味噌の樽底に眠る「茶色い結晶」がXで3万いいね──マルカワみそが仕掛けた命名企画の底力
味噌の樽の底に、茶色い結晶が溜まっていた——そんな一枚の写真が、3万いいね超えのバズを生むとは誰が予想したでしょうか。
福井県の老舗味噌メーカー「マルカワみそ」の河崎紘徳さんがXに投稿したのは、木桶仕込みの製造過程で生まれる不思議な副産物でした。
「ブラウンシュガーみたい」「日本酒のアテにしたい」とコメントが殺到し、さらに命名企画には5,000件超のリプライが集まる大反響に。
気になって経緯を調べてみたところ、SNS運用のヒントがぎゅっと詰まっていました。
バズの連鎖——何が起きたのか
マルカワみそ(@marukawa1914)が投稿したのは、「味噌溜まり」を乾燥・結晶化させた副産物の写真です。
見た目はブラウンシュガーそのもので、実は味噌の旨味成分が凝縮されたもの。「これ、食べられるの?」という素朴な疑問が多くのユーザーの心に刺さり、3万を超えるいいねが集まりました。
面白いのは投稿の「続き」です。
最初の写真で反響が起きた後、河崎さんは「じゃあ名前をつけてほしい」と命名企画を実施。5,000件超のリプライに「Mi Socio」「味噌クリスタル」など多数の候補が寄せられています。
さらにその後、保健所から「海水由来でないため商品名に『塩』を使えない」という指摘があったことも公開。最終的に「味噌結晶」という名前に落ち着きました。
問題が起きてもそれを隠さずオープンに共有し続けたことで、フォロワーと一緒に「名前を決める」体験が生まれたのではないでしょうか。
河崎さんの関連投稿を見ると、未使用の木桶を活用して意図的な結晶化に取り組む様子も共有されています。
使っていない木桶があるから、そこに味噌溜まりを広げて意図的に味噌結晶塩を作れるか試してみます。
加熱せずに結晶化させるので、やっぱり大量生産は難しい。
ゆっくりと結晶化させるので、このような宝石みたいな形になるのです。 https://t.co/8SA1TVPtBP
— マルカワみそ@河崎紘徳 (@marukawa1914) 2026年4月23日
商品開発の裏側をリアルタイムで発信し続けるスタイルが、マルカワみそのXアカウントが多くのファンに支持される理由のひとつといえそうです。
背景を深掘りしてみました
マルカワみその公式サイトを確認すると、国産有機原料・木桶仕込み・天然醸造という三つを軸にした伝統的な製法を守る蔵元であることがわかります。
規模は大きくなく「小さな味噌屋」と自称しているものの、Xのフォロワー数は多く、専門知識と人間味のある発信スタイルで独自のファンを獲得しています。
今回の「味噌溜まり結晶」は商品化が視野に入っており、木桶2〜3本分からしか取れないという希少性が付加価値になっているようです。
大量生産できないことを「弱点」ではなく「希少性の魅力」として伝えることで、ファンの期待感を高める発信設計になっているのは興味深いですね。
このケースからSNS運用者が学べることは多いのではないでしょうか。
①日常業務の中の「え、それどういうこと?」な発見を投稿する、②問題が起きたときも正直に共有する、③読者を意思決定プロセスに参加させる——この三つの組み合わせが、ただの告知を「物語」へと変えています。
もっと詳しく知りたい方へ
- 越前有機味噌蔵 マルカワみそ 公式サイト
- マルカワみそ@河崎紘徳 (@marukawa1914) on X: x.com
まとめ
味噌の副産物が3万いいねを獲得したのは、偶然ではありません。
「珍しい発見→公開→読者参加の命名企画→障害も正直に共有」という連続発信が、一つの投稿をコミュニティの共同体験へと育てました。
地方の小さなメーカーでも、ストーリー性のある発信があれば大きなバズは生まれる——そんな可能性を感じさせてくれる事例でした。