「疑い」10.3%、5年で倍増――ゲーム行動症の陰で、スマホゲーム会社の倒産も過去最多ペース
5.1%が、10.3%に。
国立病院機構久里浜医療センターが実施した全国調査で、10〜29歳の「ゲーム行動症」疑いの割合が、2018年度からほぼ倍増したことが分かりました。
同じタイミングで、もう一つの数字も報じられています。
スマホゲームを開発・運営する会社の倒産件数が、今年に入って早くも過去最多ペースに達しているというものです。
ゲームに夢中になる若者が増える一方で、それを作る側の会社が次々と行き詰まっている——この記事では、両方の数字が指し示す「今のゲーム業界」を掘り下げます。
先に結論をまとめると:
– 10〜29歳の「ゲーム行動症疑い」は10.3%(2025年度調査)で、2018年度の5.1%からほぼ倍増しました
– WHOは2019年にゲーム行動症を新たな依存症として正式に認定しています
– 同時期、スマホゲーム会社の倒産は2026年1〜7月だけで10件と、過去最多だった年間ペースを上回る勢いで増えています
5年でほぼ倍増した「疑い」の中身
久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)は国の研究事業として、全国9,000人(10〜80歳未満)にアンケートを郵送し、4,650人から有効回答を得ました。
調査は2025年1〜2月に実施されています。
この結果、10〜29歳のうち10.3%が「ゲーム行動症の疑いがある」と判定されました。
ゲーム行動症とは、ゲームを優先するあまり学業や健康に支障が出ても続けてしまう状態のことで、WHOが2019年に新たな依存症として認定した比較的新しい概念です。
あくまでアンケートに基づく「疑い」であり、医師による正式な診断ではない点には注意が必要ですが、2018年度の5.1%から約5ポイントの上昇は小さくない変化です。

同じ週、ゲーム業界のもう一つの側面を映す数字も話題になっていました。
(日本語ツイートのため翻訳なし)
スマホゲーム事業者の倒産、2026年1-7月で既に10件。前年通年の3件超え、過去最多ペース🫢
— Game-i7 (@game_idaa) 2026年8月8日
少し前から増えている話題ですが、数字で見ると実感ありますね。
ただ「スマホアプリが稼げない」わけじゃなくて、市場の変化と国内の開発タイトルが噛み合っていないのが大きいんじゃないかと感じます。…
帝国データバンクの調査によると、スマホゲームの開発・運営を手がける事業者の倒産は2026年1〜7月ですでに10件。
前年同期のわずか3件を大きく上回り、過去最多だった2015年の年間12件に迫るペースだといいます。
ゲームで遊ぶ若者が増える裏側で、ゲームを作る会社の経営環境は厳しさを増しているようです。
調べて分かったこと
なぜ若年層の「ゲーム行動症疑い」がこれほど増えたのか?
久里浜医療センターは、「幼少期からインターネットやゲームに触れる環境が一般化し、依存傾向の高まりにつながっている可能性がある」と分析しています。
スマートフォンの普及によって、ゲームへのアクセスが以前より格段に容易になったことが背景にあると見られます。
センターは学校・家庭・地域が連携した予防的介入の重要性を呼びかけていますが、具体的な対策の効果はまだ検証段階にあります。
スマホゲーム会社の倒産はなぜ過去最多ペースなのか?
帝国データバンクの分析では、ゲームの映像表現や機能が高度化するにつれて開発費が増加していることが背景の一つです。
クリエイターの人材不足も重なり、発売後の運営費が高くなっている点も指摘されています。
加えて、中国・韓国などの海外企業との競争も激しさを増しています。
過去5年間に倒産したスマホゲーム事業者は29件。
うち資本金1000万円未満の小規模事業者が15件(51.7%)を占めており、体力のない中小の開発会社ほど淘汰されやすい構図が浮かび上がります。
帝国データバンク自身も、この調査結果をこう発信しています。
(日本語ツイートのため翻訳なし)
”サ終”相次ぐスマホゲーム、倒産も急増 過去最多ペースで推移 有名タイトルも相次ぐ「サービス終了」 https://t.co/Whx1PPVJnR
— PR TIMESビジネス (@PRTIMES_BIZ) 2026年8月7日
有名タイトルの「サービス終了」が相次いでいる背景には、こうした事業者の経営体力の限界があるようです。
この2つの数字は関係しているのか?
久里浜医療センターの調査とスマホゲーム会社の倒産動向は、それぞれ別の研究機関・調査会社によるもので、直接の因果関係を示すデータはありません。
ただし、両者は「ゲームに触れる時間が増えている」という同じ土壌の上で起きている現象だと捉えることはできます。
プレイヤー側の可処分時間の奪い合いは、以前より激しくなっている可能性があります。
開発側では限られたヒット作に注目が集まりやすく、中小事業者が生き残りにくい市場環境になっている可能性があります。
Shiritomo GAME編集部の考察:「遊ぶ側」と「作る側」、両方が悲鳴を上げている
今回の2つのニュースを並べて見ると、ゲーム業界が「遊ぶ側」と「作る側」の両方でひずみを抱えていることが見えてきます。
若年層のゲーム行動症疑いが倍増したという数字は、ゲームがそれだけ生活に深く入り込んでいる証拠でもあります。
しかしその一方で、ゲームを作る会社の経営は決して安定していません。
業界動向として注目したいのは、倒産の半数以上が資本金1000万円未満の小規模事業者に集中しているという点です。
スマホゲーム市場はヒット作に注目とプレイヤーの時間が集中しやすく、中小の開発会社ほど収益を確保しづらい構造になりつつあるのではないでしょうか。
プレイヤーとしては「新作が次々出る」ように見えるかもしれません。
しかしその裏で撤退していく会社が過去最多ペースで増えている事実は、業界の持続可能性を考える上で見過ごせない材料だと感じます。
まとめ
10〜29歳のゲーム行動症疑いが5年でほぼ倍増する一方、スマホゲーム会社の倒産も過去最多ペースで進んでいます。
「遊ぶ側」と「作る側」双方の変化として、今後の動向を注視する必要がありそうです。