SNS運用Tips 読了 6 分

「炎上系エッセイ漫画」を副業として量産させる商売が告発される——SNSの「怒り経済」を解剖する

shiritomo | AI・SNS・話題のテック情報メディア by Hashout編集部 @shiritomoAI_jp 2026年6月16日 更新
「炎上系エッセイ漫画」を副業として量産させる商売が告発される——SNSの「怒り経済」を解剖する

Xのタイムラインを流れていると、「うちの夫がひどい」「職場の上司が信じられない」という内容のエッセイ漫画を見かけたことはありませんか。

コマ割りが粗くても、絵がうまくなくても、なぜか毎回バズる——そんなアカウントの裏に、組織的な「怒り量産工場」が存在するかもしれない。
そんな告発が、6月15日にXで9,600件以上のいいねを集めました。

動画編集者の橙(@0ranssi)さんが投稿したのは、「SNSでちょっとお絵描きしたい人を講座で育てて炎上用エッセイ書かせる」という商売の実例を見に行ったところ、「入れ食い状態で大炎上していた」というレポートでした。

「虚業すぎる」とした投稿に、4,300件以上のリツイートが集まりました。
そして、その内側を知る人物からの証言が続きます。

副業セミナーで「炎上したら無言でRT」を指示される実態

この投稿に引用RTで真相を語ったのが、イラストレーターのaireverte(@aireverte)さんです。
1,000件超のいいねを集めた証言は衝撃的でした。

「在宅で副業!画力不要!」という広告から参加したエッセイ漫画量産セミナーでは、漫画を描くだけでなく、「胴元が指定した漫画をリツイートするよう指示される」というのです。
そして炎上が起きたときは「無言でリツイートだけやらされる人もいて、つらい」と。

これは単なる副業ビジネスではなく、アルゴリズムを活用した「炎上の工場」です。

続いてこんな引用RTも。

「最近よく広告で見る、大して画力が高くないのに人間の邪悪さを強調することだけは上手い炎上系エッセイ漫画の正体ってこれ…!?」

「やはり人の怒りは金になるのか」という一言も刺さります。

「怒り」はアルゴリズムに最適化されたコンテンツ

なぜ画力に関係なく炎上系エッセイ漫画がバズるのか。
その背景には、Xのアルゴリズムがあります。

SNSのフィード設計において、感情的な反応——とくに怒りや論争——は高いエンゲージメントと強く結びついています。
ScienceDirectに掲載された2025年の研究では、「感情をターゲットにしたコミュニケーションは、そうでないものに比べてエンゲージメントを最大42%増加させる」という結果が報告されています。

また、Twitterのアルゴリズムとユーザーの感情の関係を分析した研究では、「怒りを誘発するコンテンツが増幅される設計になっている」という指摘もあります。

「怒り」はプラットフォームにとって儲かるコンテンツだった、ということです。

それを知ってか知らずか、「怒りエッセイ」に特化した副業セミナーが生まれ、初心者が量産する仕組みが作られた——というのが今回の告発の核心です。

SNSマーケターとして気になる構造的な問題

ここで少し立ち止まって考えたいのが、「組織的なバズ工作」の存在です。

先述の証言によれば、セミナー参加者は「胴元が指定した漫画をRTするよう指示される」とのこと。
これはある種の「相互拡散クラスター」であり、初期のエンゲージメント量を人為的に高める手法です。
アルゴリズムはこの「初速」を拾って拡散を加速させます。

マーケターの視点から言えば、「感情設計 × 初速操作」という組み合わせは、実際に効果があるというエビデンスが研究でも示されています。
それをグレーなビジネスモデルに応用したのが今回の事例というわけです。

一方で、こうした手法は読者の信頼を食いつぶす行為でもあります。
Xのタイムラインで「実体験」として提示されたものが「胴元の用意したシナリオ」だったとしたら、コンテンツへの信頼そのものが揺らいでいきます。

さらに深掘りしたい方へ

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SocialReport編集部の考察

SNSマーケターにとって、このニュースから読み取れることは何でしょうか。

一つは、「感情喚起型コンテンツは拡散されやすいが、それは武器にもリスクにもなる」という現実です。
今回の炎上エッセイ漫画はあくまで極端な例ですが、「怒り」「共感」「驚き」といった強い感情を引き出すコンテンツが初速を得やすいのは、多くのSNS運用者が感覚的に知っていることです。

ただし、「感情設計」と「人を傷つける虚構の量産」はまったく別物です。

自社ブランドのSNS運用において、感情的な引力を持つコンテンツを設計することと、存在しない悪役を作り上げて炎上させることの間には、越えてはならない一線があります。
SocialReportが重視するのは「データに基づいた誠実なコミュニケーション」です。

もう一つ注目したいのが、今回の件で「炎上ビジネスの構造」が可視化されたという点です。
SNS担当者がタイムラインを読み解くとき、「このバズは本物の感情なのか、工作なのか」を問う目線を持つことが、今後ますます重要になってくるでしょう。
プラットフォームを分析するツールとしてのSocialReportが、こうした構造的なうねりを捉えるためにも活用できます。

まとめ

「画力不要で副業」という広告の裏に、怒りを武器にした組織的なコンテンツ工場が存在する——その疑惑がXで9,600件以上のいいねとともに可視化されました。

SNSのアルゴリズムが怒りに反応しやすいことは研究でも裏付けられています。
その構造を悪用したビジネスが生まれるのは自然な流れとも言えます。
だからこそ、SNS運用に関わるすべての人が「何のためにバズを狙うのか」を問い続ける必要があるのかもしれません。