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Google純正の万能AIエージェント「Gemini agent」、頭脳に選んだのはライバルClaudeだった

Shiritomo編集部 @shiritomoAI_jp 2026年10月11日 更新
Google純正の万能AIエージェント「Gemini agent」、頭脳に選んだのはライバルClaudeだった

NASAの格納庫「Hangar One」は、かつて巨大な飛行船を収めるために建てられた施設です。
10月8日、その広大な空間に700人を超えるGoogle Cloudの顧客が集まりました。
壇上に立ったのはSundar Pichai CEO。
紹介されたのは、ビジネスのあらゆる場面をひとつのプロンプト欄でこなす、Googleにとって新しい形のAIでした。

企業でAIツールを使っている方、あるいは競合サービスの動向を追っている方にとっては見過ごせない発表です。
読み進めると、Googleの自信作の中身に、ライバル企業のAIまでもが組み込まれていることが分かります。

先に結論をまとめると:
– Google Cloudが「Gemini agent」を発表。
質問対応からナレッジワーク、コンテンツ作成、コーディングまでを単一のプロンプトでこなす統合型のAIエージェントです
– 頭脳として使われているのは自社のGeminiモデルだけではなく、Anthropicの最新モデルClaude Opus 5.5・Claude Sonnet 5.5も自動で選べる仕組みになっています
– On・Shopify・PayPalといった早期テスター企業がすでに業務に組み込んでおり、企業向けAI市場の競争を一段と押し上げる動きになっています

NASAの格納庫で発表された「単一プロンプト」の正体

Pichai氏は現地からこう投稿しています。
「歴史的なNASAハンガーワンで、700以上のGoogle Cloud顧客と共に過ごせて光栄です。
本日、私たちはビジネスのあらゆる文脈を把握し、質問に答え、ナレッジワークをこなす、単一のユニバーサルエージェント『Gemini agent』を発表しました」。

この投稿にある「ユニバーサルエージェント」という言葉が、今回の発表の核心です。
これまでのAIチャットは質問に答えるだけ、コーディング支援ツールはコードを書くだけ、というように用途ごとに別々のツールを使い分けるのが普通でした。
Gemini agentは、その境界を取り払うことを狙っています。
ただ、ひとつの窓口で何でもこなすと聞くと、具体的に何が変わるのかが気になるところです。
公式発表を確認すると、仕組みの中身が見えてきました。

調べて分かったこと

一つのプロンプトで何ができるのか?

Google Cloudの公式アカウントは同じ日にこう説明しています。
「本日、皆様のビジネス向けに新しいGemini agentを発表します。
これは24時間稼働するユニバーサルなクラウドエージェントで、既存のツールやデータ、作業履歴を把握した状態で立ち上がり、ナレッジワーク・コンテンツ制作・コーディングを横断してこなし、エンタープライズに必要なガバナンスも備えています」。

Google公式ブログによると、このエージェントはウェブ・iOS/Android・Windows/Mac・コマンドラインに加え、Google WorkspaceだけでなくMicrosoft 365やSlackの中でも動作するとされています。
作業の計画を立て、必要なスキルやツールを使い、企業のシステムと接続したうえで、普段使っているドキュメントや受信トレイ、開発環境の中に成果物を戻してくる設計です。
複雑な依頼には、サブエージェント(親となるエージェントが作業の一部を任せるために内部で呼び出す、もう一段小さなAIエージェント)を立ち上げて分担させる仕組みも備えているようです。
文中にあった「ガバナンス」とは、誰がどの権限でエージェントを動かしてよいかを企業側で管理・監査できる仕組みのことを指しています。

頭脳に使われているのはGeminiだけではない?

今回の発表でとりわけ目を引くのが、モデル選択の仕組みです。
公式発表では、Gemini agentはGeminiファミリーのモデルに加え、Anthropicの「Claude」ファミリーのモデルにも今日から対応しており、将来的には他社やオープンモデルにも広げていく方針だと説明されています。
報道によれば、具体的にはClaude Opus 5.5とClaude Sonnet 5.5が選択肢に含まれ、タスクごとに最適なモデルを自動で割り当てる仕組みのようです。
ユーザー側で手動指定に切り替えることもできるとされています。

Googleが自社の看板エージェントに、クラウド事業で競合するAnthropicのモデルを公式に組み込んだ形になります。
難しい作業には精度の高いモデルを、単純な作業にはコストの低いモデルを、と使い分けることで効率を上げる狙いがあるのでしょう。

企業はもう使い始めているのか?

VentureBeatはこう報じています。
「Google Cloudが長時間稼働タスク向けの永続的なGemini Agentsを発表。
専用のGmail・カレンダー・Driveストレージまで持つ」。

報道を総合すると、Gemini agentは数時間から数日にまたがるタスクをこなせるよう、専用のWorkspaceアカウント(Gmailアドレス・カレンダー・Drive)を持つ設計になっているようです。
人間の社員と同じように会社のディレクトリに登録され、行動は監査ログで追跡される仕組みだと伝えられています。
早期テスターとして名前が挙がっているのはスポーツブランドの「On」、ECプラットフォームのShopify、決済大手のPayPalです。
Onはモデルの動的な切り替えで製品の市場投入を早め、Shopifyは数百万の加盟店向けに複数のモデルを組み合わせ、PayPalは週あたり1,000万件規模のマルチモデルリクエストを処理しているとされています。

Gemini Enterpriseの料金はどうなるのか?

現時点のGemini agentは、限られた顧客向けの非公開プレビュー段階にあります。
報道によれば、Google WorkspaceのBusinessプランやEnterpriseプランを通じてすでにGemini Enterpriseを利用している企業には、追加費用なしで提供されるとされています。
より広い一般提供の時期については、今のところ明確な発表はありません。
「Gemini Enterprise」の料金体系自体は以前から一定の関心を集め続けている話題なので、今回の発表を機に調べ直した方もいるのではないでしょうか。

Shiritomo編集部の考察:ライバルのモデルを抱き込む戦略をどう見るか

この発表で興味深いのは、Googleが「自社エージェントの価値は、自社モデルの優秀さだけでは測らない」と割り切っている点です。
SNSマーケティングの現場でも、特定のプラットフォームに依存せず複数のツールを併用する運用が主流になりつつありますが、企業向けAIでも同じ流れが起き始めているように見えます。
実際、同じ週にはAnthropicのClaudeがGoogle Docs・Sheets・Slidesを直接編集できる機能も公開ベータで広がっており、GoogleとAnthropicは競合しながら互いのプラットフォームに乗り入れる関係を深めています。
SNS運用やマーケティング業務でAIエージェントの導入を検討している方は、「どのモデルを使うか」より「どのプラットフォームが複数モデルを使い分けられるか」という視点で比較する時期に入っているのかもしれません。

まとめ

NASAの歴史的な格納庫で披露されたGemini agentは、単一のプロンプトで質問対応からコーディングまでをこなす統合型エージェントであり、その頭脳には自社のGeminiだけでなくライバルAnthropicのClaudeも組み込まれています。
On・Shopify・PayPalといった企業がすでに実務での活用を始めており、企業向けAIの競争はモデル単体の優劣から、複数モデルを使い分ける基盤そのものの競争へと移りつつあるようです。

さらに深掘りしたい方へ

Google Docs・Sheets・Slidesの中からClaudeが直接編集、公開ベータで変わる使い方の中身Google Docs・Sheets・Slidesの中からClaudeが直接編集、公開ベータで変わる使い方の中身Google Docsを開くと、画面の横にもう一つの窓が並ぶ。 そこにいるのはClaude。 見出しのスタイルを直し、修正案を添える――画面の中で完結する新しい使い方です。

今回の発表の一次情報はGoogle公式ブログ「Google Cloud introduces the Gemini agent.」にまとまっています。
モデル選択やセキュリティ面の詳細はVentureBeatの記事でも報じられているので、あわせて確認してみてください。