カルビー「じゃがりこメーカー」が推し活UGCツールとして大人気——リニューアルで広がるブランドファンマーケティングの可能性
スナック菓子のパッケージに、推しの名前が入っていたら。
あなたはそれをSNSに投稿したくなりませんか?
カルビーが提供するウェブツール「じゃがりこメーカー」が、2026年4月23日に大幅リニューアルを実施しました。
好きな文字を入力するだけでオリジナルのじゃがりこパッケージ画像が作れるこのツール、推し活ユーザーを中心にXで大きな話題を集めています。
単なる「面白ツール」にとどまらず、ブランドがファンをクリエイターに変えるUGC戦略の教科書的な事例として、SNS・マーケティング業界でも注目されています。
「じゃがりこメーカー」とは何か
「じゃがりこメーカー」は、2021年10月にカルビーが「じゃがりこの日」(10月23日)に合わせて公開したウェブサービスです。
好きな文字を入力するだけで、本物そっくりのじゃがりこパッケージデザインが生成され、画像としてダウンロードできます。
推しキャラクターの名前、好きな食べ物、内輪ネタのワードなど、ユーザーが自由に楽しめる仕様です。
そして2026年4月のリニューアルで、このツールはさらに進化しました。
主な変更点は以下の3つです。
- カラーバリエーションが4色→14色に拡張: 推しのメンバーカラーを選べるようになり、推し活との親和性が一気に高まった
- スタンプ機能の追加: ハートやアイコンなどのスタンプでデコレーションが可能に
- じゃがりこ本体への貼り付け対応: 実物のカップに合わせた展開画像を出力でき、印刷して本物のじゃがりこに巻き付けられる
印刷して実物に貼れる、という体験設計は絶妙です。
デジタル上の創作物が、手でさわれるリアルなモノとして完成する瞬間が生まれます。
それを写真に撮ってXに投稿したくなる——という行動が自然に引き出される設計になっています。
推し活パッケージ第3弾と、ブランドのタイミング設計
じゃがりこメーカーのリニューアルと同時期に、カルビーは「推し活パッケージ第3弾」を2026年5月上旬から順次発売することも発表しています。
「おしかつ」「すきすぎて」「さいおし」「めろい」など、推し活シーンで使われる言葉がパッケージのロゴに入った期間限定品で、サラダ・チーズ・じゃがバター・たらこバターなど各味ごとに8種類のバリエーションが展開されます。

ツールのリニューアルと商品発売を重ねるタイミング設計は、UGC量を最大化するための意図的な仕掛けです。
「メーカーで推し活画像を作る→実物の推し活パッケージを買う→並べて写真を撮る→Xに投稿する」というサイクルが生まれやすくなっています。
カルビーPR部の公式Xアカウントでは、リニューアルと同タイミングで200名にじゃがりこペンライトやクリアカードが当たるキャンペーンも告知しました。
\合計2️⃣0️⃣0️⃣名様にその場で当たる🎯/#じゃがりこで推し活 キャンペーン✨
— カルビーPR部公式 (@calbee_PR) 2026年4月27日
非売品の「じゃがりこペンライト」1つと「じゃがりこ推し活クリアカード」2枚を合わせてプレゼント🎁
1⃣本アカウントをフォロー
2⃣本投稿を4/28 16:59迄にリポスト
➡当選者に即DM pic.twitter.com/3LPTO02GXy
フォロー&リポスト形式のこのキャンペーンは、自然なリーチ拡大を促しながらも、プレゼントの内容(ペンライト)が推し活シーンに直接刺さる設計になっている点が巧みです。
カルビーがメーカー主導からUGCにシフトした背景
今回の「じゃがりこメーカー」リニューアルは、カルビーが数年前から進めてきた戦略転換の延長線上にあります。

カルビーはかつて、14年にわたって会員制コミュニティ「あつまれ!とびだせ!じゃがり校」を運営していました。
「入試」を受けて合格した人だけが「生徒」として参加できるという仕掛けで、熱量の高いファンとの深い関係を築いていた取り組みです。
しかし2021年3月末に終了し、コミュニケーションの中心をSNSに移しました。
理由は明快でした。
当時、X(旧Twitter)上でじゃがりこに関するUGCが月に約3万件発生していたからです。
「企業が招待した限られた人」ではなく、「勝手に楽しんでいる大勢のファン」を活かすほうが、より広いつながりをつくれると判断したのです。
この転換は、ブランドが「場を提供する側」から「ファンの創作を支援する側」に変わった瞬間でもありました。
「じゃがりこメーカー」はその象徴的な施策です。
ブランドがツールを提供し、ファンがコンテンツをつくり、SNSで広まり、また新しいファンが参加する。
このサイクルは広告費をかけずに回り続けます。
公式Xアカウントが積極的にユーザー投稿を拾い返すスタンスも、このUGC重視の姿勢の表れです。
好きな文字を入力するだけで、オリジナルのじゃがりこパッケージ画像が作れちゃう!
— Calbee(カルビー)公式 (@Calbee_JP) 2026年2月19日
その名も
_人人人人人人人人人人人_
> じゃがりこメーカー <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄
推しの名前や食べたい味でチャレンジしてみて😉
🦒じゃがりこメーカーhttps://t.co/FiCfRo7CaG pic.twitter.com/j155KOFMz3
カルビー公式も「推しの名前や食べたい味でチャレンジしてみて」と呼びかけており、ファンとの双方向コミュニケーションをSNS上で意図的に設計しています。
SNS運用担当者が学べること
じゃがりこメーカーの事例は、「関与度の低い商材でもUGCは設計できる」という事実を示しています。
じゃがりこはコンビニやスーパーで100円台で買えるスナック菓子です。
単価も低く、購買判断に時間をかける商品ではありません。
それでもファンが熱狂的にコンテンツをつくり、月に3万件のUGCが生まれる。
その鍵になっているのが、「パーソナライズ可能なツール」の提供です。
ユーザーは自分の名前や推しの名前が入ったブランド画像をつくることで、そのブランドに個人的な意味を持たせます。
これが「拡散したいと思う理由」に直結します。
SNS運用の文脈で言えば、UGCを「お願いして生み出す」のではなく「自然に生まれる仕組みを設計する」という発想が重要です。
じゃがりこメーカーはその良い手本です。
また、ツールのリニューアルを推し活パッケージ発売と同期させたタイミング戦略も参考になります。
単独の施策ではなく、オンラインとオフライン・デジタルとリアルを連動させることで、話題が重なり、UGCの量と質が高まります。
まとめ
カルビーの「じゃがりこメーカー」リニューアルは、スナック菓子というシンプルな商材でUGCを設計するブランドファンマーケティングの教科書的な事例です。
14色展開・スタンプ機能・実物への貼り付け対応という機能追加はいずれも「ファンが投稿したくなる体験」から逆算された設計であり、推し活パッケージ第3弾との同時展開がSNS上の話題量を底上げしています。
SNS運用に携わる方にとって、「ファンをクリエイターに変えるツール設計」という視点は、業種を問わず応用できる考え方です。