「あなたと付き合うメリットとデメリット」診断、VRC勢の間で大流行中
名前を入力すると、メリットが3つとデメリットが1つ、日替わりでランダムに表示される。
それだけの診断ページに、7月24日を境にポストが急に集まり始めました。
総診断数はすでに212万人超。
名前欄に自分の名前を打ち込み、出てきた一文をスクリーンショットで共有する——VRChat(VRC)やAvvyのユーザーの間で、この単純な遊びが急速に広がっています。
SNS運用やコミュニティ施策に関わる人にとっても、「なぜこの手の軽い遊びが特定コミュニティで一気に伝播するのか」を考える材料になりそうです。
この記事では、話題の診断の中身と、診断メーカーというサービスの仕組み、VRC・Avvyというコミュニティ特有の広がり方を整理します。
先に結論をまとめると:
– 診断メーカーの人気診断「あなたと付き合うメリットとデメリットは?」が総診断数212万人超を記録している
– 7月24日ごろからVRChat・Avvyユーザーの投稿が急増し、絶妙な言い回しのデメリットが共感と笑いを呼んでいる
– コミュニティ特有の「仲の良さ」と「アバターを介して自分ネタを出しやすい空気」が拡散を後押ししている

デメリットが1個だけ刺さる「日替わり診断」の中身
話題になっているのは、diagnosis maker(診断メーカー:日本語の無料診断作成サービス。
ユーザーが自作の診断コンテンツを作り、Xなどで共有できる)で公開されている「あなたと付き合うメリットとデメリットは?」という名前診断です。
名前を入力すると、あらかじめ用意された文章の中からランダムにメリット3つとデメリット1つが選ばれ、結果として表示されます。
結果は日替わりで変わる仕組みのようです。
このデメリット欄の言い回しが絶妙で、「温暖化が進む」「朝起きない」「突然旅に出る」といった、実害はないのにどこか刺さる一言が並びます。
VRCやAvvyのコミュニティでは、川ちゃんさん、澪コノエさん、よっしぃさん、東雲キヅクさんといったユーザーが結果をポストし、それぞれのフォロワーが反応するかたちで広がりました。
特に東雲キヅクさんの「LINE既読無視」というデメリットには、ディスコ(Discord:音声・テキストのコミュニケーションアプリ)やX上で早いフォローが相次いだといいます。
ただ、総診断数212万人という数字だけを見ても、それが本当に大きな数字なのか、単発の内輪ネタなのかは判断しづらいところです。
そこで診断メーカーというサービス自体の仕組みと、過去の似た事例を確認してみました。
調べて分かったこと
診断メーカーとはそもそもどんなサービスなのか?
診断メーカーは、Xなどのソーシャルサービスに投稿できる、ランダム結果型の診断コンテンツを誰でも作成できる無料サイトです。
名前診断の場合、作成者があらかじめ「リスト」と呼ばれる結果候補(最大10個まで設定可能)を用意しておき、診断のたびにその中からランダムに1つが選ばれる仕組みになっています。
入力する名前そのものによって結果が変わるわけではなく、あくまで乱数的に割り当てられる点がポイントです。
だからこそ、同じ人が日を変えて診断しても違う結果が出て、何度も試したくなります。
このジャンルの元祖としては、2007年に流行した「脳内メーカー」が有名です。
ユーザーの脳内を面白おかしく文字化するツールで、当時メディアでも取り上げられるほど話題になりました。
診断メーカー総合ランキングを見ると、上位の診断は「守りたいこの笑顔」が878.7万、「あなたを色にすると」が746.1万という累計診断数を記録しています。
それらと比べると、今回の212万人超は歴代トップクラスというほどではありませんが、VRCという特定コミュニティ発で短期間に伸びている点は特徴的だといえるでしょう。
なぜVRCとAvvyのユーザーに刺さったのか?
VRChatはVR空間で自分のアバターを介して交流するVRSNS(VR技術を使った交流サービス)です。
Avvyはスマートフォン1台で3Dアバターを作成し、そのままVTuber風に配信もできるアプリで、こちらもアバター文化を土台にしています。
どちらのコミュニティにも共通するのは、普段から「アバターという別の姿」を通じて自己紹介や自己ネタを発信することに慣れている点です。
その土壌があるところに、名前を入れるだけで「デメリットが1個だけ」出てくる診断が投下されると、自虐と笑いのバランスが取りやすくなります。
しかも診断結果はコピーしてそのまま貼るだけの短いテキストなので、投稿のハードルがほとんどありません。
フレンド同士の距離が近いVRC・Avvyのコミュニティでは、誰かが投稿すると身内が次々と反応し、それがまた新しい投稿を呼ぶという循環が起きやすい構造になっています。
7月24日以降にポストが急増したのも、こうした身内発の連鎖が短期間で広がった結果と考えられます。
212万人という数字は本当に多いのか?
診断メーカーには何百万件という診断が日々作られている一方、実際に総診断数が100万を超える診断はごく一部に限られます。
多くの診断は数千〜数万件で止まるため、212万人という累計数字自体は、内輪ネタとしては十分に大きな広がりだと見てよさそうです。
加えて、今回のようにピンポイントの日(7月24日)にポストが集中しているのは、特定のコミュニティ内で「今これが流行っている」という空気が一気に共有された典型的なパターンといえます。
Shiritomo編集部の考察:明日から使える視点は「小さく作って、狭く効かせる」
診断メーカーのような既存の外部サービスを使ったUGC(ユーザー生成コンテンツ)は、企業が独自に診断コンテンツを開発するより低コストで、しかも投稿のハードルを極限まで下げられる手法です。
今回のケースが示すのは、拡散の起点が「フォロワー数の多い個人」ではなく、関係性の濃いコミュニティ内での連鎖だったという点でしょう。
マス向けにバズらせようとするより、まずアバター文化やファンダムのように「身内ネタが通じる場」を1つ見つけて投下し、そこでの反応を起爆剤にする方が、企業アカウントの診断企画や参加型キャンペーンでも再現しやすい設計だと考えられます。
結果テキストを短く、コピー&ペーストしやすい形に絞ることも、参考にできるポイントです。
まとめ
「あなたと付き合うメリットとデメリットは?」という診断メーカーのコンテンツは、総診断数212万人超という数字と、VRC・Avvyコミュニティの身内ネタとしての伝播力が重なって広がりました。
マス向けのバズよりも、狭く濃いコミュニティでの連鎖こそが拡散の起点になりうることを、あらためて示す事例だといえるでしょう。