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イラストレーター狙いのAI無断加工リプライが急拡散——クリエイターが今すぐ取るべき自衛策

shiritomo | AI・SNS・話題のテック情報メディア by Hashout編集部 @shiritomoAI_jp 2026年5月27日 更新
イラストレーター狙いのAI無断加工リプライが急拡散——クリエイターが今すぐ取るべき自衛策

朝早くに流れてきた一つの投稿が、クリエイターたちの間で一気に広まりました。
ホロライブ関連のファンアカウントを運営するラド氏が投稿した注意喚起が200万ビューを超え、「自分も被害に遭っていた」という声が次々と上がったのです。

今回明らかになったのは、マレーシア在住のMuhammad Sulaiman氏による行為です。
刀剣乱舞やホロライブのキャラクターを描いたファンアートや二次創作イラストを無断でAI加工し、元ポストに「remastered版を作りました」と言わんばかりにリプライを送りつけているというものでした。
被害に遭ったクリエイターは一人や二人ではなく、同様の手口による被害の報告がSNS上で相次ぎました。

何が起きていたのか——手口と被害の広がり

問題の核心は「無断」という点にあります。
Muhammad Sulaiman氏は、クリエイターが公開しているイラストやファンアートを許可なくAIで加工し、元の投稿にリプライとして送り返していました。
加工された画像は「remastered」と称されており、あたかも好意的な行為であるかのように見えますが、制作者の意思をまったく無視した著作権侵害にあたる行為です。

刀剣乱舞やホロライブは特に熱量の高いファン・クリエイターコミュニティが存在します。
これらの作品を描くクリエイターの多くは、時間をかけて一枚一枚手描きしており、その作品への愛着と責任があります。
そうした作品が本人の同意なく「改変」され、自分の投稿のリプライ欄に並べられる——そのショックは想像に難くありません。

ラド氏の注意喚起投稿が爆発的に拡散した背景には、「実は自分も同じ被害に遭っていた」というクリエイターたちの共感があったはずです。
被害が可視化されることで、潜在的な被害者が声を上げやすくなり、コミュニティ全体での対策共有も進みました。

AIによる無断改変は法律的にどう扱われるか

AI加工の問題は技術の話だけではなく、法律の問題でもあります。
日本の著作権法では、著作物を著作者の許諾なく改変することは著作者人格権の一つである「同一性保持権」(著作権法20条)の侵害にあたります。

著作権問題に詳しい骨董通り法律事務所の福井健策弁護士は、「他人の著作物を無断で改変し公開すれば著作権、著作者人格権(同一性保持権)の侵害、さらに特定のウォーターマークなどを消せば氏名表示権の侵害やみなし侵害に該当する可能性が高い」と指摘しています。

ただし、実際に法的措置を取るには相手の特定やプラットフォームへの開示請求など、ハードルが伴います。
今回のように相手がマレーシア在住という国際的なケースでは、さらに手続きが複雑になります。
だからこそ、プラットフォームの通報機能と、コミュニティ全体での対策が重要になります。

今すぐできる自衛策——ブロック・通報・投稿設定の見直し

こうした被害に対して、クリエイターが取れる具体的な行動があります。

まずブロックと通報です。
同様のアカウントを発見した場合、X上でブロックするとともに「知的財産権の侵害」として通報することができます。
ツイートの右上にある「…」から「報告する」→「知的財産権の侵害」を選択する流れです。
Xのヘルプセンターには著作権侵害の申し立てフォームも用意されており、より正式な形で申告することも可能です。

次にGrok画像編集のブロック設定です。
2025年12月末にXの新機能「Grok画像編集」が物議を醸したことをきっかけに、2026年3月からXは画像投稿時に「Grokによる修正をブロック」を選択できる機能を追加しました。
画像を投稿する際にこの設定を有効にすることで、Grok経由でのリプライ加工を防ぐことができます(iOSアプリから設定可能)。

また、GIF形式での投稿も有効な対策として広まっています。
JPEG・PNG形式の画像はGrok編集ボタンが表示されますが、GIF形式ではこのボタンが表示されない仕様のため、AI加工のターゲットになりにくくなります。
一時的な回避策ではありますが、特に被害を心配するクリエイターの間で活用されています。

SNS運用の視点から考えるクリエイターの情報発信

クリエイターにとってSNSは作品を発表する場であると同時に、著作権リスクにさらされる場でもあります。

今回の件が示す教訓は、「SNSに作品を投稿する=リスクを管理しながら発信する」という意識の必要性です。
SNS上での悪意ある行為は、技術の進化とともに多様化しています。
以前はbot的な無断転載が問題でしたが、今やAIを使った改変・再投稿という新たな形態が現れています。

コミュニティとしての対策も重要です。
ラド氏の注意喚起が200万ビューを超えて広まったように、一人が声を上げることで多くの潜在的な被害者が情報を得られます。
「同じアカウントからリプライが来た」という情報が共有されることで、ブロックの連鎖が生まれ、被害を食い止める力になります。

さらに深掘りしたい方へ

VTuber界隈で広がるAI一貫性議論を深掘りしてみたVTuber界隈で広がるAI一貫性議論を深掘りしてみたちょっと面白いことに気づきました。 VTuberのなかに、AIを全面否定しているわけではないのに、「画像生成AIは使わない・使わせない」という立場を明確にしてい

まとめ

AIによる他人のイラストの無断加工という問題は、技術の進化が生み出した新しいタイプの著作権侵害です。
ラド氏の注意喚起が広まったことで可視化されたこの問題は、クリエイターとSNSプラットフォームの双方が向き合わなければならない課題です。
被害に遭ったら通報する、新しい設定を活用する、コミュニティで情報を共有する——その積み重ねが、クリエイターが安心して作品を発信できる環境をつくっていきます。