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サンリオ公式が「あ~もう!!」と叫んだ。クロミの×ボタン投稿がSNS運用者の心に刺さったわけ

shiritomo | AI・SNS・話題のテック情報メディア by Hashout編集部 @shiritomoAI_jp 2026年5月24日 更新
サンリオ公式が「あ~もう!!」と叫んだ。クロミの×ボタン投稿がSNS運用者の心に刺さったわけ

スマホでブラウジングしているとき、突然画面いっぱいに広告が現れ、必死に×ボタンを探した経験はありませんか。

見つけたと思ったら極小サイズで押せず、ようやくタップしたら広告先に飛ばされてしまう。
あの「あ~もう!!」という気持ちを、サンリオ公式アカウントがクロミのイラストで投稿したところ、Xで大きな共感を集めました。

スマホを睨みつけるクロミが、画面の隅に見える小さな×ボタンに向かって叫んでいる。
「このフラストレーション、まさにこれ」と多くのユーザーが反応した投稿です。
企業公式SNSがユーザーの”不満”を代弁する——この戦略が、なぜ今のSNS運用に効くのかを深掘りしてみました。

「ウェブ広告の×ボタン問題」とは何か

まず、クロミが叫んでいた問題の正体を整理します。

スマホで記事を読んでいると突然表示される全画面広告、動画コンテンツの途中に挿入される広告——これらに設置されている閉じるボタンが、意図的に使いにくく設計されている問題が「ダークパターン(dark pattern)」として知られています。

ダークパターンとは、ウェブサイトやアプリのUIを意図的に操作し、ユーザーが望まない行動(広告クリック・サービス購入・個人情報提供など)をしてしまうよう誘導するデザイン手法の総称です。
広告の×ボタンを極小に設定し「誤タップ=広告クリック」を狙うのは、その代表例のひとつです。

「3.5mmほどの極小サイズ」と実測した記事もあり、ユーザーコメントには「押せないとイラッとします」「3回に1回はミスります」「精神衛生上悪い」という声が並んでいます。

この問題はSNS上でも繰り返し語られてきましたが、サンリオ公式がクロミというキャラクターを通じて「私もそう思ってた」と言語化したことで、「企業さんもわかってくれてる!」という共感が生まれました。

なぜ今、企業SNSが「ユーザーの不満代弁」で共感されるのか

クロミという存在を少し振り返っておきましょう。

サンリオが「#世界クロミ化計画」を始動させたのは2021年。
その戦略の核心は「共感をもとにしたファン化」でした。
完璧ではなく、ちょっとダメなところもある——そんなクロミの人間らしさが、特にZ世代の心を掴んでいます。
サンリオ側も「クロミの考え方や活動に共感し、行動してくれる仲間を増やすことを目標に設定している」と公言しています。

今回の×ボタン投稿は、その延長線上にあります。
企業が「我々のサービスは素晴らしい」と一方的に訴求するのではなく、「あなたが日常で感じているフラストレーション、私たち(クロミ)もわかる」と共感を示す投稿スタイルは、ユーザーとの距離を一気に縮めます。

X上でもこういった「ネガティブな感情に乗っかる」投稿は共感を集めやすい傾向があります。
キャラクター性のあるアカウントが愚痴や不満を代弁することで、ユーザーは「このアカウントは友達みたいだ」と感じるからです。

ばつ丸(バッドばつ丸)のフォロワーアカウントが投稿したこちらの投稿も、同じく「ぶりざーどさんからも…めちゃくちゃかわいい🩷」という素直な感情表現で5000件を超えるいいねを集めています。

サンリオのキャラクターたちが「ファンと同じ気持ちで世界を見ている」存在として機能していることが、こういった反応からも読み取れます。

SNS運用者が学べる「共感設計」の具体的なポイント

では、今回の投稿から何を学べるでしょうか。
SNS運用者・マーケターの視点で整理します。

ポイント①:ユーザーの”あるある不満”を先に言語化する

ブランドからの一方的なメッセージより、「それ、わかる」と思わせるコンテンツのほうが拡散されます。
ターゲットが日常で感じている小さな不満・面倒ごと・理不尽さをリストアップしておき、それをキャラクターや自社の文脈で表現する手法は応用が利きます。

ポイント②:”自分ごと化”しやすいテーマを選ぶ

スマホの広告×ボタン問題は、スマホを使うほぼ全員が経験しています。
共感を得るためには、特定の専門知識を必要とせず「誰でも経験している」普遍的な体験を題材にすることが効果的です。

ポイント③:キャラクターを「等身大の存在」として扱う

クロミがイライラする、クロミが叫ぶ——これは「キャラクターがユーザーと同じ体験をしている」という設定です。
キャラクター運用において、常に完璧で前向きな投稿だけでなく、人間らしい感情を見せることがエンゲージメントを高めると、サンリオはZ世代攻略の中で実証してきました。

サンリオキャラクター大賞の公式アカウントも、ファン参加型の投稿でコンスタントにいいねを集めています。

ハッシュタグとキャラクターグッズの紹介を組み合わせたシンプルな構成でも、コミュニティが熱量を持っていれば十分な反応が生まれるということです。

ダークパターンそのものはSNS運用者も無関係ではない

少し視点を広げると、ダークパターンはウェブ広告だけの問題ではありません。

消費者庁は2025年に「ダークパターンに関する取引の実態調査」を公表し、国内102サイトを調査した結果、45サイトで「事前選択(ユーザーが気づかないうちにオプションが選ばれている)」というダークパターンが確認されました。
景品表示法・特定商取引法に抵触する可能性も指摘されており、規制議論が本格化しています。

SNSキャンペーンを設計する立場からも、「誤解を招くボタン配置」「分かりにくい利用規約」「解除しにくいメルマガ設定」などはダークパターンとみなされるリスクがあります。
ユーザーの信頼を積み上げるブランドコミュニケーションとは真逆の結果を招くため、自社のキャンペーンページやLPのUXを今一度見直す機会にもなりそうです。

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まとめ

クロミが×ボタンに叫んだ投稿は、ユーザーの日常フラストレーションをキャラクターが代弁した、シンプルだけど強い共感設計でした。
「ブランドが自分と同じ気持ちでいる」と感じさせることは、広告よりも深くユーザーの心に届きます。
ダークパターン問題が社会的に議論される今だからこそ、SNS運用においても「ユーザーの信頼を積み上げるコミュニケーション」を意識してみてはいかがでしょうか。