旧ジャニーズ発、多言語ニュース拠点「STARTO NEWS ARCHIVES」はなぜ今始まったのか
繁体字中国語、タイ語、韓国語、英語。
この4つの言語で同じニュースを同時に読めるサイトが、7月1日に静かに公開されました。
運営するのはSTARTO ENTERTAINMENT、かつて「ジャニーズ事務所」として知られていた芸能事務所です。
サイト名は「STARTO NEWS ARCHIVES」。
無料のニュースレター兼メディアプラットフォームで、所属アーティストのリリース情報や海外公演の告知、限定コンテンツなどをまとめて発信するとされています。
日本の芸能事務所が、海外ファンだけを対象にした情報インフラをゼロから立ち上げる。
これ自体、これまであまり例のなかった動きです。
NEWSやSixTONES、Snow Manといった所属グループの最新情報を、日本語がわからない人にもそのまま届けられる仕組みができたことになります。
ウェブサイト上ではパーソナライズされたフィード(自分の好きなアーティストだけを選んで表示できる機能)も用意され、単なる翻訳ニュースを超えた「情報の入り口」を目指しているようです。

海外ファンが「公式」を持てなかった時間の長さ
今回の発表を見て気になったのは、内容そのものよりも「なぜ今なのか」という点です。
旧ジャニーズ事務所は長らく、公式ファンクラブの入会条件を「日本国内在住・国内郵便で受け取れる住所を持つこと」に限定してきました。
つまり海外在住のファンは、どれだけ熱心に応援していても公式チャネルに入れなかったわけです。
Instagramの投稿に英訳が添えられることはあっても、まとまった多言語ニュースの発信元は存在していませんでした。
そうした背景を踏まえると、「海外からも参加しやすくなった」という反応が集まっているのも自然な流れに見えます。
長年「公式の外側」に置かれていた海外ファンに、初めて正式な入り口が用意されたというのが、この件の実質的なインパクトではないでしょうか。
一方で「海外ファンクラブも作ってほしい」「チケット販売も多言語対応してほしい」といった要望も出ているようで、今回の施策はあくまで情報発信の入り口整備であり、参加や購入といった体験の多言語化はまだこれからの課題として残っている印象です。
事務所再編と海外展開、二つの文脈から読む
STARTO ENTERTAINMENTは、創業者の性加害問題を受けて2023年10月にジャニーズ事務所が社名変更した際に新設された、タレントマネジメント専業の会社です。
旧事務所は被害者補償を担う「SMILE-UP.」として存続し、タレントの契約や育成機能は2024年4月にSTARTO ENTERTAINMENTへ移管されました。
つまり今のSTARTO ENTERTAINMENTは、過去の負の遺産と切り離した形で新しい事業戦略を描く役割を担っている会社ということになります。

その戦略の柱のひとつが、米国や韓国を含むグローバル展開だとされています。
K-POPのアーティストと比較して、日本の男性アイドルグループは海外向けの公式情報発信やファン向けサービスの整備が遅れていると指摘されることが少なくありませんでした。
BTSをはじめとする韓国発のグループが、多言語SNS運用や公式ファンコミュニティを早くから整えていたのに対し、旧ジャニーズ勢は国内向け中心の体制が長く続いていたのです。
今回のニュースレター開始は、そうした「海外向けインフラの空白」を埋めようとする動きのひとつと位置づけられそうです。
タイ・台湾向けにLINEやFacebookも用意されている点からも、地域ごとの利用習慣に合わせた設計をしていることがうかがえます。
さらに深掘りしたい方へ
- STARTO ENTERTAINMENT公式サイト
- STARTO NEWS ARCHIVES
- STARTO ENTERTAINMENT Launches the “STARTO NEWS ARCHIVES” Newsletter Service(Business Wire)
SocialReport編集部の考察
SNS運用の観点で注目したいのは、今回の施策が「発信量を増やす」のではなく「届く経路を増やす」設計になっている点です。
多言語ニュースレターとLINE・Facebookという地域最適化されたチャネルの組み合わせは、拡散(リーチ)よりも継続接触(リテンション)を狙った構造といえます。
フォロー通知で好きなアーティストだけを追える設計も、離脱を防ぐ工夫でしょう。
過去、海外ファン向けの公式情報発信は英語のみ・SNS頼みのケースが大半でしたが、地域別の言語・プラットフォームを最初から分けて設計した点は、他の日本の芸能事務所やIP保有企業にとっても参考になる事例です。
ファンクラブや物販の多言語対応という「次の要望」にどう応えるかが、今後の拡散力を左右するポイントになりそうです。
まとめ
「STARTO NEWS ARCHIVES」は、長らく整備されてこなかった海外ファン向けの公式情報インフラに、ようやく入り口ができた出来事だと言えます。
ファンクラブやチケット販売の多言語化という次の要望にどう応えていくか、今後の展開が注目されます。