バズ投稿に「普通の日本人」がリプライ——インプレゾンビが自然なプロフィールに進化し、2026年5〜6月に再び急増
Xでバズった投稿のリプライ欄を眺めていて、ふと違和感を覚えたことはありませんか。
以前なら絵文字を連投するアラビア語圏のアカウントがひと目でわかるインプレゾンビ(インプレッション目的のスパム行為・スパムアカウント)でした。
ところが最近、様子が変わってきました。
リプライを寄越してくるのは「Japan在住」と書かれ、投資やAIについて発信しているように見える、いかにも自然な日本人プロフィールのアカウントです。
送られてくる言葉も「なるほど」「参考になります」程度。
思わず「え、普通の人?」と一瞬止まってしまいました。
調べてみると、これは2026年5〜6月にかけて急増している新型インプレゾンビの手口でした。
X上で観測された「進化したゾンビ」の正体
この動きを真っ先に観測したのは、おたくま経済新聞(@otakumatch)です。
2026年5月から6月にかけて、Japan表記や「投資・AI」などをプロフィールに掲げた、自然に見えるアカウントが急増しています。
バズ投稿に内容の薄いリプライを大量送信しているという実態を記録し、警告を発しています。
1日あたり数百件、累計では3万件規模にのぼると報告しています。
VTuberの @s_SRSK らも「こんなリプが来た」とスクリーンショット付きで同意の声を上げており、SNSコミュニティ内で急速に認識が広まっています。
このアカウント群の共通点は以下のとおりです。
- 所在地に「Japan」と表記している
- 投資・AI・クリエイターなどの自然なプロフィール文
- 2026年5〜6月に新規作成されたアカウント
- AI生成と思われる繰り返し投稿
- リプライは「なるほど」「参考になります」など中身がない短文
従来型の「絵文字爆撃」や「不自然な日本語」とは一線を画す偽装ぶりです。

なぜ今、こんな手口が出てきたのか
背景には2026年2月にXが実施したAPI制限があります。
これ以前のインプレゾンビは、X APIを使って自動的に大量リプライを送るプログラムが主流でした。
API制限によってこのルートが大幅に塞がれ、従来型の大量自動リプライは激減しています。
しかし「ブラウザ自動化型」と呼ばれる、人間の操作を模倣するタイプのゾンビはAPIを使わないため影響を受けません。
加えて、生成AIの進化によって「自然な日本語でプロフィールを作り、AIが文脈に合わせたリプライを生成する」コストが大幅に下がりました。
インプレゾンビが2023年の「絵文字爆撃フェーズ」から「自然な偽装フェーズ」へと進化している、という見方が現在のSNSコミュニティでは共有されています。
インプレゾンビの収益構造はXの広告収益分配プログラムで、インプレッション(投稿の表示回数)が多いほど収益になる仕組みです。
さらに懸念されているのが「収益化後のアカウント売却」。
一定規模まで育てたアカウントをそのまま転売し、ブランドのなりすましや世論操作に使われるリスクも指摘されています。
SNS担当者がいま確認すべきこと
SNS運用の担当者として、この変化は無視できません。
特に警戒したいのは、企業・ブランドのX投稿がバズったときです。
リプライ欄は「ブランドの第一印象」を決める重要な場所です。
内容の薄いリプライが上位に並ぶだけで「このブランドのファンってこんな感じ?」という誤解を招く可能性があります。
現時点で有効とされる対策は以下のとおりです。

見分けるポイント:
– 最近作成されたアカウント(登録日を必ず確認)
– フォロー数に対してフォロワーが極端に少ない
– プロフィールが「投資・AI・副業」系のキーワードで埋められている
– リプライが汎用的な短文(「なるほどです」「参考になります」など)
対処法:
– 発見次第スパム報告(蓄積によりアカウント停止に有効)
– ブロックは「見えなくなる」だけ。
スパム報告のほうが効果的
– 投稿の返信欄を「@ツールを追加しているアカウントのみ」などに制限する設定も有効
– ブラウザ拡張機能「x-zombie-killer」も選択肢
さらに深掘りしたい方へ
SocialReport編集部の考察
今回の「自然なプロフィール偽装インプレゾンビ」が厄介なのは、ひと目での判別が難しくなった点です。
以前は「絵文字だらけ」「外国語」「不自然な日本語」という明確なシグナルがありました。
しかし今回の新型ゾンビは「Japan在住の投資家」「AI関心層のクリエイター」という、Xに実際に多数存在するリアルなペルソナを偽装しています。
SocialReportでインプレッション数やエンゲージメント数のデータを追っていると、気になる現象があります。
スパムアカウントが混入するとエンゲージメント率の「質」が下がるのです。
表面上の数字は増えているのに、実際のコンバージョンや認知度向上につながらない──という状態です。
「インプレが伸びているのになぜか成果につながらない」と感じたら、リプライ欄のアカウント質チェックを疑ってみてください。
さらに深刻なのが「アカウント売却リスク」です。
育ったインプレゾンビアカウントがブランドに関連するキーワードを含んだまま転売されることもあります。
将来的に誤情報の発信や競合他社への転用に使われるリスクがあります。
自社ブランド名で定期的にX検索をかけ、不審なフォロワーやリプライ発信元を確認する習慣を持つことをお勧めします。
Xが提供する「認証済みインプレッション」フィルターなど、プラットフォーム側の対策も進んでいます。
しかし完全な解決策はまだなく、運用担当者側のリテラシーが引き続き重要です。
まとめ
インプレゾンビは2026年2月のAPI制限後も消えていません。
「自然な日本人プロフィール」という新しい偽装をまとい、より見分けにくい形で再び増加しています。
定期的なリプライ欄のモニタリングとスパム報告を習慣化して、ブランドのX運用を守りましょう。
