SNS運用Tips 読了 6 分

「外注してるから知らない」——議員のSNSアカウントは誰が運営しているのか

shiritomo | AI・SNS・話題のテック情報メディア by Hashout編集部 @shiritomoAI_jp 2026年6月16日 更新
「外注してるから知らない」——議員のSNSアカウントは誰が運営しているのか

駅のホームで、有権者が国会議員に直接こう尋ねた。
「ブロックを解除してもらえませんか?」すると議員は、「外注してるから私は知らない、私はやってない、あとは秘書に」と答え、そそくさとその場を去ったといいます。

このエピソードを投稿したのは、杉並区在住の有権者 @yurasher さん。
自民党の門ひろこ衆議院議員(東京8区)から身に覚えのないブロックを受けていたという話ですが、議員の返答に多くの人が衝撃を受けました。
「自分のSNSアカウントで自分がブロックしたかどうかすら知らない」という状況は、一体どういうことなのでしょうか?

気になって調べてみると、これが政治家の間では意外と珍しいことではないとわかりました。

「外注しているから知らない」——Xで3400いいねを集めた発言

@yurasher さんの投稿は、あっという間に拡散しました。

3400件以上のいいねを集めたこの投稿には、SNS管理の外注をめぐる疑問の声が殺到しています。

「ブロックだけ外注なんてあり得るんですかね?普段のポストも外注ですか?」

別のフォロワーは「外注しようと秘書に任せようと構わないのですが、発注・命令した責任は取っていただきたい」と冷静に指摘しています。

この反応が象徴しているのは、「外注している事実」よりも「外注先が何をしているかすら把握していない」という点への違和感です。
有権者がフォローしている公式アカウントが、実は本人とまったく無関係の業者によって運営されているとしたら——そのアカウントの発言は「誰の言葉」なのでしょうか。

国会議員のSNS外注は珍しくない——調査でわかった実態

実はSNS運用の外注は、国会議員の間では珍しい話ではありません。

スローニュース(SlowNews)が実施した調査によると、2021年の衆院選(1,051人)・2022年の参院選(545人)・2024年の衆院選(1,344人)の選挙運動費報告書を分析した結果、三つの国政選挙を合わせて100人以上がSNS運用の外注費用を計上していたことが明らかになっています。
さらに2021年の衆院選では少なくとも13人、2024年の衆院選では少なくとも14人の閣僚・政党幹部が、選挙運動費からSNS外注業者へ支払いを行っていたといいます。

企業のSNS運用でも、外注は当然の選択肢です。
投稿のデザイン・スケジューリング・コメント対応などを専門業者に委託することで、効率的な運用が可能になります。
問題は外注そのものではなく、「誰が何をどこまで委託しているか」が曖昧なまま運用されていることにあります。

特に政治家の公式アカウントは、単なる「情報発信ツール」ではありません。
有権者にとっては、その議員の考えや立場を知る重要な窓口です。
投稿の内容も、ブロックの判断も、すべて「議員本人の意思決定」として受け取られます。

SNS運用を外注するなら——「魂」だけは手放せない

では、外注と責任をどう両立すればいいのでしょうか。

選挙SNS支援を専門とする企業各社の見解や業界慣行を見ると、うまくいっているケースには共通点があります。
「企画とメッセージは本人が担い、編集・投稿作業だけをスタッフや外注先が担う」という役割分担です。
有権者が読むコメントや立場表明は本人が発信し、運営の手間だけを外部に任せる——この境界線を明確にしているかどうかが、信頼性を大きく左右します。

翻って今回の件では、「ブロック」というアクション(特定の人物を自分のアカウントから締め出すという判断)すら外注先に委ねられていたことになります。
これは単純な「投稿代行」を超えた、かなり踏み込んだ権限の委任です。
そして本人がそれを「知らなかった」という状況は、ガバナンス(管理体制)の観点からは深刻な問題をはらんでいます。

さらに深掘りしたい方へ

SocialReport編集部の考察

今回の件をSNSマーケティングの視点で見ると、「外注管理の透明性」という普遍的な課題が浮かび上がります。

企業や組織がSNSアカウントを外注する場合、多くは「ガイドライン」「投稿前承認フロー」「月次レポート」といった管理プロセスを整備します。
ところが実態として、特に急いで立ち上げたアカウントや、担当者が多忙な場合には、外注先に広範な権限を渡したまま日常確認を怠るケースが出てきます。

「外注したら終わり」ではなく、「誰が何の権限を持っているか」を常に把握することが、ソーシャルメディアガバナンスの基本です。

SocialReportのようなSNS分析ツールを使うと、自社アカウントの投稿頻度・エンゲージメント変化・フォロワー増減を継続的にモニタリングできます。
「外注先に任せているから中身を見ていない」という状態は、異常な変化に気づけないリスクでもあります。
今回の議員のケースは、アカウントを持つすべての組織・個人にとって、外注管理の見直しを促す教訓になるのではないでしょうか。

まとめ

SNS外注は今や珍しい選択肢ではありませんが、「何を委託し、何は委託しないか」を明確にしなければ、アカウントの信頼性そのものが揺らぎます。
有権者が見ているのは投稿の内容だけでなく、「このアカウントは誰の言葉なのか」という信頼の根拠です。
今回の出来事は、SNS運用に関わるすべての人が、自分たちのアカウントガバナンスを一度見直す機会になるかもしれません。