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Xの新クリエイター報酬、ドルじゃなく「USDC」で払われるかもしれない理由

Shiritomo編集部 @shiritomoAI_jp 2026年8月21日 更新
Xの新クリエイター報酬、ドルじゃなく「USDC」で払われるかもしれない理由

9,301いいね。
8月7日、Xの製品責任者アレグラ・ジャッキア氏が投稿した1本のポストに、そんな数字がつきました。
「Original Content Rewardsを始めます」。
旧来の収益分配プログラム(Revenue Sharing)を終わらせ、新しい報酬制度に切り替えるという告知でした。

それから2週間後の8月20日、CoinDeskがこの新制度についてもう1つの動きを報じています。
クリエイターへの支払いに、ドルではなくCircle社の「USDC」などステーブルコイン(法定通貨と価値が連動する暗号資産)を使うことを検討しているというものです。
SNSで収益を得ている、あるいはこれから得ようとしている読者にとっては、「いつ・いくら」だけでなく「どの通貨で」振り込まれるかという新しい変数が加わる話でもあります。

先に結論をまとめると:
– Xはクリエイターへの報酬支払いに、Circle社のステーブルコイン「USDC」を使う案を検討中(CoinDesk報道、8月20日)
– 背景には、9月8日から本格移行する新プログラム「Original Content Rewards」があり、旧来の収益分配は9月7日で終了します
– 導入時期・支払い方式とも未確定。
ただしPornhubやMetaなど他プラットフォームでは既にUSDC払いが実用化されています

Xが「オリジナリティ」重視の新報酬を始めた日

ジャッキア氏の投稿は、単なる制度変更のお知らせではありませんでした。
文面には「Revenue Sharingのインセンティブは、いつしか歪んでいた」という率直な自己評価が並びます。

Today, we’re launching Original Content Rewards.
The reality is that Revenue Sharing had reached a point where its incentives were misaligned. Creators should be focused on bringing net new content to the platform instead of maximizing payouts.
(今日、Original Content Rewardsを始めます。
実のところRevenue Sharingは、インセンティブが歪んでしまった状態に達していました。
クリエイターは報酬の最大化ではなく、プラットフォームに新しいコンテンツをもたらすことに集中すべきです。)

342万インプレッション、9,301いいねという反応の大きさが、この制度変更がクリエイター層にとって他人事ではないことを物語っています。
関連する米メディアの反応も、同じ日のうちに広がりました。

Xの動向を追うアカウント「Sawyer Merritt」も、同日にこう伝えています。

Starting Sept 8th, 2026, they will begin rolling out access for existing Revenue Sharing members to apply for the new program.(2026年9月8日から、既存のRevenue Sharingメンバー向けに新プログラムへの申請受付を順次開始します。)

ただ、この2本のポストだけでは「なぜ今、支払い通貨まで変えようとしているのか」までは分かりません。
そこでCoinDesk発の一次報道と、X公式ヘルプの記述を確かめてみました。

なぜ今、ステーブルコインなのか?

CoinDeskの報道によれば、Xの狙いは「速さ」と「コスト」にあるようです。
Xのクリエイター基盤はアメリカ国外にも広く分布しており、従来型の銀行送金は手数料が高く、着金までに日数もかかりやすいとされています。
USDCのようなドル連動のステーブルコインを使えば、国境をまたぐ送金でもほぼリアルタイムかつ低コストで届けられる可能性があるのです。

イーロン・マスク氏が率いるSpaceXの衛星通信サービス「Starlink」は、国際決済に既にステーブルコインを採用している実績もあります。
Xを「何でもできるアプリ(Everything App)」にするという同氏の構想の中で、決済基盤「X Money」の一部としてステーブルコインを組み込む狙いも透けて見えます。

もっとも、報道時点でXはこの件を公式には発表していません。
支払い方式も導入時期も未確定というのが実情で、USDCが最終的に採用される保証もないのです。
ステーブルコインでの報酬払いは、まだ「検討段階の1つの選択肢」にとどまっています。

Original Content Rewardsは何が変わるのか?

支払い通貨の話と並行して、報酬の「もらい方」自体も変わります。
X公式ヘルプによれば、新プログラムはPremium会員による「Home Timeline上のオリジナル投稿への適格インプレッション」を基準に、2週間に1度のペースで支払われる仕組みのようです。

対象となる「オリジナルコンテンツ」の範囲も明記されています。
独自の取材・分析・考察・スレッド、自分で撮影・制作した写真や動画、ミームやイラストなど、文脈や専門性、ユーモアを付け加えるコンテンツが該当するとのこと。
逆に言えば、他人の投稿への便乗や再利用だけでは対象外になりやすい設計と言えるでしょう。

この基準の変化は、旧来の「とにかく数字を稼ぐ」運用から「独自性のある一次コンテンツを作る」運用へ、Xがクリエイターの行動そのものを誘導しようとしていることを示しています。

他プラットフォームでも進むステーブルコイン払い

Xが検討しているステーブルコイン払いは、業界的には突飛な発想ではないようです。
成人向け動画大手のPornhubは、クリエイターへの支払い通貨をUSDTからUSDCに切り替えたと報じられています。
理由として挙げられているのは、規制対応が進んだ通貨としての信頼性と、支払いの安定性です。

Metaも、決済インフラ企業Stripeと組んで、SolanaやPolygonといったブロックチェーン(取引記録を分散管理する技術基盤)上でのUSDC払いをクリエイター向けに導入しています。
プラットフォーム側にとっては、海外クリエイターへの送金コストを圧縮できるメリットが大きいのでしょう。

Xの一手も、こうした「大手SNS・プラットフォームがステーブルコイン払いへ動く」という流れの延長線上にあると見てよさそうです。

Shiritomo編集部の考察:報酬の「もらい方」もSNS運用の変数になる

これまでSNS運用の話題といえば、アルゴリズムやリーチの変化が中心でした。
しかし今回の件は、収益化の「基準」だけでなく「通貨」まで変わりうるという、一段深いレイヤーの変化ではないでしょうか。

日本のクリエイターにとっては、仮にUSDC払いが実現しても、暗号資産としての税務処理や取引所での換金手続きという新しいハードルが生まれます。
海外プラットフォームで収益を得ている、あるいは今後得ようとしている運用担当者は、送金方式の変更が実務コストに直結することを頭に入れておく必要があるでしょう。

また、Original Content Rewardsが「オリジナリティ」を明確に評価基準へ組み込んだことも見逃せません。
他者の投稿への便乗で伸ばしてきたアカウントは、今後Xでの収益化がしづらくなるかもしれません。
一次情報・独自考察を軸にしたコンテンツ設計に、今のうちから比重を移しておく価値はありそうです。

まとめ

Xはクリエイター報酬の基準を「オリジナリティ」重視の新プログラムへ切り替えつつあり、その支払い通貨としてステーブルコインの活用まで検討していることが分かりました。
まだ確定情報ではありませんが、プラットフォームの収益化ルールは仕組みごと変わりうる、という視点は持っておいて損はなさそうです。

さらに深掘りしたい方へ

Xの収益分配、9月7日で幕引き——新プログラムが見るのは「オリジナリティ」だけXの収益分配、9月7日で幕引き——新プログラムが見るのは「オリジナリティ」だけ旧プログラムのCreator Revenue Sharingが9月7日で終了し、新プログラムはオリジナリティを重視する基準に変わる見通し。

【訂正】(2026年8月21日) 「8月8日、Xの製」は「8月7日、Xの製」の誤りでした。
訂正しておわびします。