「七味の日」がXの記念日カレンダーを彩る——2010年に大阪の乾物屋が作った語呂合わせが16年目もバズる理由
ソフトクリームの日、通天閣の日、波の日、涙の日、渚の日、七味の日、オロナミンCの日——。
7月3日のX(旧Twitter)には、こんな「記念日」の羅列がタイムラインに次々と流れてきました。
花言葉や時候の挨拶を投稿するアカウントが、律儀にその日の記念日を並べていく。
その中に紛れ込んでいる「七味の日」が、実は毎年じわじわと反応を集めている、というのが今回気になったポイントです。
七味の日は「しち(7)み(3)」の語呂合わせで7月3日に制定された記念日です。
由来をたどると意外と新しく、2010年に大阪の乾物・調味料メーカーである向井珍味堂が、自社の看板商品である七味唐辛子をPRする目的で作りました。
一般社団法人日本記念日協会にも正式に登録されており、単なる語呂合わせの「なんちゃって記念日」ではありません。
「今日は何の日」ボットが七味の日を毎年運んでくる
Xを見ていると、七味の日そのものを主役にした投稿はそれほど多くありません。
むしろ目立つのは、その日の記念日を一覧で紹介する「今日は何の日」系アカウントの存在です。
きょう7月3日は
ソフトクリームの日
通天閣の日
波の日
涙の日
渚の日
七味の日
オロナミンCの日
塩と暮らしの日
フランツ・カフカの誕生日
栃木市渡良瀬遊水地ラムサール条約登録記念日
誕生花はマツバギク
花言葉「のんびり気分」 pic.twitter.com/SpUf9ZdTiE— はな言葉🌷葉菜桜花子🌷新刊発売 (@hanacotoba_jp) 2026年7月2日
このアカウントは花言葉と一緒に、その日に制定された記念日をまとめて紹介するスタイルで、投稿は2,000件超のいいねを集めていました。
同じように、朝の挨拶と記念日リストをセットで届けるアカウントの投稿にも、1,000件を超えるいいねがついています。
おはようございます
— Terry (@realTSHKFRT) 2026年7月2日
7月3日(金)
何の日
ソフトクリームの日*
通天閣の日
七味の日
波の日
誕生花・花言葉
ハス 清らかな心
*1951年のこの日
明治神宮外苑で行われた
米軍主催のアメリカ独立記念日を
祝うカーニバルでソフトクリームが販売され
初めて一般の日本人が食べた
良い一日を!
ハス pic.twitter.com/t4KI41b0jk
七味の日そのものを深く掘り下げた投稿ではなく、あくまで「今日は〇〇の日」の一項目として紹介されているだけなのに、これだけの反応があるのは興味深いところです。
記念日単体の知名度よりも、「今日は何の日リスト」という定番フォーマットに乗ることで拡散力を得ているとも言えそうです。

なお、Xのポストを要約したニュース情報では、マルちゃん(東洋水産)が「赤いきつねに七味を足すとどうなる?」といった趣旨のクイズ投稿をし、紀文食品もはんぺんと七味の組み合わせを提案していたと報じられていました。
ただし今回、これらの投稿を筆者側で直接確認することはできなかったため、あくまで報道ベースの情報として捉えてください。
個人ユーザーがうどんや豚汁に七味をかける組み合わせを紹介する投稿も見られ、企業発の記念日が生活シーンの投稿を誘発する動きがあったようです。
なぜ「〇〇の日」はマーケティングの定番手法になったのか
七味の日のように、企業が自社商品にちなんだ記念日を作り、日本記念日協会に登録する動きは珍しくありません。
年間で登録される記念日は数百件にのぼり、7月3日だけでも七味の日を含め複数の記念日が制定されています。
背景にあるのは、記念日そのものが持つ「話題にする理由」の強さでしょう。
通常の新商品告知は一方的な宣伝に見えがちですが、「今日は〇〇の日だから」という文脈があると、ユーザーも企業アカウントも会話に参加しやすくなります。
専門用語で言えば、記念日は投稿のインプレッション(表示された延べ回数)を底上げする「乗っかりやすい話題」を毎年安定供給してくれる装置とも言えるかもしれません。
こうした記念日マーケティングは七味の日に限った話ではありません。
たとえば毎年6月26日に多くの投稿が集まる「試作品626番の日」(通称スティッチの日)のように、企業やブランドが公式に定めた記念日がXのタイムラインを染める例は他にも存在します。
SocialReport編集部の考察
記念日マーケティングの強みは、単発のキャンペーンと違って毎年同じタイミングで話題にできる再現性にあります。
七味の日は2010年の制定からすでに16年、Xという場が生まれる前から続く仕組みですが、今も「今日は何の日」ボットというフォーマットに乗って一定の反応を得続けています。
SNS担当者への示唆としては、記念日そのものを作ることよりも、「今日は何の日」を紹介する既存アカウント群に自然に取り上げられる、覚えやすく語呂の良いネーミングを設計することが重要ではないでしょうか。
単独でバズを狙うより、すでに存在する拡散導線に乗せる設計のほうが、長期的には安定した露出につながりそうです。
さらに深掘りしたい方へ
七味の日の由来や登録制度について詳しく知りたい方は、以下も参考になります。
まとめ
七味の日は、企業が仕掛けた記念日が16年かけてXの「今日は何の日」文化に根づいた一例です。
単発の宣伝ではなく、日々の記念日紹介という定番フォーマットに乗ることで、毎年安定した露出を得られる仕組みができあがっているように見えます。

