「掃除していたらiPod nanoが出てきたので充電してみたら」——Xで広がる古いiPod熱、生産終了から4年でも探す人が途切れない
「掃除していたらiPod nanoが出てきたので充電してみたら」。
Xに投稿されたその一言に、1,694件の「いいね」と6万8千件超の表示が集まりました。
写真に写るのは金色の四角い本体。
画面には「欅坂46 二人セゾン」の再生画面が映り、白いドックコネクタのケーブルにつながれています。
埃をかぶっていたはずの機体が、充電した途端に何事もなかったように動き出した——その一枚が、思いのほか多くの人の手を止めたようです。
古い機種の写真1枚がこれだけの反応を集めた背景には、iPodというブランドが今どういう状況にあるのかという事情がありそうです。
SNSでの発信を仕事にしている人にとっても、「なぜ今、10年以上前の機種の写真がこれだけ伸びるのか」は他のジャンルにも応用できる視点です。
今回はこの投稿を起点に、iPodの現在地を調べました。
先に結論をまとめると:
– Xでは古いiPod nanoを充電し直した写真投稿が話題になり、なつかしさをきっかけに「いいね」が伸びている
– Appleは2022年5月、最後まで残っていた「iPod touch」の販売を終了し、20年以上続いたiPodというブランド自体が幕を閉じた
– 生産終了から4年以上経った今も中古のiPodを探す動きは続いており、「iPod nano」は直近だけで月1万4,800件検索されている(Google広告のキーワードプランナー、2026年8月時点)
掃除の最中に出てきた金色のiPod nano
話題になった投稿の主は、掃除中に見つけたiPod nanoを久しぶりに充電してみたと報告しています。
写真の本体は角が丸い正方形の画面を持つタイプで、色は金色。
画面いっぱいに欅坂46「二人セゾン(Special Edition)」の再生画面が表示され、前後の曲送りボタンと再生ボタンが並んでいます。
下部からは白い30ピンのドックコネクタケーブルが伸びており、パソコンや充電器につないだ状態のまま撮影されたとみられます。
投稿に添えられたのは冒頭の一言だけでしたが、それだけで1,694件の「いいね」がつきました。
掃除していたらiPod nanoが出てきたので充電してみたら pic.twitter.com/Tsyyd4hh02
— 🐇月にひかる櫻🌸 (@moonhikasaku) 2026年9月22日
リプライや引用の数自体はそれほど多くありませんが、表示回数は6万件を超えています。
数字だけを見ると「そんなに伸びるものか」と思うかもしれませんが、この盛り上がりの背景には、iPodというブランドそのものが今どういう状況にあるのかという事情がありそうです。
そこで、iPodがいつ・なぜ姿を消したのかを調べてみました。
いつ、なぜAppleはiPodをやめたのか
Appleは2022年5月10日、当時唯一残っていたiPodのモデル「iPod touch(第7世代)」の販売終了を発表しました。
2001年の初代iPod発売から数えて20年以上、7世代にわたって続いたiPod touchのシリーズはこれが最後となり、事実上「iPod」というブランド自体が終了した形になります。
Appleは終了の理由について、iPodが担ってきた機能(音楽再生など)はすでにiPhoneをはじめとする自社製品全体でカバーできるようになったためだと説明しています。
今から4年以上前、iPodはすでに新品としては手に入らない存在になっているというのが現在地です。
今回話題になったiPod nanoも、金色のボディや四角い画面は、2010年発売の第6世代iPod nanoの特徴で、iPhone登場後にタッチ操作を採り入れた世代のデザインです。
開発の中心人物は「復活」を提案している
もうひとつ興味深いのが、初代iPodの開発を率いた人物として知られるトニー・ファデル氏が、iPodの復活をたびたび口にしている点です。
Podcast番組「Newcomer」に出演した際、ファデル氏は「AirPodの中にiPodを組み込むような、もっと賢いやり方があると思う。
だからAppleはiPodを復活させるべきだ」と発言したと報じられています。
理由として挙げているのは大きく2つです。
ひとつは今まさに起きているようなノスタルジー(懐かしさ)需要に応える狙い、もうひとつはスマホの通知や余計な機能に邪魔されず、音楽だけに集中できる「純粋な」体験を求める層がいるという読みです。
「もう通知に邪魔されたくない」という感覚は、今回Xで古いiPod写真に反応した人たちの気持ちとも重なる部分がありそうです。
中古のiPodは今もどれくらい探されているのか
ここまでは「懐かしさ」の話でしたが、実際に中古のiPodを探している人はどれくらいいるのでしょうか。
Google広告のキーワードプランナーで確認すると(2026年8月時点)、「iPod nano」という言葉は直近1カ月で1万4,800件、12カ月平均で1万8,100件前後検索されているとみられます。
「ipod中古」「中古のipod」もそれぞれ月1,000件前後で、直近1カ月と12カ月平均の比率(跳ね)はどちらも1.0〜1.1倍。
特定の時期だけ跳ね上がる一過性の検索ではなく、生産終了から4年以上が経った今も途切れず探され続けていることがうかがえます。
今回のようなSNS投稿がきっかけで検索が一時的に増える可能性はありますが、ベースになっている需要自体は以前から続いているものと考えられます。
Shiritomo GADGET編集部の考察:なつかしさ投稿が伸びる理由
今回の投稿が伸びた理由は、単に「古い機種だから」ではないと見ています。
ポイントは、写真に再生中の曲名まで写り込んでいたことです。
金色のボディだけでなく「欅坂46 二人セゾン」という画面表示があることで、見る側は「この曲を聴いていた頃の自分」を具体的に思い出しやすくなります。
抽象的な「懐かしい」ではなく、固有名詞ひとつで記憶が呼び起こされる構造です。
こうした投稿は、企業アカウントの発信にも応用できる視点があります。
単に「昔の製品です」と紹介するより、当時の具体的な利用シーン(再生していた曲、貼っていたシール、使っていた場所)を1つ添えるだけで、閲覧者自身の記憶と接続しやすくなり、保存やいいねにつながりやすくなる傾向があります。
ファデル氏が指摘する「通知に邪魔されない体験」への渇望も、SNS運用の文脈で言えば「情報が多すぎることへの疲れ」の裏返しとして読み取れるでしょう。
まとめ
古いiPod nanoを充電し直した一枚の写真から、Appleが2022年にiPodというブランドを終えていたこと、それでも中古を探す動きが途切れていないことが見えてきました。
次に古い端末が出てきたときは、充電してみると意外な反応が待っているかもしれません。
さらに深掘りしたい方へ
iPodの生産終了の経緯や、開発者による復活提案についてより詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
Apple is discontinuing its last iPod model – CNN Business
The iPod touch and ‘iPod’ brand are officially dead – 9to5Mac
The ‘father of the iPod’ says Apple should bring back a ‘nostalgic version’ of the music device – AOL
【訂正】(2026年9月26日)
公開当初の記述に誤りがありました(写真の金色・正方形画面のiPod nanoについて「iPhoneよりもさらに前の世代のデザイン言語を今に伝えている」と断定)。
一次情報を確認したところApple公式サポートページで確認したところ、正方形・マルチタッチ画面を採用したiPod nano第6世代(モデル番号A1366)は2010年9月発売。
初代iPhoneは2007年発売でこれより3年早く、記事の『iPhoneよりもさらに前の世代のデザイン』という時系列の断定は事実と逆であり、正しくはiPhone登場後にタッチ操作を取り入れた後発の世代である。
該当箇所を修正しています。
読者のみなさまにお詫びして訂正いたします。