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聴き放題時代なのにCDプレーヤーが売り切れ続出、英国の学生が求めた理由

Shiritomo編集部 @shiritomoAI_jp 2026年8月25日 更新
聴き放題時代なのにCDプレーヤーが売り切れ続出、英国の学生が求めた理由

79ポンド(1ポンド=215円換算で約1万7000円)のポータブルCDプレーヤー「Crosley Voyager」が、英国のオンラインストアで軒並み品切れになっています。
再入荷は10月まで待たなければなりません。
背景にあるのは、英百貨店ジョン・ルイスが明らかにした「CDプレーヤーの検索数が7月以降96%増えた」というデータです。

音楽が定額で聴き放題のはずの時代に、なぜ若い世代がわざわざ物理メディアの再生機を買い求めているのか。
ガジェットの売れ行きから見えてくる、音楽の聴き方の変化を調べてみました。

先に結論をまとめると:
– 英ジョン・ルイスでCDプレーヤーの検索数が7月以降96%増加し、人気モデル2機種がオンラインで売り切れています
– 背景には大学進学を控えた学生が、ビニール盤より安いCD(1枚12ポンド前後)を自室で聴くためにプレーヤーを買う動きがあります
– CD人気は英国だけの現象ではなく、米国ではK-POPアーティストの物理盤が牽引役となって市場全体を押し上げています

ジョン・ルイスが明かした「検索96%増」の中身

ガーディアン紙が報じたところによると、ジョン・ルイスの調べで7月以降、CDプレーヤーの検索数が96%増加しました。
同社は要因として、大学進学を控えた学生が自室用にポータブルプレーヤーを選んでいる可能性を挙げています。
人気の「Crosley Voyager」(79ポンド)と「Pure Classic C-D6」(129ポンド)はいずれもオンラインで売り切れており、Voyagerの再入荷は10月の見込みです。

サブスクリプションでほぼ無限に音楽が聴ける時代に、わざわざ機材とディスクを買う行為はどこか逆行しているように見えます。
ただ、検索数が伸びたという事実だけでは、それが一時的な流行なのか、もっと根の深い変化なのかは分かりません。
実際に何が起きているのか、もう少し掘り下げてみました。

調べて分かったこと

なぜ今、学生たちがCDプレーヤーを選ぶのか?

鍵になっているのは価格差のようです。
現地報道によれば、CDは1枚12ポンド(約2600円)程度で買えるのに対し、ビニール盤は35ポンド(約7500円)前後が相場とされています。
プレーヤー本体もCDの方が安く、大学の寮という限られたスペースにも収まりやすいポータブルサイズが揃っています。
ストリーミングでは得られない「ジャケットを眺める」「アルバム1枚を通して聴く」という体験を、ビニールより低い予算で試せる入り口としてCDプレーヤーが選ばれている、という見立てです。

ジョン・ルイスでオーディオ・イメージング部門のバイヤーを務めるKatrina Mills氏は、今回の動きについて「ビニールリバイバルが私たちのアナログへの食指を再び呼び起こし、その物理メディア全般への広い愛着が、今まさにCDプレーヤーの本物の急増を後押ししている」という趣旨のコメントを寄せています。
ビニール人気が先行し、その延長線上でCDにも需要が波及した、という順番のようです。

実際にどれくらい売れているのか?

英国のCD専門店HMVは、CD売上が前年比10%増だったと報じられています。
ジョン・ルイスの検索数96%増という数字はあくまで「調べた人の数」であり、実売の伸びとは別の指標ですが、店頭で品薄が起きるほどの需要が実際に生まれていることは、Crosley VoyagerやPure Classic C-D6の品切れ状況からもうかがえます。

一方で、米国の調査会社Luminateのデータでは、2026年上半期の米国CD売上は前年比16%増の1630万枚となり、ビニール盤の伸び(2.4%増)を大きく上回りました。
CDの伸び率がビニールの約6倍という結果です。
ここで注意したいのは、英国の「検索96%増」と米国の「売上16%増」は集計元も対象も異なる数字だという点です。
両者を単純に足し合わせて「世界的に◯%伸びた」と語ることはできませんが、方向性としては英米どちらの市場でもCDへの回帰が起きていると言えそうです。

世界的な追い風はあるのか?

米国のCD市場を押し上げている要因として複数の海外メディアが挙げているのが、K-POPアーティストの物理盤人気です。
Luminateの集計では、米国CD売上16%増のうち約10ポイント分をK-POP関連作品が占めたと報じられています。
上半期の米国CDアルバム売上上位10作品のうち7作品がK-POPだったとされ、BTSの記念アルバム「ARIRANG」は単独で56万7000枚を売り上げて米国CDアルバムの首位になったと報じられています。

チャート集計会社Hanteoによれば、2026年上半期に世界で売れた物理アルバムは4950万枚に達し、前年同期の4010万枚から23.4%増加、これまでの最高だった2023年上半期(4620万枚)も上回る記録になったとされています。
ただし興味深いことに、Luminateの別調査「Music 360」では、CDを購入したZ世代・ミレニアル世代のおよそ半数がCDプレーヤーを持っていない、というデータも報告されています。
つまり「聴くために買う」ではなく「応援・所有のために買う」需要も相当数含まれているとみられ、英国の学生がプレーヤーごと買い求める動きとは、少し性質の異なる消費行動が並走しているようです。

Shiritomo GADGET編集部の考察

今回の件で興味深いのは、CDプレーヤーが「ビニール入門機」の下に位置づけられている点です。
ターンテーブルは安くても数千円〜1万円台からが相場ですが、Crosley VoyagerやPure Classic C-D6は79〜129ポンド(約1万7000〜2万8000円)と、決して激安ではないものの、レトロなデザインで手に取りやすい価格帯に収まっています。
メーカー側からすると、これは「物理メディアを試したいが本格的なオーディオ機材には踏み込みたくない」という層向けの、明確な製品カテゴリーが成立しつつあるということです。

さらに、CDを買ってもプレーヤーを持たない購入者が半数近くいるという調査結果は、ハードウェアメーカーにとってむしろ伸びしろが大きい市場と読むこともできます。
所有欲だけで止まっている需要を再生体験に引き上げられれば、プレーヤー側の販売機会はまだ広がる余地があるはずです。
デザイン家電としてのCDプレーヤーは、しばらく注目しておく価値がありそうです。

まとめ

サブスクで音楽が聴き放題の時代に、英国の学生たちは検索数96%増という形でCDプレーヤーへの関心を示し、人気モデルは品切れが続いています。
背景には価格の手頃さやビニールリバイバルからの波及、そしてK-POPを中心とした物理盤人気という複数の要因が重なっているようです。
次に家電量販店やハイファイ店の店頭を覗いたとき、CDプレーヤーのコーナーがどう変化しているか、確かめてみると面白いかもしれません。

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