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「人件費」は月35万円――NECが部門長から社員まで全員AIの無人部署を新設

Shiritomo編集部 @shiritomoAI_jp 2026年10月14日 更新
「人件費」は月35万円――NECが部門長から社員まで全員AIの無人部署を新設

部門長、マネージャー、担当者——肩書きはすべて揃っているのに、そこに人間は一人もいません。
NECが2026年8月1日に発足させた「コーポレートAI・ワークフォース部門」は、財務分析や問い合わせ対応までこなす組織でありながら、構成員の全員がAIエージェントです。
運営コストは月およそ35万円、人間の役割は最終判断とガバナンスだけに絞られています。
AI活用を仕事に取り入れている人にとっては、「AIにどこまで任せられるのか」を考える具体的な実例になる内容です。

先に結論をまとめると:
– NECは2026年8月1日、部門長から担当者まで全員をAIエージェントが務める「コーポレートAI・ワークフォース部門」を発足させました
– AIエージェントは発足時17人から9月には35体、10月には36人まで増え、月のコスト(いわゆる「人件費」)は約35万円と報じられています
– 最終的な意思決定とガバナンスは人間が担い、対象業務の処理時間は従来の約7分の1に短縮されています

何が起きたのか

NECが新設した「コーポレートAI・ワークフォース部門」は、AI部門長・AIボード・AIマネージャー・AI社員という4階層で構成されています。
AIボードにはCAXOやCFO、CHROといった役割を持つAIが並び、週1回の役員会を開いているとMonoistが報じています。
業務内容は経営情報の収集やコスト管理、問い合わせ対応、営業案件の分析など多岐にわたります。

発足時点のAI社員は17人でした。
必要な役割に応じてAIマネージャーが新たなAI社員を生成する仕組みのため、9月9日時点では35体、10月2日のmynaviの報道では36人まで増えています。
それでいて運営コストは月35万円程度と報じられており、人間を雇うよりも大幅に低いコストで部門が回っている計算です。

ただ、コストの安さだけでは、この仕組みがなぜ成立するのかは見えてきません。
そこで報道や分析記事をもとに、組織の内側をもう少し詳しく確かめてみました。

調べて分かったこと

「人件費」35万円の中身は何なのか?

「人件費」という言葉はやや比喩的です。
報じられている35万円は、AIエージェントを動かすためのトークン費用(AIがテキストを処理するたびにかかる従量課金)を指していて、給与や福利厚生とは性質が異なります。
NECはこのトークンコストについて、将来的に10分の1まで下げることを目標にしているとmynaviが報じています。
つまり月35万円は、今の時点ではむしろ高めの数字で、今後下がる余地があるという理解のほうが実態に近そうです。

人間は何をしなくなり、何を続けているのか?

対象業務にかかる時間は、従来の約7分の1に短縮されたと電気新聞が報じています。
浮いた時間は、人がより高度な判断や交渉といった業務に回されているようです。
一方で、最終的な意思決定・評価・ガバナンスは今も人間の担当です。
AI社員にも1on1やストレスチェックに相当する仕組みが用意されているとmynaviは伝えています。
ただ、これは人間向けの制度をAI向けに模した運用上の工夫であり、AIに感情があるという話ではありません。

自社でAIエージェント導入は可能なのか?

NECはこの取り組みを、人とAIの最適な役割分担を検証する実証と位置づけています。
組織開発に詳しい池田朋弘氏は自身の分析記事で、AIを前提に部署を作る際の土台を4点挙げています。
「データの置き場所と定義」「人とAIそれぞれの閲覧・操作権限」「AIが担う実務と、人が担う最終判断」「成果物の評価方法と作業ログ」です。
AIエージェント導入を検討する企業にとって、NECの事例はいきなり全社に広げるのではなく、新設部署単位から試す進め方のヒントになりそうです。

Shiritomo編集部の考察:コストは今がピーク、という前提で見る

NECの事例が示すのは、AI導入のコストを「人件費」という既存の指標に当てはめて考える動きが広がっている点です。
SNS運用やコンテンツ制作の現場でも、AIツールの月額利用料を人件費と比較して予算化する企業が増えています。
この部門の数字が示すとおり、AIのコストは今がもっとも高く、今後下がっていく前提で投資判断をするほうが実態に近いといえます。
また、NECが「最終判断は人間」という線引きを明確にしている点は、AI活用を検討する企業がまず決めるべき設計の優先順位を示しています。
業務を自動化する前に、どこまでをAIに任せ、どこからを人が判断するかを先に決めておく発想は、規模の大小を問わず応用できる考え方です。

まとめ

NECの「コーポレートAI・ワークフォース部門」は、AIエージェントだけで組織を構成しながら、最終判断は人間が担うという線引きを明確にした実証実験です。
コストの安さに注目が集まりますが、その数字は今がピークで今後下がっていく前提のものだという点も合わせて見ておきたいところです。

さらに深掘りしたい方へ

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