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25kgの四足ロボが崖を登り、服は21秒で自動着用——ロボットが5つの顔を見せた1ヶ月【編集部まとめ】

Shiritomo編集部 @shiritomoAI_jp 2026年7月27日 更新
25kgの四足ロボが崖を登り、服は21秒で自動着用——ロボットが5つの顔を見せた1ヶ月【編集部まとめ】

自重25kg、最大搭載150kg。
中国Unitreeの四足ロボットが岩場を駆け上がる映像が公開された同じ1ヶ月に、韓国とアメリカの研究チームは「服そのものがロボットになる」実験映像を公開しました。
上海の会場では顔の駆動部に26自由度を持つヒューマノイドが瞬きを再現し、新宿高島屋では6万4,900円のもふもふロボットに「パチー」という名前が付けられていました。

この1ヶ月に自媒体で扱った記事を並べ直してみると、国もメーカーも用途もバラバラなのに、共通して「ロボット的な機構」が話題の中心にある記事が5本見つかりました。
単発では気づきにくいこの重なりを、あらためて追ってみます。

先に結論をまとめると:

  • この1ヶ月、四足ロボット・ヒューマノイド・着るロボット・ロボット内蔵スマホ・ロボットペットという5種類の「ロボット」が、業界も国も揃わないまま同時多発的に話題になった
  • 共通するのは、駆動部(モーターや関節などロボットを動かす仕組み)が「機体全体」から「服」「カメラの一部」「毛むくじゃらの筐体」へとどんどん小さく・身近な場所に入り込んでいること
  • 価格・発売時期が確定しているのはMoflinさくら色(9月4日・64,900円)のみで、他4件はいずれも技術デモか発表段階にとどまる

いま、ロボットに何が起きているのか

きっかけを辿ると、震源地はいずれも「発表イベント」でした。
7月17〜20日に上海で開かれた世界人工知能大会WAIC2026では、ヒューマノイド関連の出展社が前年の80社台から200社超に膨らみ、208種類・300台超のロボット実機が集まったと現地メディアが報じています。
同じ7月17日、「10秒で着られるロボット服」の実験映像がReuters Science公式アカウントから投稿され、24時間足らずで5,000件超のいいねを集めました。
7月24日にはUnitreeが新型四足ロボットを発表、同じ日に新宿高島屋ではカシオのAIペットロボットの新色イベントが開かれていました。

つまり、それぞれは無関係な単発ニュースに見えて、実際には同じ7月後半の10日間ほどに集中して起きていた出来事です。
同じ7月24日に発表されたUnitreeの四足ロボットと、新宿高島屋で開かれたカシオMoflinさくら色のお披露目イベントが同日という点も、この重なりの分かりやすい例といえます。
ここからは、この5つの事例を発表の早い順に見ていきます。
それぞれ「ロボット」という言葉から連想する姿がまったく違う点に注目してください。

この1ヶ月で見えた、ロボットの5つの顔

1. 首を振るスマホは、カメラの常識を覆した

7月18日、中国HONORが上海で発表したのは、背面カメラ部分が生き物のように動く「Robot Phone」でした。
心臓部はチタン合金製の4DoF(4自由度)ジンバル(カメラのブレを物理的に打ち消す手ブレ補正機構)アームで、既存の消費者向け電子機器のモーターより約70%小型化したカスタムマイクロモーターを採用しています。
アーム自体が360度回転し、ビデオ通話中はAIが被写体を自動検出して画面中央に捉え続ける機能も備えるとされています。

カメラ構成は200MPメインに200MP望遠・50MP超広角を組み合わせた3眼構成で、映画撮影機材メーカーARRIとの協業でプロ向けの色再現にも対応する見通しです。
これまでのスマホは「本体を動かして構図を決める」のが当たり前でしたが、Robot Phoneはカメラ側が動いて被写体を追うという発想の転換が起きています。
価格は未公表、中国では8月発売が見込まれていますが、日本展開は現時点で未定です。

背面からアームが生えて被写体を追いかける、HONORの「Robot Phone」が上海で正式発表へ背面からアームが生えて被写体を追いかける、HONORの「Robot Phone」が上海で正式発表へ4DoFジンバル搭載カメラでカメラ自体が被写体を追う、新発想のスマホが上海で正式発表された経緯を追った記事です。

2. 服そのものがロボットになる日

前日の7月17日、KAIST(韓国科学技術院)とスタンフォード大学の共同チームが発表したのは、空気圧で動く「蔓(つる)」状のソフトロボットを服の内側に仕込んだ衣服「SWAG(Self-Wearing Adaptive Garments)」でした。
服の内側の筒状チャンネルに空気を送り込むだけで、生地が先端からめくれながら体の形に沿って自動で広がっていく仕組みです。
袖は14秒、ジャケットは13秒、ズボンは21秒という数字が実験映像とともにX上で急速に広まり、Reuters Scienceの投稿は180件以上引用されました。

この研究はIEEE RA-L(Robotics and Automation Letters)のベストペーパー賞を2年連続で受賞し、2026年のICRA(国際ロボティクス・オートメーション会議)でも表彰されています。
想定用途は半導体クリーンルームの防護服や介護・医療現場、消防など「手がふさがっている」状況での着替え支援です。
カメラの一部にロボット機構を組み込んだRobot Phoneに対し、こちらは衣服そのものを駆動部にしてしまった点が対照的です。

服が自分で這い上がってくる——KAISTとスタンフォードの「10秒で着られるロボット服」がXで急拡散服が自分で這い上がってくる——KAISTとスタンフォードの「10秒で着られるロボット服」がXで急拡散空気圧の「蔓」構造で服そのものが自動で着られる技術と、想定される活用現場を掘り下げた記事です。

3. 崖を登る四足ロボは、もう「研究デモ」じゃない

7月24日、中国Unitree Roboticsが発表した新型四足ロボット「Super Athlete AS2-W」は、脚の先にホイールを組み込み、平地ではホイールで滑走、階段や岩場では脚だけで踏み込むという2つの移動方式を自動で切り替える設計です。
自重約25kgながら静止時は150kg(成人3人相当)の荷重に耐え、16kgの荷物を積んだまま最大25km超、無積載なら30km超を走行できます。
45度の傾斜や80cmの垂直な段差も乗り越えられ、IP54(雨やほこりのある屋外環境を想定した保護等級)の防水・防塵性能も備えています。

公式Xの投稿は「連続16kgの荷物を積んだまま、無積載なら30km以上走行できる」という数字をそのまま伝えていましたが、拡散はまだ初期段階で、海外の科学系アカウントの投稿でもいいね数は数十件程度にとどまっていました。
それでも脚とホイールを状況に応じて自動で使い分ける「輪足融合」設計は、物流やインフラ点検の現場での実用化がどこまで近づいたかを測る材料になりそうです。
価格・発売時期は公式に未発表です。

岩場も川の中も駆け抜ける――Unitreeの新型四足ロボ「AS2-W」が見せた25kgボディの機動力岩場も川の中も駆け抜ける――Unitreeの新型四足ロボ「AS2-W」が見せた25kgボディの機動力脚とホイールを自動切り替える四足ロボットの詳細スペックと、公式発表の数字を確認した記事です。

4. 表情筋26カ所のヒューマノイドが人間に近づきすぎた

7月17〜20日、上海で開かれたWAIC2026の会場には、中国のロボットベンチャーAheadForm(首形科技)が手がける「Origin F1」の姿もありました。
頭部・目・顔まわりの駆動部に26個の自由度を持ち、独自のマルチモーダルAI「Omni」が音声・視覚・言語を統合処理することで、中国語・英語のバイリンガル対話や、驚き・茶目っ気といった細かな表情表現を可能にしていると説明されています。
会場映像への反応は、好奇心と「不気味の谷(人間に似すぎたロボットに人が違和感や恐怖を覚える現象)」への戸惑いが入り混じったものでした。

創業者の胡宇航氏はコロンビア大学で博士号を取得した人物で、2025年発表の顔面プロトタイプ「Origin M1」から全身型の対話プラットフォームへと発展させたのがOrigin F1です。
中国工業情報化省は国内の人型ロボット年間生産台数が2026年に10万台を突破する見通しを示しており、前年の世界出荷台数(約2万台前後)から一気に5倍近い規模になる計算です。
Unitreeの四足ロボが「実用性」で勝負するのに対し、Origin F1は人間らしさそのものを再現する方向に振り切っている点が対照的でした。
価格や発売時期は正式発表されていません。

瞬きと視線が人間そのもの——上海WAIC2026で見た超写実ヒューマノイド「Origin F1」の実力瞬きと視線が人間そのもの——上海WAIC2026で見た超写実ヒューマノイド「Origin F1」の実力26自由度の駆動部とマルチモーダルAIによる表情表現の仕組み、市場規模の見通しまで確認した記事です。

5. ロボットは怖いものから、6万円台で買う「家族」になった

7月24日、新宿高島屋1階の特設会場では、カシオのAIペットロボット「Moflin(モフリン)」に初めて加わった新色「さくら色」のお披露目イベントが開かれました。
M-1グランプリ2025王者「たくろう」の赤木裕さんときむらバンドさんが日本初オーナーとなり、手のひらサイズの淡いピンクのロボットをそれぞれ「パチー」「さくりん」と名付けています。
9月4日発売で価格は64,900円(税込)、既存のゴールド・シルバー(各59,400円)より5,500円高く、価格差の理由は公式には明言されていません。

Moflinは四肢や顔のパーツを持たず、全身がもふもふの毛で覆われた重さ約260gの筐体に、5カ所のタッチセンサーや加速度・ジャイロセンサーを内蔵し、抱き方や話しかけ方に応じて「感情」が変化するAIを搭載しています。
Origin F1が「人間に似せる」方向、Unitree AS2-Wが「作業をこなす」方向だとすれば、Moflinは駆動部を毛皮の中に隠して「家族」として迎え入れさせる方向に振り切った製品です。
同じ「ロボット」という言葉が指す幅の広さが、この1ヶ月で最もよく分かる事例でした。

M-1王者たくろうが「日本初オーナー」に カシオMoflin新色さくら色、64,900円の意味を考えるM-1王者たくろうが「日本初オーナー」に カシオMoflin新色さくら色、64,900円の意味を考える新色さくら色の価格差の謎と、Moflinというロボットペットの仕組みを掘り下げた記事です。

5個の事例を1枚にまとめると

事例 数字 効いたもの
HONOR Robot Phone 4DoFジンバル、200MP×2+50MPの3眼カメラ カメラ自体が動いて被写体を追う発想の転換
SWAG(着るロボット服) 着用は最短13〜21秒 空気圧で伸びる「蔓」構造による手を使わない自動着衣
Unitree AS2-W 自重25kg・静止時最大150kg・16kg積載で25km超走行 脚とホイールを自動切り替える「輪足融合」設計
Origin F1 頭部・顔の駆動部26自由度 マルチモーダルAI「Omni」による自然な表情生成
Moflinさくら色 価格64,900円(既存色比+5,500円) ピンクの毛並みに癒やしのコンセプトを重ねた設計

Shiritomo GADGET編集部の考察:ロボットは「本体」から「部品」へ広がっている

5事例を並べて見えてきたのは、ロボットという言葉が指す対象が「機体まるごと」から「服の内側」「カメラの一部」「毛皮の中」へと分散している構造です。
Unitree AS2-WやOrigin F1のように「これはロボットです」と分かりやすい製品がある一方、HONOR Robot PhoneやSWAGのように、ロボット的な駆動部が既存のガジェットや衣類の中に部品として溶け込み始めているのが今の段階といえそうです。

読者が明日からできることは2つあります。
ひとつは、次に気になるガジェットを見るとき「どこにモーターや駆動部が隠れているか」を意識してみること。
もうひとつは、価格・発売時期が確定しているのはMoflinさくら色だけという現状を踏まえ、他4件については「デモ映像の見た目」と「実際に買える製品になる時期」を混同しないことです。

まとめ

崖を登る四足ロボから毛皮に包まれたロボットペットまで、7月後半の10日間ほどに集中して5つの「ロボットの顔」が並びました。
それぞれの発表を追いながら、ロボット機構がどこに入り込んでくるかを引き続き見ていきたいと思います。

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