「絶対的な限界まで酷使してくれてありがとう」——OpenAIが週末に2度もリセットボタンを押した理由
「Hello beautiful people!」。
金曜の夜、OpenAIのTibo氏がそんな挨拶から投稿を始めました。
中身は、ChatGPT WorkとCodexの利用上限をまたリセットしたという告知です。
しかも、その日のうちにもう一度リセットすると予告する、異例の対応でした。
きっかけは7月9日のGPT-5.6ファミリー公開です。
フラッグシップモデル「Sol」がコーディングと科学推論で高いベンチマークスコアを記録し、同時にリリースされたエージェント機能「ChatGPT Work(研究やドキュメント作成を自動化する機能)」とコーディング支援の「Codex」がデスクトップアプリに統合されました。
狙い通りというべきか、ユーザーが殺到し、システムが悲鳴を上げたのです。
24時間で2回、週をまたいでさらにもう1回
事の経緯はTibo氏の投稿を追うとよくわかります。
まず7月10日朝、GPT-5.6 Solの公開を祝う形で「今後24時間でChatGPT WorkとCodexのレート制限を2回リセットする」と予告しました。
To celebrate the launch of GPT-5.6 Sol, we will reset the rate limits again (twice) across ChatGPT Work and Codex over the next 24 hours.
We want you to have the time to truly try ambitious tasks and get the hang of it. Happy exploring!— Tibo (@thsottiaux) 2026年7月10日
その日の夕方には早くも1回目のリセットを実施し、「もう1回は今日中に来る」と続報を出しています。
UIの改善や不具合修正も同時並行で進めていることを明かしました。
Hello beautiful people! We have reset usage limits across Codex and ChatGPT Work. And another one will come later in the day. Rejoice.
— Tibo (@thsottiaux) 2026年7月10日
Now that I have your attention, a quick update on ChatGPT Work, Codex and all the updates we shared yesterday.
We’ve spent the last 24 hours…
そして7月11日、週末に入ってから2回目のリセットです。
「これまでこんなに急なトラフィック増加は見たことがない」という一文に、想定を超えたユーザー数の伸びがにじみます。
Introducing… another usage limit reset for all our ChatGPT Work and Codex users. Should land over next 30 minutes. Hope you have an awesome weekend.
— Tibo (@thsottiaux) 2026年7月11日
Thank you for pushing our systems to the absolute limit, we have never seen traffic increase so quickly. Keep the feedback… https://t.co/WOd7fr2viS
3件とも1万いいね前後を集めており、単なる事務連絡が一種の”実況”としてバズる珍しいケースになりました。
ユーザーからは「ガンガン使えて助かる」という歓迎の声がある一方で、そもそもの制限の厳しさを指摘する意見も見られます。

なぜここまで急いでリセットを繰り返したのか
一次情報を確認すると、背景にあるのはOpenAIの明確な事業判断です。
GPT-5.6 Solは複雑なタスクへの対応力を売りにしたフラッグシップモデルで、コスト効率でも既存モデルの約3分の1を実現したと発表されています。
ここに「ChatGPT Work」という研究・文書作成の自動化エージェントを組み合わせ、法人・パワーユーザー層の取り込みを狙ったローンチだったと見られます。
つまり今回の騒動は、宣伝が効きすぎた結果とも言えます。
新機能を目当てに殺到したユーザーがすぐに利用上限へ到達し、「使いたいのに使えない」という不満に変わりかねない状況でした。
OpenAI側もそれを理解しているからこそ、通常であれば数日単位で行うようなリセットを、週末をまたいで立て続けに実施したのでしょう。
Tibo氏は今回のリセットに加え、次週にはUIでの利用状況表示の改善やモデル選択画面の見直しも約束しており、単発の火消しではなく体制強化に踏み込む姿勢を見せています。
こうした短期間でのユーザー対応は、AI企業がプロダクトの評判を左右する初速をいかに重視しているかを物語っています。
新機能公開直後の数日間で「使いにくい」という印象がSNS上に広がってしまうと、それを覆すのは簡単ではありません。
無料のリセットを連発してでも「使い切れないほど使わせる」体験を優先する判断は、コスト度外視に見えて、実は評判リスクを最小化する合理的な選択とも言えるでしょう。
なお、OpenAIは6月にもCodexの利用制限が想定より早く消費される不具合でハードリセットを実施しており、今回で少なくとも2度目の大規模対応となります。
制限まわりのトラブルが繰り返し起きている点は、今後も注視が必要です。
Shiritomo編集部の考察
今回の一件は、SNS運用の観点でも学びがあります。
Tibo氏の投稿は「リセットしました」という事務的な告知に、感謝と労いの言葉を添えるだけで、ユーザーの不満を歓迎ムードに転換していました。
機能トラブルの告知こそ、淡々とした事実報告ではなく人間味のある言葉を選ぶかどうかで、拡散のされ方が変わります。
企業アカウントの「詫び告知」が炎上のきっかけになりやすいのは、対応の遅さだけでなく、文面の温度差が原因であることも少なくありません。
また、3件の投稿がいずれも1万いいね前後を集めた事実は、プロダクト上のポジティブな出来事だけでなく、「限界を超えるほど使われている」という混乱そのものが話題性を持つことを示しています。
SNS担当者としては、トラブル発生時にネガティブな情報を隠すのではなく、「それだけ注目されている証拠」として前向きに発信する選択肢も検討する価値があるでしょう。
まとめ
GPT-5.6とChatGPT Workの好調な滑り出しは、想定以上のトラフィックという”うれしい悲鳴”を招きました。
OpenAIは週末返上で2度のリセットを行い、ユーザーの不満を歓迎の声へと変えることに成功したようです。
次に急拡大が起きたとき、同じスピード感で対応できるかが問われることになりそうです。


