SNS運用Tips 読了 6 分

「この目元、絶対なーたんだ」——マクドナルドの謎美女投稿がSNS運用の教科書になっていた

shiritomo | AI・SNS・話題のテック情報メディア by Hashout編集部 @shiritomoAI_jp 2026年5月23日 更新
「この目元、絶対なーたんだ」——マクドナルドの謎美女投稿がSNS運用の教科書になっていた

「マックに甘いの、誰と一緒に飲みにいきたい?」

2026年5月21日の午後5時。
日本マクドナルドの公式Xアカウントに、そんな一文と一緒に不思議な画像が2枚投稿されました。
映っているのは、女性の目元と口元だけ。
全体像は一切なし。
顔を隠したまま、ただ「誰でしょう?」と問いかけてくる。

正直、最初は「企業アカウントっぽい小ネタかな」と思ったんです。
でも、そこからの展開が予想をはるかに上回っていて、気になって追いかけてしまいました。

わずか2時間で2.5万いいね。

ファンの「識別力」が炸裂した

投稿からほんの2時間ほどで、いいね数は2.5万件を突破しました。

リプライ欄を覗くと、一色です。
「なーたんだ!」「これは齊藤なぎさでしょ」「八重歯と目元で確定」——元・=LOVE(イコールラブ)のメンバー、齊藤なぎさ(22)を指す「なーたん」という愛称が埋め尽くしていました。

ファンが根拠として挙げたのは「かわいいかわいい八重歯と、まつげ、ぱっちりおめめ」という特徴。
部分的な写真だけで人物が一瞬で特定される様子に、「これだけで分かってしまうのスゴい」と驚く声も上がりました。

熱狂の証拠はこちら。

翌5月22日、ORICONが報じると「あのちゃん(ano)×齊藤なぎさ」というユニットでのCM出演が正式に発表されます。
「もものスムージー」「マスカットスムージー」の期間限定発売に合わせた新CMで、氣志團「One Night Carnival」の替え歌にのせてふたりが息ぴったりのダンスを披露するという内容です。
1年ぶりの共演に「久々に本物に会えて嬉しい」(齊藤談)というコメントも添えられました。

謎の投稿 → ファン推理 → 正体判明。

この流れは設計されていた

ここで立ち止まって考えてほしいのが、マクドナルドはこの一連の「謎→推理→正体判明」の流れを、意図的に設計していたということです。

これを「ティザーマーケティング」といいます。
ティザー(teaser)とは「じらす」という意味。
商品や人物を全部見せず、ヒントだけを小出しにして、ユーザー自身に「考えさせる」「推理させる」仕掛けです。

今回のポイントをSNS運用の視点で分解すると、こうなります。

① 謎要素でユーザーを「参加者」に変える

ただ「齊藤なぎさ出演決定!」と告知するのではなく、目元と口元だけで問いかけた。
するとユーザーは受け手ではなく、答えを探す参加者になります。
正解を探す行為そのものが楽しいコンテンツになり、リプライが自然に集まります。

② 人物の「個性」を謎のフックにする

今回、八重歯・まつげ・目元という齊藤なぎさの特徴的な部分が的確に切り取られていました。
ファンがすぐ反応できる「分かりやすいシグナル」を仕込むことで、熱狂的なファン層がリプライ欄を盛り上げ、その熱量が一般ユーザーの目にも触れやすくなります。

③ 正体判明をニュースにする

謎の投稿が話題になった翌日に正式発表。
「そうだった!」という伏線回収の快感が、発表自体にも拡散力を加えています。
ただ告知するのではなく、「あの謎、やっぱり当たってた」という流れを作ることで、2段階のバズを生み出しました。

先月も使っていた。

連続するティザー施策

実はこれが初めてではありません。
マクドナルド公式Xは、この「謎投稿→正体判明」のパターンを意図的にシリーズ化しています。

今回のニュースのsummaryには「先月、佐々木舞香が出演したCMに続く流れ」と記されています。
前回のキャンペーンでも同様に、人物を伏せた形での投稿から始まり、ファンの推理を呼んでいました。

同じ時期、海外マクドナルドも別の謎投稿で話題を呼んでいます。
「ドナルドがベンチに座っている様子」をVHSフィルム風の映像で投稿し、「彼は自然が好き」「彼は去っていない」と公式が意味深な返答をするという、ミステリアスな演出でした。

こちらは約1.3万いいねを獲得。
ブランドによってアプローチは違いますが、「情報を出し切らずにじらす」という戦略の有効性は世界共通のようです。

自社SNSに取り入れるとしたら?

「大企業だからできる話でしょ」と思いたくなりますが、このティザー手法の本質は規模ではなく「設計」にあります。

自社のSNS運用に応用するなら、こんな観点が参考になります。

新商品・新メニューの告知前に「ヒント投稿」を1本入れる: 全容を出さず、素材感・色・形だけを映した写真を先行投稿する。
「何の新商品?」というリプライが来るだけで、通常の告知より注目度が上がります。

コラボや人物起用をシルエットや部分写真で匂わせる: 今回のマクドナルドと同じ手法。
タレントや著名人とのコラボなら、ファン層がそのまま推理の担い手になってくれます。

「当てた」を讃えるリプライやRT反応を入れる: 正解を出したファンに反応することで、次の謎投稿への期待感がさらに高まります。
コミュニティとしての一体感が生まれます。

ただし、ひとつ注意点があります。
「謎」が薄すぎると滑り、「謎」が強すぎると置いてけぼりになります。
今回成功した要因の一つは、コアなファンなら絶対分かるレベルの「解けそうな謎」を設定した点にあると思っています。
全ユーザーが謎を解く必要はなく、熱量の高いファン層が推理して盛り上がり、その熱が一般ユーザーに広がるという構造を意識して作るのがポイントです。

さらに深掘りしたい方へ

まとめ

マクドナルドの「謎美女投稿→ファン推理→正体判明」は、一発のバズ狙いではなく、2段階の話題化を意図した設計された施策でした。
企業SNSにとって参考になるのは、情報量をあえて絞ることで受け手を「参加者」に変え、拡散をユーザー自身に担わせるという発想です。
次の新商品告知のとき、いきなり全部見せる前に少しだけじらしてみる——そんな小さな変化から試してみてもいいかもしれません。