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検査官が来るまであと180秒——Steam新作『なかったことに』、採点していたのは人間ではなかった

Shiritomo編集部 @shiritomoAI_jp 2026年8月21日 更新
検査官が来るまであと180秒——Steam新作『なかったことに』、採点していたのは人間ではなかった
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輸送中に破れてしまった名画。
手元にあるのは絵の具とスポイト、そして180秒というタイムリミット。
検査官が扉を開けるまでに、それらしく塗り直して「なかったこと」にしなければなりません。

8月20日にSteamで配信が始まった『なかったことに』は、そんな一風変わった設定のシミュレーションゲームです。
ゲーム好きはもちろん、絵心に自信のない人ほど気になってしまう内容ではないでしょうか。
この記事では、Xでの反応と実際のゲーム内容を確かめながら、何がプレイヤーを惹きつけているのかを掘り下げます。

先に結論をまとめると:
– 破損した名画を180秒以内に塗り直す一発勝負のシミュレーションで、修復の出来は人間ではなく機械が自動採点する
– 収録されているのは実在する著作権フリーの名画100点で、モナリザのような有名作品も題材になっている
– 価格は530円(セール中は424円)とワンコインで遊べる手軽さも反応の広がりに一役買っている

Xで一気に広がった「モナリザ落書き」の破壊力

きっかけになったのは、電ファミニコゲーマーの公式アカウントが投稿した1枚のスクリーンショットでした。
輪郭だけが残ったモナリザの顔に、油性ペンで殴り書きしたような目鼻が上書きされている——このビジュアルのインパクトで、投稿は8,800件を超えるいいねを集めています。

電ファミニコゲーマーはこの投稿を「猶予はたった3分」と紹介し、発売初日から画像だけで内容が伝わる強さを見せつけました。

実際に画像を確認すると、輪郭は元のモナリザとほぼ同じ位置に残っているのに、顔の中身だけが素人の落書きに置き換わっています。
修復というより「別人になってしまった」という表現のほうが近いかもしれません。
この極端な失敗例が拡散のきっかけになったのは間違いなさそうですが、では実際のゲームは常にこんな惨状になるものなのでしょうか。
そこが気になって、詳しく調べてみました。

調べて分かったこと

なぜたった180秒しかないのか

開発元のSF Createによると、プレイヤーはパレットで絵の具を混ぜ合わせ、スポイトで色を抽出して欠損部分を塗っていきます。
制限時間は180秒。
実際の美術修復では数週間単位の時間がかかることもあると言われ、そのイメージを3分に凝縮した仕様と言えそうです。
時間を極端に切り詰めることで、雑な仕上がりが必然的に生まれる設計になっているといえます。
SNSでバズった「崩壊したモナリザ」も、狙って作られたというより、この時間制限のなかで精一杯やった結果と考えるのが自然でしょう。

採点しているのは誰なのか

「検査官が来るまでに誤魔化す」というコンセプトから、てっきり誰かに見破られるかどうかのスリルがメインだと思っていました。
ところが実際は、修復結果は原画データとの一致度によって自動採点され、塗り残しや色ズレはヒートマップで機械的に可視化される仕組みです。
人の目で騙し切るゲームではなく、どれだけ正確に元の絵を再現できるかを数値で競うゲームだったというわけです。
検査官というキャラクター設定は、緊張感を演出するための舞台装置に近いのかもしれません。

ひとりで黙々と塗るだけのゲームなのか

もう一つ意外だったのが、最大4人でのオンラインマルチプレイに対応している点です。
日替わりのお題に全員で挑む一発勝負のモードや、世界ランキング機能も用意されています。
電撃オンラインも配信直後にこのゲームを取り上げており、単なる一発ネタで終わらない作り込みがうかがえます。

友人と同じ絵を同時に塗って、誰が一番「うまく誤魔化せたか」を競い合う——ひとりで黙々と向き合うイメージだった修復作業が、実は対戦要素のあるパーティーゲームでもあったわけです。

Shiritomo GAME編集部の考察:素材が公道扱いになったからこそ生まれた企画

このゲームが成立している最大の前提は、収録された名画がすべてパブリックドメイン(著作権保護期間が切れた作品)だという点です。
実在するモナリザや有名画家の作品を、著作権者の許諾なしに「壊して塗り直す」ネタとして使えるのは、素材が公共の財産になっているからにほかなりません。

こうした構造は、他ジャンルにも応用が利くはずです。
名画に限らず、著作権切れの写真・古地図・古文書など「実在するのに自由に使える素材」は意外に多く眠っています。
ネタとしての意外性と法的な安全性を両立させたいクリエイターにとって、パブリックドメイン素材の掘り起こしは今後も有効な選択肢になりそうです。
もう一つ興味深いのは、530円という価格設定です。
話題性だけで終わらせず「ワンコインなら試してみるか」という心理的ハードルの低さまで設計に組み込まれている点は、SNSでの拡散を前提にしたインディーゲームの値付けとして参考になります。

まとめ

『なかったことに』は、名画をわざと崩壊させてしまう自由さと、その出来を機械が容赦なく採点する厳密さの両方を持ったゲームでした。
モナリザの落書き画像だけを見ると悪ふざけに思えますが、中身は著作権とゲームデザインの両面でしっかり考え抜かれた作品だといえそうです。

この記事で取り上げた製品

なかったことに Steam

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