店には迷惑、本人は満足――Geminiが電話を代行する「Call for Me」、Metaが一足先にぶつかった壁
Googleが9月24日に発表した新機能「Call for Me」は、Geminiが電話の冒頭で、利用者の代わりにAIアシスタントが電話していることや通話を録音している旨を相手に伝えたうえで、飲食店や店舗に電話をかけてくれる仕組みです。
予約や在庫確認、日程変更などの用件を、ユーザーの代わりにこなします。
ちょうど同じタイミングで、Meta(フェイスブック運営会社)の同様のAIエージェントが「店側にAIだと分かると電話を切られる」問題を抱えていたことも明らかになっており、両社の足並みを比べると見えてくるものがあります。
SNSやAIサービスを使いこなしたい人にとっても、「電話」という昔ながらの手段がどこまでAIに任せられるのかは気になるところでしょう。
先に結論をまとめると:
– Googleは9月24日、Geminiの新機能「Call for Me」を発表。
予約・在庫確認・日程変更などの電話をAIが代行します
– 米国のPixel 11ユーザー(Gemini有料プラン加入者)向けに、ベータ版の電話アプリで先行提供が始まりました
– 同じ「AIが電話をかける」仕組みはMetaのMuseでも試されており、店側がAIと分かると電話を切ってしまう問題がすでに表面化しています
Geminiが電話をかけてくれる「Call for Me」とは
CNET Japanが報じたところによると、Googleは9月24日、モバイル版Geminiの新機能「Call for Me」を発表しました。
レストランの予約や在庫確認といった用件をユーザーに代わって電話で伝えてくれる機能です。
グーグル「Gemini」に電話代行の新機能 レストラン予約もお任せ https://t.co/xHjTIDL3MX
— CNET Japan (@cnet_japan) 2026年9月25日
海外メディアの報道によれば、提供対象はまず米国のPixel 11ユーザーのうち、Gemini有料プランに加入し、ベータ版の電話アプリを使っている人に限られます。
用件を伝えるだけでなく、通話の様子はリアルタイムで文字起こしされ、ユーザーはいつでも会話を引き継げる仕組みになっているとのことです。
ただ、この便利さの裏には、同じ課題に直面した先行事例がありました。
調べて分かったこと
実際にどう電話をかけるのか?
報道によると、GeminiはIVR(自動音声応答)のメニュー操作をこなし、保留中は待機し、相手が電話に出ると利用者の代わりにAIアシスタントが電話していることや通話を録音している旨を伝えたうえで会話を始めるといいます。
2018年にGoogleが発表した「Duplex」も飲食店予約の電話をAIにかけさせる機能でしたが、当時はAIだと名乗らないまま人と自然に会話する点が物議を醸しました。
今回はその反省からか、AIであることを最初に明かす設計になっているようです。
なぜ今、電話代行機能が必要とされているのか?
似た機能はGoogleだけのものではありません。
Metaが「Muse」というAIエージェントに電話代行をさせようとしたところ、担当者がAIだと気づいた途端に電話を切ってしまうケースが相次いだことが分かっています。
Metaはこの問題への対処として、契約社員が代わりに電話をかける「人力代行」を一部社員向けに試していましたが、AIだと偽って人間が対応していたことが開示不足だとして問題視され、テストは取りやめになりました。
人による対応の成功率が95〜98%だったのに対し、AIのみの成功率はそれより低かったとも報じられています。
Googleの「AIだと最初に名乗る」設計は、この一件を踏まえた対応とも読み取れます。
AI電話代行はどこまで広がっているのか?
「AI電話代行」という言葉自体は、コールセンター向けサービスなどですでに一定の検索需要がある分野です。
ただ今回のような「個人のスマホから、AIが店に電話をかける」形はまだベータ版の段階で、対応地域も端末も限定的です。
実際に自分の代わりに電話をかけてもらえる日が来るのはもう少し先、というのが現時点の実情のようです。
Shiritomo編集部の考察
企業アカウントの運用担当者にとって見逃せないのは、電話をかけてくる相手がAIかもしれない前提で、応対フローを考え直す必要が出てきたことです。
「AIだと分かった瞬間に切られる」現象は裏を返せば、多くの店舗がまだAI相手の会話に慣れていないことを示しています。
SNSで顧客対応を発信している企業なら、電話応対のマニュアルにAI発信者への対応を一言加えておくだけでも、今後のトラブルを避けやすくなるはずです。
まとめ
Geminiの「Call for Me」は、AIであることを名乗ったうえで電話代行をこなす機能として登場しました。
同時期にMetaのMuseが人力代行の問題で足踏みしていたことを踏まえると、各社が同じ壁に直面しながら異なる解決策を探っている段階だと言えそうです。
さらに深掘りしたい方へ
米国での提供状況はTechCrunch「Google tests letting Gemini call businesses for you」に詳しくまとまっています。
MetaのMuseをめぐる経緯はPYMNTS「Meta Tests Human Callers for Muse After Merchants Hang Up on AI」で報じられています。