VRChatで動き出した自律AI「こはる」に4,006いいね――景色や人を判断し自分で考えて動く
25万6,000回超の表示、4,006件のいいね、667件のリツイート。
VRChat(アバター同士がバーチャル空間で交流するSNS型プラットフォーム)に投稿された一つの動画に、それだけの反応が集まりました。
投稿したのは個人クリエイターの博石怜さん(X: @sekirei_create)。
「全自動で動くAI」と呼ぶキャラクター「こはる」が、VR空間の中で実際に歩き、話す様子を公開したものです。
AI活用の事例を追っている方にも、VRChatのようなプラットフォームでAIがどこまで使えるようになっているか気になる方にも、個人開発の現在地を知る手がかりになる話です。
先に結論をまとめると:
– VRChat上で動く自律AI「こはる」は、景色や人を見て自分で判断し、動いたり答えたりする
– 開発者は個人クリエイターの博石怜さん、投稿は4,006いいね・25万6,000回超の表示を記録
– 同じ10月7日、VRChat運営はAI利用に関するガイドラインを別件で更新している(こはるとの直接の関係はない)
VRChatに現れた「全自動で動くAI」
博石怜さんは以前から「人工生命プロジェクト」として、自律的に動くAIキャラクターの開発を公開してきました。
10月7日の夜に投稿された今回の動画では、こはるがついにVRChat上のアバターとして動く姿が映っています。
投稿本文には次のように書かれています。
【人工生命プロジェクト】
— 博石怜(hakusekirei)【創作垢】 (@sekirei_create) 2026年10月7日
全自動で動くAI「こはる」を作っています。
ついにVRになって動くようになりました。
声や見た目も劇的に変化しています。
景色や人を判断し、自分で考えて勝手に動いたり返答したりします。
人を記憶し、声を記憶し、場所も記憶します。… pic.twitter.com/3okpIRkCZq
「景色や人を判断し、自分で考えて勝手に動いたり返答したりします。
人を記憶し、声を記憶し、場所も記憶します」。
投稿に添付された動画のサムネイルには、VRChatのワールド内の様子が写っていました。
アバター表示は「こはる3301」。
アバターミラー(自分のアバターの見た目を確認できる設備)の前に立っている場面です。
決められたセリフを再生するだけのNPC(ノンプレイヤーキャラクター)とは違い、状況に応じて動作や会話が変わる点が特徴だとうかがえます。
サムネイルはワールド内の一場面にすぎず、こはるの外見や周囲の様子までは静止画だけでは分かりません。
ただ、ワールドの一角で実際に動く様子を公開したこと自体が、自律的に動くキャラクターをVR空間に持ち込む試みの一端を感じさせます。
ただ、投稿本文だけでは「どこまで自律的に動いているのか」の具体的な仕組みまでは分かりません。
そこでVRChatを取り巻く状況を調べてみました。
こはるの登場と同じ日に、VRChat運営もAIについて声明を出していた
調べて分かったのは、こはるが話題になったのとちょうど同じ10月7日、VRChat運営も「AI利用に関する見解」という声明を発表していたことです。
内容は、実際のワールドの内容と異なるAI生成サムネイルの使用を禁止するというクリエイターガイドラインの更新でした。
こはるのような個人制作のAIキャラクターそのものを規制するものではありません。
VRChat社はワールド全体やアセット生成でのAI利用について、引き続き検討中だとしています。
AI利用の有無を示す「AIタグ」の導入も慎重に見極めるとしています。
理由として、誠実なクリエイターだけがタグを付けてしまう懸念を挙げています(参照)。
なぜ同じ日に重なったのか?
こはるの投稿とVRChat公式の声明に、直接のつながりがあると確認できる情報はありません。
ただ、どちらもVRChatという同じプラットフォームの中で「AIをどう扱うか」が同時に問われている状況を映し出しているとは言えそうです。
一方は運営側が誤解を招くAI生成コンテンツに線引きをしようとする動きで、もう一方は個人が自律的に動くAIキャラクターを作り込んでいく動き。
方向性は異なりますが、VRという身体性のある空間にAIがどう入り込んでいくかという論点では、根っこが重なっています。
Shiritomo編集部の考察:注目すべきは「誰が作ったか」
今回の投稿で見逃せないのは、こはるが企業の製品ではなく個人クリエイター一人の手によるプロジェクトだという点です。
25万回を超える表示に対していいねが4,006件という比率は、フォロワー以外にも投稿が広く届いたことを示しています。
SNS運用の観点では、既存の技術を組み合わせて「動くキャラクター」という分かりやすい完成形を見せたことが、拡散の決め手になったと考えられます。
仕様の説明や性能の数値をいくら並べても伝わりにくいものが、数十秒の映像一つで伝わる。
これはAIプロダクトに限らず、SNSで新しい技術を紹介する際に参考になる見せ方だと言えるでしょう。
企業のプレスリリースよりも、個人が手を動かして見せる実演のほうが拡散しやすいという傾向は、他の技術分野のバズでもたびたび見られます。
まとめ
VRChat上で自律的に動くAIキャラクター「こはる」の投稿が、4,000件を超えるいいねを集めました。
VRChat運営によるAI利用ガイドラインの更新と同じ日に重なったのは偶然です。
ただ、どちらもVRという空間でAIをどう位置づけるかが問われ始めていることを示す出来事だったと言えそうです。