「相手が被害者だと信じた俺が馬鹿でした」——Xアカウント乗っ取り詐欺DM、偽Premium領収書に潜む違和感
フォロワーからのDMに、詐欺と気づきにくい仕掛けが仕込まれていました。
X(旧Twitter)のアカウントを乗っ取った何者かが、本物そっくりのX Premium領収書画像を送りつけてきます。
相手を巻き込みながら段階的に信用を積み上げていく——そんな詐欺DMが、2025年末ごろからXで繰り返し報告されています。
作家の木下昌輝さん(@musketeers10)が2025年11月に公開したやり取りには、「相手が被害者だと信じた俺が馬鹿でした」という一言が添えられていました。
フォロワーとの信頼関係を逆手に取るこの手口は、個人だけでなくアカウントを運用する立場の人ほど他人事ではありません。
先に結論をまとめると:
– 乗っ取られたアカウントが「自分のVISAカードが不正利用され、あなたに5年分のPremiumが贈られた」という偽の領収書画像を送りつけてくる
– 「Discordのサポートで確認を」と外部アプリへ誘導し、そこで認証コードや個人情報を聞き出そうとする
– X公式はDMやDiscordでサポート対応をすることは一切なく、怪しいDMはブロック・通報し、二段階認証を設定するのが有効な対策
Xでも報告が相次ぐ「乗っ取り詐欺DM」
木下さんが公開したスクリーンショットを見ると、詐欺の流れがよく分かります。
まず「こんにちは、今忙しいですか?とても大切なことをお尋ねしたいのですが?」という何気ない書き出しから会話が始まります。
返信すると、5年分のX Premiumが贈られたことを示す領収書画像が送られてきて、「自分のVISAカードが不正に使われ、あなたと全く同じユーザー名と写真のアカウントに送金されたようだ。
本当にあなたか」と問いかけてくる——という筋書きです。
相手が「アカウントを乗っ取られた」と信じ込ませるのではなく、逆に自分(送信者)が「被害者」を演じるのがこの手口の特徴です。
木下さんは「おもろいので付き合ってやってますが、一瞬、相手が被害者だと信じた俺が馬鹿でした」とやり取りを続け、その様子をそのまま投稿していました。
注意喚起です。乗っ取られかな?
— 木下昌輝@風林火山のむすめ/近刊 (@musketeers10) 2025年11月20日
画像のような詐欺DMが来ました。discordでX担当者に連絡しろとのことです。
おもろいので付き合ってやってますが、一瞬、相手が被害者だと信じた俺が馬鹿でした笑 https://t.co/titBpDWZQD pic.twitter.com/yX0QXJ9LAU
ただ、この投稿だけでは「一部のアカウントで起きた出来事」なのか「今も繰り返し起きている手口」なのか分かりません。
そこでXでの他の報告や公式の注意喚起を確かめてみました。
調べて分かったこと
なぜこの時期にも起きているのか?
X公式の日本アカウントは、DM機能を悪用した詐欺への注意喚起を出しており、X社の従業員やサポートを装った偽アカウントが確認されているとしています。
今回のような「アカウントが凍結される」「Discordで手続きを」と迫る手口は2025年末ごろから広がり、2026年に入ってからも波状的に報告が続いているようです。
Xで「知り合いがこの被害に合いそうになった」という報告も見つかりました。
知り合いがこの被害に合いそうになったそうです
— ソレ (@_solesolesole) 2026年4月29日
皆様もお気をつけください https://t.co/EHc5g12Lht
一度収まったように見えても同じ手口の投稿がまた増える、というサイクルを繰り返している様子がうかがえます。
乗っ取られたアカウント自体が拡散元になるため、フォロワー数の多いアカウントほど一度に多くの人へDMが届く構造も、報告が周期的に増える一因と考えられます。
領収書画像に潜む違和感
木下さんの投稿にある領収書画像をよく見ると、支払日は「Paid Novenmber 19, 2025」と表示されています。
ところが明細部分には「NOV 19 – DEC 16, 2030」という2030年の日付が記載されています。
同じ取引のはずなのに、支払日と明細期間が5年もずれているのです。
本物のX・Stripeの請求書でこうした矛盾が生じることはまず考えにくく、テンプレート画像を使い回して量産している痕跡だと見て良さそうです。
「Discordに誘導されたら詐欺」と言い切れる理由
X公式サポートは、DMやDiscord・LINEなどの外部アプリを使って個別に対応することはありません。
アカウントの状態を確認したい場合も、DM内のリンクではなくXアプリやX.comの設定画面、公式ヘルプセンターから確認する必要があります。
詐欺師があえてDiscordなど外部のプラットフォームに誘導したがるのは、X社の監視の目が届かないことに加えて、後からやり取りのログを消してしまえば、被害を訴える際の証拠が残らなくなるためです。
被害に遭わないために——Xの二段階認証、設定していますか
こうしたDMに気づけたとしても、アカウント自体が乗っ取られてしまえば同じ被害を広げる側に回ってしまいます。
Xでは設定画面から二段階認証(ログイン時にパスワードに加えてもう1つ別の確認を求める仕組み)を有効にでき、認証アプリを使う方法がパスワードだけの状態より安全とされています。
怪しいDMが届いたときは、リンクを踏んだり画像を保存したりせず、まず送信者をブロックして報告し、その上で自分のアカウントのパスワードと二段階認証の設定を見直しておくと安心です。
Shiritomo編集部の考察:フォロワーとの信頼構造そのものが狙われている
この手口が厄介なのは、詐欺師が「加害者のふりをする相手」ではなく「先に被害を訴える相手」として近づいてくる点です。
SNS運用担当者やクリエイターのように、日常的にフォロワーとDMでやり取りする立場ほど、多少不自然な文面でも「知り合いからの相談」として反応してしまいやすくなります。
アカウント運用の観点では、フォロワーへの一斉DMや高額請求に関する連絡を自分から送る運用は基本的に避けたいところです。
どうしても送る必要がある場合は、固定ポストや公式サイトなど別の経路でも同じ内容を確認できるようにしておくと、なりすまし被害が起きた際にフォロワーが見分けやすくなります。
乗っ取り自体を完全に防ぐことは難しくても、二段階認証を設定しておくことと、フォロワーとの連絡手段をDM一本に頼らないことの2つが、被害の広がりを抑える現実的な備えになりそうです。
まとめ
X上のアカウント乗っ取り詐欺DMは、偽の領収書画像と「自分も被害者」という語り口でフォロワーの警戒心をすり抜けようとします。
Discordなど外部アプリへの誘導は詐欺と判断してよく、二段階認証の設定と、DMに頼らない連絡手段の確保が有効な備えになります。

