすコンテンツ(監督ビデオ)

通知テキストだけでなく、監督からの映像メッセージを届けることで、「公式からリプライが届いた」よりずっと大きな感動体験 を生み出しています。
SNSの表示文字数に縛られない映像は、感情価値を飛躍的に高めます。

③ 「受け取った人がシェアしたくなる」設計

ユーザーがリプライを受け取った後に「届いた!」と投稿するのは自然な行動です。
この二次拡散こそが、施策の最大の狙いでしょう。
投稿するたびにキャンペーンがフィードに広がり、まだ受け取っていないユーザーへのリーチが増えていく。
これはPR費用ゼロの口コミ生成といえます。

映画マーケティングと「個別接触」の最前線

映画のSNSマーケティングで見ると、これまでは「予告解禁+大量拡散」が王道でした。
しかし近年、特に大型IPでは「体験の分人化(個別化)」が競争優位になりつつあります。

今回のスパイダーマン施策の前にも、2026年1月には “カウントダウンイベント” として世界各国のファンをXで繋ぐ企画が実施されており、トム・ホランド本人からの動画をスタートに段階的な情報解禁が行われていました。

最新予告は公開後24時間で史上最多ともいわれる視聴数を記録したという報告もあり、映画への期待値は世界規模で異例の高さです。
その熱量を”個別リプライ”という形で受け止め、さらに口コミへ変換するのが今回の施策の位置づけといえます。

また、SNS上の反応を見ると「#スパイダーセンスOFF」というハッシュタグを投稿すると通知が停止する設定も用意されており、受け取る側のコントロール権を保つ配慮もされていました。

さらに深掘りしたい方へ

SocialReport編集部の考察

今回のスパイダーマン公式の施策が示しているのは、「エンゲージメントを起こしてもらうだけでなく、それに応答する」という双方向設計の力です。

通常のSNSキャンペーンは「RT&フォローして当選を待つ」という一方通行が多いものです。
しかし今回は、リポストやいいねをしたユーザーに対して、監督本人のビデオメッセージという感情価値の高いリアクションが届く 仕組みになっています。
これは「企業が情報を発信する」から「ファンと企業が一緒に物語を作る」という体験設計のシフトといえます。

SNSマーケターにとっての実務ヒントは、「何かを”くれる”コンテンツより、何かを”体験させる”設計を考えること」です。
当選通知やクーポンコードは価値がありますが、「監督が自分に語りかける97秒の動画」は他では替えの効かない体験です。
ブランドが持つ固有の資産(キャスト・クリエイター・舞台裏など)を使って個別体験を届けることは、大型IPでなくとも応用できます。
たとえば商品開発者からのビデオ、デザイナーからのコメント、創業者からの手書きメッセージなど、ブランドに固有の人的資源を活かした施策は検討に値します。

まとめ

スパイダーマン公式の”個別リプライ”キャンペーンは、ランダム性・感情価値・二次拡散という3つが重なることで、大量のオーガニックな口コミを生み出す設計になっていました。
「エンゲージメントを受け取って終わり」ではなく「エンゲージメントに応答してさらに拡散させる」——この発想の転換が、SNSマーケターにとっての最大の学びではないでしょうか。