1.5ミリの隙間を通り抜けるロボット、香港中文大学の「磁性スライムロボット」がXで再注目
1.5ミリ。
人間の小指の爪よりも狭いこの通路を、磁石だけで動く柔らかいロボットがくねりながら通り抜けていきます。
香港中文大学(CUHK)の研究チームが開発した「磁性スライムロボット」が、発表から数年を経た2026年8月2日現在もXで話題になっています。
ガジェット好きなら、ロボットというと金属やモーターを思い浮かべるかもしれません。
この記事では、なぜ今このロボットが再びXで注目されているのか、そして実際にどんな仕組みで動いているのかを調べてみました。
先に結論をまとめると:
– 磁性スライムロボットは香港中文大学が2022年に発表した実在の研究で、外部の磁場で形を変えながら移動・把持できる
– 医療応用(体内の誤飲物回収など)を見据えた研究であり、玩具や映像作品のスライムとは開発の目的が異なる
– 2026年8月2日時点でXでは複数の独立したアカウントが驚きの声を投稿しており、著名人の発言として裏付けられた投稿は確認できていない
Xで広がる「粘菌にしか見えない」の声
Xでは、磁場で自在に形を変えるこのロボットの映像に対し、「粘菌にしか見えない」「これはもうSFじゃない」といった投稿が相次いでいます。
中には興奮気味に感想を投稿したアカウントもありました。

磁性スライムロボットすげー!!
— (V)・∀・(V)かにぱん。🦀🍞@つくば (@kanipan666) 2026年8月2日
粘菌にしか見えねー!!! https://t.co/iF75p0sbWP
こうした投稿は数件〜数十件程度の反応にとどまっていますが、投稿しているアカウントは互いに無関係で、それぞれが独立して同じ映像に反応している点が目を引きます。
ただ、「粘菌」という見た目の印象だけでは、このロボットが何のために作られたのかまでは分かりません。
実際に何ができるロボットなのか、一次情報にあたって確認してみました。
そもそも「磁性スライムロボット」とは何なのか?
香港中文大学工学部の張立(Zhang Li)教授の研究チームが開発したこのロボットは、2022年に学術誌「Advanced Functional Materials」で発表された研究成果です。
ポリビニルアルコール(PVA:水に溶ける合成樹脂)とホウ砂、そしてガラスでコーティングしたネオジム磁石の微粒子を混ぜ合わせて作られており、外部から磁場をかけることで、伸びる・縮む・分裂する・自己修復するといった変形が可能になっています。
CUHKの発表によると、この仕組みを使えば手術で切開することなく、誤って飲み込んだボタン電池や鋭利な骨などの異物を、消化管の模型内で回収できることが実験で確認されています。
ネオジム磁石の微粒子自体には毒性があるため、研究チームはガラスコーティングを施すことで安全性を高める工夫もしているとのことです。
なぜ2026年になっても話題になり続けているのか?
研究発表そのものは2022年ですが、こうした「見た目のインパクトが強い研究映像」は、SNS上で数年単位で繰り返し拡散される傾向があります。
今回もXでは、映像自体は新しいものではなく、過去に公開された研究デモの映像が改めて流通した可能性が高いとみられます。
もう一件、英語で投稿されたツイートも見つかりました。
「これはもうSFじゃない。
香港中文大学の研究者たちが、リモートコントロールで動かしたり、狭い隙間を通り抜けたり、さらには物体を掴んだりできる磁性スライムロボットを開発しました。
潜在的な応用例は、人体に誤って飲み込まれた物体の回収」という趣旨の投稿です。
これはもうSFじゃない。🧲
— mow & (@mow1186293_mow) 2026年8月2日
🔺香港中文大学の研究者たちが、
🔺リモートコントロールで動かしたり、狭い隙間を通り抜けたり、
さらには物体を掴んだりできる#磁性スライムロボットを開発 しました。
一つの潜在的な応用例?人体に誤って飲み込まれた物体を、
従来の手術なしで取り除くこと。… https://t.co/SySHJjWPuC
この投稿の内容は、CUHKが公式に説明している研究目的とおおむね一致しています。
一方で、今回の話題の元になったニュースには特定の著名人がこのロボットに反応したという情報も含まれていましたが、該当する発言は検索では確認できませんでした。
そのため、この記事では特定個人の発言としては扱わず、あくまで「複数の独立したアカウントが言及している実在のトレンド」として紹介しています。
軍事転用への懸念にも根拠はあるのか?
Xの投稿の中には、「こんな技術は軍事転用されるのでは」という懸念の声も見られました。
ただ、CUHKが公表している研究の主眼はあくまで医療応用(低侵襲な異物除去)であり、軍事利用を前提とした発表内容は確認できていません。
柔らかく変形する素材技術全般に対する漠然とした不安が、投稿として表れている面が大きいと考えられます。
一方で、単純に動作原理への素朴な疑問を投げかける投稿もありました。
本当に…?スライムロボット?凄いけど…どうやって動かしてるんだろ?
— あおいきじ (@kisoaji1003) 2026年8月2日
このように「どうやって動いているのか分からない」という素朴な疑問も多く見られました。
仕組みとしては前述の通り、内部に混ぜ込まれた磁性粒子が外部磁場に反応することで、ロボット自体にモーターや配線を内蔵せずに変形・移動できる点が特徴です。
Shiritomo GADGET編集部の考察
磁性スライムロボットのような研究映像がSNSで繰り返しバズる背景には、「モーターや歯車を持たないのに動く」という直感に反する見た目のインパクトがあります。
従来の家電・ガジェットが「硬い部品の組み合わせ」で機能を実現してきたのに対し、この研究は素材そのものに機能を持たせる「ソフトロボティクス」という設計思想の一例です。
今のガジェット市場でも、折りたたみスマホや伸縮するバッテリーなど、「柔らかさ」を性能に変える技術トレンドが広がりつつあります。
今回のような研究映像への反応の大きさは、消費者が「硬い金属の塊」から「変形する素材」へと、次世代デバイスへの期待をシフトさせつつある兆候として読むこともできそうです。
まとめ
香港中文大学の磁性スライムロボットは、2022年発表の実在する研究成果であり、外部磁場による変形・自己修復・異物回収といった医療応用を目指したものです。
著名人の反応は確認できませんでしたが、映像そのものの見た目のインパクトが、複数の独立したアカウントによる再拡散という形で今もXを賑わせています。
さらに深掘りしたい方へ
研究の詳細は、香港中文大学工学部の公式ページ「CUHK Researcher Develops a Magnetic Slime Robot that Could be Used in Human Digestive Systems」で確認できます。
学術的な裏付けとなる原著論文は、学術誌に掲載された「Reconfigurable Magnetic Slime Robot: Deformation, Adaptability, and Multifunction」で読むことができます。