対立してきたMetaとAppleが組んだ、8160億パラメータAI「Muse Spark Open」

Shiritomo編集部 @shiritomoAI_jp 2026年10月16日 更新
対立してきたMetaとAppleが組んだ、8160億パラメータAI「Muse Spark Open」

「@johnternusとAppleとの協力のおかげで、新しいMac Studioで快適に動く」。
MetaのCEOマーク・ザッカーバーグ氏が、自社の新AIモデルの発表にこう添えました。
宛先のJohn Ternus氏は、長年ハードウェア開発を率いてきた末に2026年9月からAppleのCEOを務める人物です。
両社は長らくライバル関係として語られてきただけに、この組み合わせ自体が目を引きます。
AIを仕事や開発で使っている人にとっては、「高性能なモデルを手元のパソコンで動かせるか」という選択肢が一つ増えた話でもあります。

先に結論をまとめると:
– Metaが総パラメータ8160億の新AI「Muse Spark Open」の重みを公開した
– 長年対立してきたとされるMetaとAppleが協力し、Apple製Mac Studio2台で動かせるよう最適化された
– コーディングや複雑な推論に強いモデルで、一部ベンチマークでは高い評価を得ているとされています

何が起きたのか

Metaは2026年10月15日(現地時間)、マルチモーダルAI「Muse Spark Open」の重みを公開しました。
総パラメータは8160億、実際に使われる「アクティブパラメータ」は420億で、テキスト・画像・動画・音声を扱えます。
Metaは「米国発のオープンウェイトモデルとして現時点で最も高性能」と位置づけています。

発表を後押ししたのが、MetaのCEOマーク・ザッカーバーグ氏自身の投稿です。

Muse Spark Openの重みは本日公開。
@johnternusとAppleとの協力のおかげで、新しいMac Studioでも快適に動きます。

AppleのCEOであるJohn Ternus氏も、この投稿に返信する形で祝意を伝えていました。

チームにお祝いを。
Muse Spark Openほどの規模のモデルを、自分のデスクからこんなに効率よく動かせるのは驚きです。
Mac StudioはオンデバイスAIの限界を押し広げ続けていますね。

MetaとAppleはこれまで、AIやプライバシー方針をめぐって見解の違いが報じられることが多かった2社です。
その両社がモデルの公開に合わせて互いを称え合う投稿を交わしたこと自体が、今回の話題性の中心になっています。
ただ、実際にどれくらいの規模のモデルで、何が必要なのかは、この2件の投稿だけでは分かりません。
そこで詳細を確認しました。

調べて分かったこと

どれくらいのモデルで、何が必要なのか?

Meta公式のAIチームも発表の投稿でスペックを示していました。

Muse Spark Openを本日公開します。
コーディングとエージェント的な作業向けに作られ、長時間タスク・複雑なソフトウェア開発・多段階の推論に強いモデルです。
主な仕様:総パラメータ8160億/アクティブパラメータ420億/コンテキスト長100万トークン(以下略)。

このモデルを個人のパソコンで動かすには、Apple M5 UltraのMac Studioが2台必要です。
Appleの統合メモリ技術により、1台のMac Studioが最大512GBのメモリをAI処理に使えるため、2台を組み合わせることで合計1TB分のメモリを1つのモデルに割り当てられる仕組みになっています。
さらにチップ内のメモリ転送速度が1台あたり毎秒1.2TBあるため、2台のMac Studioがまるで1台の大型コンピューターのように振る舞う計算です。

なぜMetaとAppleが組んだのか?

MacRumorsなど海外メディアの報道によると、両社がこの規模のオープンウェイトモデルで正式に連携するのは今回が初めてです。
AI分野でOpenAIやGoogleに対抗する姿勢を強めているMetaにとって、Appleの最新ハードウェアで動作実績を作ることは、開発者コミュニティへの訴求力につながります。
Apple側も、自社製品上で大規模モデルが動くことを示せる点にメリットがあると見られます。
二社の協力関係というより、それぞれの狙いが一致した結果の提携という見方が近いでしょう。

オープンウェイトモデルとは何か、クローズドモデルと何が違うのか

「オープンウェイト」とは、AIモデルの学習済みパラメータ(重み)そのものを公開し、誰でもダウンロードして自分の環境で動かせる形式を指します。
ChatGPTやGeminiのような「クローズドモデル」は企業のサーバー上でのみ動き、利用者はAPIやアプリを通じてアクセスします。
Muse Spark Openのように重みが公開されたモデルは、自分のパソコンやサーバーで動かせる代わりに、Mac Studio2台分(高額なハードウェア)のような相応の計算資源が必要になる場合があります。

Shiritomo編集部の考察:注目すべきは「規模」より「組み合わせ」

AI業界でのオープンウェイトモデル競争は、これまでMetaのLlamaシリーズや中国勢のモデルが中心でした。
Muse Spark Openが話題になっているのは、パラメータ数の大きさだけでなく、ライバル関係にあるとされてきた企業同士が協力した点に意外性があるためだと考えられます。
SNS運用やマーケティングの視点では、企業同士の「予想外の組み合わせ」自体が拡散の起点になりやすい典型例です。
普段敵対的に語られる企業が手を組むニュースは、技術的な詳細を理解していない層にも「意外性」として伝わりやすく、Zuckerberg氏とTernus氏が互いの投稿に直接反応し合う形を取ったことも、企業公式アカウントだけで発表するより人の目に留まりやすくしています。

今後、このような大規模モデルをローカルで動かす需要が増えるかどうかは、必要なハードウェアの価格がどこまで下がるかにかかっています。
現時点ではMac Studio2台という投資が必要なため、個人開発者がすぐに手を出せる話ではありませんが、企業の研究開発部門やAIベンチャーにとっては選択肢の一つになりそうです。

まとめ

Metaは総パラメータ8160億の新AI「Muse Spark Open」の重みを公開し、長年ライバルとされてきたAppleのMac Studio向けに最適化しました。
モデルの規模そのものより、両社が協力したという組み合わせの意外性が話題の中心になっています。

さらに深掘りしたい方へ

Metaが30BパラメータのオープンAIモデル「Muse Glimmer」を公開Metaが30BパラメータのオープンAIモデル「Muse Glimmer」を公開Meta Superintelligence Labsが2026年8月、30BパラメータのオープンAIモデル「Muse Glimmer」を公開していた。

モデルの詳細はMetaの公式発表ページで確認できます。