「対面では絶対言えないことを平気で言う」——Xの匿名文化を問う投稿が22万ビューの共感を集めた理由
Xを開くたびに、少し息が詰まることはありませんか。
「対面では絶対言えないことを平気で言う人が多い」という一言が、先日Xで大きな反響を呼びました。
先週、Xでこんな投稿が流れてきました。
「LINEとかインスタって本名使うもんなの?」——ねこりんさんがシンプルに投げかけたこの疑問に対し、「LIAM」さんが「普通本名以外ねぇよ」と返したポストが4万件を超えるいいねを集め、本名派とニックネーム派に分かれた大論争が巻き起こったのです。
気になって深掘りしてみました。
「SNSで本名を使う/使わない」の違いは単なる個人の好みではなく、プラットフォームごとに積み上がってきた「文化の違い」が背景にあることがわかってきました。
まず、プラットフォームごとの文化を整理してみましょう。
LINEは、もはや日本のコミュニケーションインフラです。
家族との連絡、職場のグループチャット、友人との約束調整——基本的にリアルで知り合った人と繋がる場として使われています。
この「既知の人とのやりとり」という前提が、本名(またはニックネームであっても相手に伝わる通称)での使用を「当たり前」にしてきました。

Instagramは少し複雑です。
友人・知人との写真共有から始まった文化では本名使用が多い一方、趣味アカウント・推し活アカウントになると匿名ニックネームが一般的になります。
1つのアカウントが「リア友用」から「趣味用」に転換する過程で、名前も変わっていく人が多いのです。
一方、Xはもともと匿名文化が根強いプラットフォームです。
「Xの匿名文化を問う」投稿が22万ビューを集めたことがあるように、「対面では言えないことを気軽に発言できる場」として機能してきた歴史があります。
今回の論争が特に盛り上がったのは、世代や使い方によって「SNSの常識」がまったく異なるからだと思います。
LINEを「家族・職場の連絡ツール」として使っている人にとっては、本名が「普通」です。
一方、ネット文化に慣れ親しんだ人にとっては「ネットではニックネームが当然」というのがデフォルト設定になっています。
背景として、日本のSNS利用の大きな特徴があります。
総務省のデータでは、LINEの利用率は全年代で圧倒的に高く、友人・知人との連絡手段として定着しています。
つまり、「LINEを使っている人の多くはリアル知人ネットワーク内で使っている」ということです。
こうした使い方の実態が、本名使用を「普通」と感じる空気を作り出しているのでしょう。

「本名か匿名か」は好みの問題ではなく、そのプラットフォームで誰と繋がるかの問題なのです。
この論争はSNS運用担当者にとっても無視できないテーマです。
プラットフォームによって、ユーザーの「自己開示の深さ」が異なります。
LINEで繋がる人は本名・実情報を持つリアルな顧客に近い存在であり、Xで繋がる人は匿名で情報収集しているオーディエンスである可能性が高いです。
これはコミュニティ設計にも直結します。
たとえば、ブランドのコアなファンコミュニティをLINEで運営するのと、X上のオープンな議論に参加してもらうのでは、求められるコンテンツの性質がまったく異なります。
前者は「信頼関係のある顧客への特別感」、後者は「拡散性と話題性」が軸になるでしょう。
また、ユーザーリサーチの場として使うSNSによって、収集できる情報の性質も変わります。
Xでのエゴサーチでは匿名での正直な意見が得られやすい一方、LINEの公式アカウント経由でのアンケートでは実際の顧客に近い声が集まりやすいという違いがあります。
「LINEやインスタは本名を使うもの?」という素朴な疑問は、日本のSNS文化を映す鏡でした。
本名か匿名かの選択は個人の好みというよりも、各プラットフォームが育んできた「誰と繋がる場所か」という文化の違いから来ています。
SNSマーケターとして複数のプラットフォームを使い分ける際に、この文化の違いを意識することで、より的確なコミュニティ設計や顧客とのコミュニケーション戦略が描けるはずです。
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