本当にあった話の話、水上恒司の衝撃ポスターの真相――「ふざけてやってみたら使われてる」
「もうちょっと真面目にやってたんですよ。
ふざけてぐしゃってやってみたら、なんか使われてるみたいな感じだった」。
10月3日、TOHOシネマズ日比谷の舞台でこう振り返ったのは、水上恒司さんでした。
壇上には黒木華さん、小池栄子さん、大東駿介さん、そして武井佑吏監督の姿もありました。
話題になっていたのは、公開中の映画『本当にあった話(の話)』のポスタービジュアルです。
赤く染まった水上さんの顔が、強烈な笑みを浮かべて正面を見据えている一枚。
あの表情が、実は本編の演技として撮られたカットではなかったという裏話でした。
これから観ようか迷っている方にも、すでに観た方にも関係のある話だと思います。
ポスターの裏側だけでなく、タイトルにある「本当にあった話」が実際には何を指しているのかも、調べてみると意外な発見がありました。
先に結論をまとめると:
– 10月3日のTOHOシネマズ日比谷舞台挨拶で、話題の”衝撃ポスター”について水上恒司さんが「ふざけてやってみたら使われてる」と明かした
– 武井佑吏監督は「これ以外ないです」とこの表情を自ら推して採用した
– タイトルにある「配偶者入れ替え連続殺人事件」は、1999年に実際に起きた事件ではなく劇中だけに存在する架空の設定
舞台挨拶で明かされた”衝撃ポスター”の裏側
公開記念舞台挨拶には、主演の水上恒司さんのほか、黒木華さん、小池栄子さん、大東駿介さん、武井佑吏監督が登壇しました。
話題の中心になったのが、冒頭の発言にあったポスタービジュアルです。
宣伝担当からは「これ、水上さんって分からないじゃないですか」と指摘されたそうですが、武井監督は「僕はこれ以外ないです」と、あえて素顔から離れたこの表情の採用を押し切ったと明かしています。
本来は使われるはずのなかった”ふざけ”の一枚が、作品を象徴するビジュアルに格上げされたというエピソードです。
この発言を報じた複数の媒体は、揃って「ふざけてやってみたら使われてる」という見出しでこのやり取りを紹介していました。
このポスターが初めて公開されたのは、実は公開の4カ月近く前でした。
\ティザービジュアル解禁/
— 水上恒司STAFF【公式】 (@koshi_mizukami) 2026年6月11日
🩸映画『本当にあった話(の話)』
◤2026年10月2日(金) 公開決定◢
ひとりの男が全てを掌握し、破壊するー
戦慄と興奮に満ちた物語の幕開けを、
ぜひ楽しみにお待ちください。
🔍https://t.co/63ixozlvXW
監督 #武井佑吏
原作 #鴻池留衣#本当にあった話の話… pic.twitter.com/RyXXZP2spH
「ひとりの男が全てを掌握し、破壊する」という煽り文句とともに解禁されたティザービジュアルが、まさにこの”衝撃の笑顔”でした。
舞台挨拶で語られたのは、このビジュアルが生まれた瞬間の舞台裏だったわけです。
ただ、盛り上がっていたのはポスターの話題だけではありません。
Xでは早くも、作品そのものへの熱量の高い感想が広がっていました。
Xで広がった「バカおもろいっす」という感想
本編を観た人の反応として目立っていたのが、公開翌日に投稿されたこちらの感想です。
#本当にあった話の話
— DーJO(ディージョ) (@d_noch) 2026年10月2日
これ、ノーマークの方多いのでは?バカおもろいっす。舞台の役にのめり込むあまり狂気に支配された男が破壊するのは現実か、虚構か。予想のつかない展開と俳優陣の怪演。映画としての推進力が半端ない。それでいてシュールになりすぎないバランス感覚。すごい掘り出し物。観て。 pic.twitter.com/tt3zsCbFz9
投稿では「舞台の役にのめり込むあまり狂気に支配された男が破壊するのは現実か、虚構か」という作品の構造そのものに触れたうえで、「予想のつかない展開と俳優陣の怪演」「シュールになりすぎないバランス感覚」が評価されていました。
添付された3枚の画像には、あの赤いポスタービジュアルのほか、舞台のセットらしき場所で人物が横たわる場面、オフィスのような場所で机に突っ伏す人物の場面が写っています。
どちらも誰がどの役を演じている場面かは投稿本文に書かれていないため、ここでは触れません。
「現実か、虚構か」という軸こそが、この作品がノーマークの観客まで巻き込んでいる理由のようです。
そこで、タイトルにもなっている「本当にあった話」という言葉そのものを、もう少し掘り下げてみました。
調べて分かったこと
“本当にあった話”は実際にあった事件なのか?
公式のあらすじでは、1999年に起きたとされる「配偶者入れ替え連続殺人事件」を題材にした舞台が劇中で制作される、という設定が描かれています。
気になって調べたところ、この事件は実際に起きた事件ではなく、作品の中だけに存在する架空の設定だと分かりました。
タイトルの「本当にあった話(の話)」自体が、「本当にあった話だと思わせる話」という意味を含んだ、いわば仕掛けになっています。
虚構を現実のように見せる構造そのものが作品のテーマで、観客は劇中の「実話」を信じたまま物語に引き込まれていく作りのようです。
ここから先、夛田役の水上さんがどう役に呑まれていくかという核心部分は、ネタバレになるため本記事では触れません。
原作小説と武井佑吏監督はどんな経歴なのか
原作は、作家・鴻池留衣さんによる同名小説です。
もとは『文學界』2021年12月号に「フェミニストのままじゃいられない」というタイトルで発表された短編で、2026年8月6日に『本当にあった話(の話)』と改題のうえ文藝春秋から書籍化されています。
その2カ月後に映画が公開された、という流れになります。
監督・脚本を務めた武井佑吏さんは、本作が商業デビュー作です。
群馬県高崎市出身で、早稲田大学政治経済学部在学中に手がけた長編『赤色彗星倶楽部』が2017年のぴあフィルムフェスティバルに入選し、ジェムストーン賞(日活賞)と映画ファン賞(ぴあ映画生活賞)をダブル受賞しました。
同年からテレビマンユニオンに所属し、2021年には脚本・監督を務めたNHKの『今夜の旅はドラマチック/プラハ編』が第37回ATP賞テレビグランプリで優秀新人賞を受けています。
学生映画からテレビ、そして劇場作品へとステップアップしてきた監督だと分かりました。
映画は10月2日に公開され、配給は東京テアトルとmurmur。
テアトル新宿をはじめ、全国およそ100館規模で上映されています。
この後、舞台挨拶やイベントの予定はあるのか
今回観られなかった方や、もう一度足を運びたい方向けに触れておくと、10月10日(土)にはテアトル新宿で公開御礼のティーチインイベントが予定されています。
公開初週の舞台挨拶に続いて、作品について語る場がもう一つ用意されている形です。
Shiritomo MOVIE編集部の考察:裏話の”再現率の高さ”が効いている
今回のエピソードが興味深いのは、「ふざけて撮った一枚が正式ビジュアルに採用された」という裏話そのものが、複数の芸能メディアでほぼ同じ引用のまま横並びに記事化されていた点です。
舞台挨拶という一次情報の現場発言が、そのまま見出しとして転用されやすい形で出てきたことが分かります。
これは宣伝素材として狙って作られた逸話というより、監督自身が「これ以外ない」と押し切った判断の結果が、後から”語れるエピソード”になったという順番だと見るのが自然そうです。
公式が用意した煽り文句よりも、現場でのやりとりのほうが拡散のきっかけになりやすい――今回のケースは、その一例として読めます。
まとめ
公開記念舞台挨拶で明かされたのは、あの強烈なポスターが”狙って作られた一枚”ではなく、ふざけてやってみた表情を監督が強く推して採用したという裏話でした。
タイトルの「本当にあった話」自体が虚実を混ぜる仕掛けになっている作品だけに、この舞台裏のエピソードも含めて楽しむのが良さそうです。