「知育菓子の日」に無関係な企業アカウントが続々便乗する理由
税込719円。
7月18日・19日に東京・有明ガーデンで開催される「みんなで知育菓子®バイキング」の体験料です。
719は「ち(7)いく(19)」、つまり「知育」の語呂合わせ。
クラシエフーズが2021年に制定し、日本記念日協会にも登録された「知育菓子の日」(7月19日)にちなんだ価格設定です。
仕掛けているのはクラシエフーズだけではありません。
乗換案内NEXT、エレコム、テスコム、イオン九州といった知育菓子とは何の関係もない企業公式アカウントが、この記念日に便乗して「ねるねるねるね」を作ってみたり、コマ型の新商品「カスタム★コマキング」でバトルしてみたりと、業務そっちのけの投稿を連発しています。
SNS運用担当者にとっては、「他社が作った記念日にどう乗るか」の実例が詰まった数日間だと言えるでしょう。
先に結論をまとめると:
– クラシエフーズは2021年に「知育菓子の日」を自社制定し、夏休み直前の7月19日を選んで商品訴求と話題化を両立させています
– 乗換案内NEXTやエレコムなど無関係な企業アカウントの便乗投稿は、低コストでフォロワーの好感度を稼げるSNS運用の定番手法です
– 便乗投稿を成功させる鍵は「ブランドらしさを崩さないこと」と「中の人の失敗すら公開する余白」にあります
何が起きたのか
きっかけは、クラシエフーズ公式アカウント(@Kracie_foods)による「知育菓子の日」の告知でした。
子どもたちが夏休みに知育菓子をきっかけにさまざまな体験をし、成長してほしいという思いから、7月19日を記念日に制定したと説明しています。

いよいよ今週末!
— クラシエ フーズ公式🔔 (@Kracie_foods) 2025年7月14日
7月19日は、 #知育菓子の日 ✨
子ども達が知育菓子®をきっかけに、夏休みにたくさんの体験をし、笑顔になって成長してほしいという想いを込めて、7月19日を「知育菓子の日」に制定しました!#子どもに笑顔と体験を
今年の夏休みは、
知育菓子®で「おうち夏遊び」しよう🛟🏖️ pic.twitter.com/5NyIHkCx7I
この投稿をきっかけに、乗換案内NEXTが軸を折る失敗動画を投稿したり、エレコムとテスコムが謎のコマバトルを繰り広げたりと、本業と無関係な企業アカウントが次々に「知育菓子で遊んでみた」投稿を出しています。
40周年を迎えた「ねるねるねるね」の復刻メロン味や新商品「カスタム★コマキング」も投稿のネタとして使われ、数百件規模の関連投稿が並んでいる状態です。
ただ、これだけ多くの企業が一斉に乗っかる背景には、単なる偶然以上の設計があるはずです。
そこで、クラシエフーズ側の狙いと便乗する企業側の思惑を、それぞれ一次情報で確認しました。
調べて分かったこと
なぜ7月19日という日付なのか?
クラシエフーズの公式発表によれば、「知育菓子の日」は「ち(7)いく(19)」という語呂合わせに加え、夏休み直前というタイミングを意図的に選んでいます。
子どもたちが長い休みに入る直前に記念日を置くことで、「知育菓子で夏休みの体験を後押ししたい」というメッセージが自然に伝わる設計です。
この記念日は2021年に制定され、同年のうちに日本記念日協会(記念日の認定・登録を行う一般社団法人)にも正式登録されています。
単なる語呂合わせのお祭りではなく、「違いを尊重して個性を育み、失敗を楽しみながら自信につなげる」というブランドの理念を年に一度言語化する仕組みとして設計されている点が特徴的でした。
なぜ無関係な企業アカウントまで便乗するのか?
「知育菓子の日」のような第三者制定の記念日に乗る便乗投稿は、SNSマーケティングでは「乗っかり型」と呼ばれる手法です。
従来の記念日マーケティングは商品を作った企業自身が発信するのが基本でしたが、SNSの普及以降は無関係な企業アカウントが便乗すること自体がコンテンツになり、フォロワーとの距離を縮める手段として広がっています。
イオン九州公式アカウント(@AEON_KYUSHU)も「中の人」がねるねるねるねぶどう味を実際に作ってみせる投稿を出しており、業務外の話題で人間味を見せることで好感度エンゲージメント(いいね・リプライなど反応の総量)を稼ぐ狙いがうかがえます。
\7/19は #知育菓子の日 🍬/⁰⁰クラシエフーズさん(@Kracie_foods )より、⁰沢山の知育菓子をいただきました❕⁰⁰今回中の人は「ねるねるねるね ぶどう味」を作ってみました👩🏻🍳🍇⁰こどもに戻った気分で楽しかった〜!!
— 【公式】イオン九州株式会社 (@AEON_KYUSHU) 2025年7月17日
⁰みなさんもこの機会にぜひ
遊んでみてくださいね 👶🏻˖ ࣪⊹… pic.twitter.com/ZMEYfFhTXG
つまり便乗投稿は、企業側にとって「自社のネタ切れを他社の記念日で補える」低コストな運用手段でもあるわけです。
ただし乗るだけでバズるほど単純でもなく、実際にどう設計されているイベントなのかを次に見ていきます。

有明ガーデンのバイキングイベントは何を狙っているのか?
7月18日・19日の2日間、有明ガーデン中央吹抜広場で開催される「みんなで知育菓子®バイキング」は、約20種類の知育菓子から好きな5商品を選んで作って食べられる、クラシエ初のバイキング形式イベントです。
1枠60分・体験料719円という設計で、価格自体が記念日の語呂合わせになっている点が象徴的でした。
マーケティング系アカウントのPR EDGE(@PREDGE_JPN)も、このイベントを「作る楽しさに“選ぶうれしさ”を加える」施策として取り上げています。
作る楽しさに“選ぶうれしさ“を加える
— PR EDGE (@PREDGE_JPN) 2026年7月3日
クラシエの知育菓子バイキング施策
🍬「知育菓子の日」である7月19日を記念し、7月18日(土)・19日(日)の2日間、有明ガーデン中央吹抜広場で「みんなで知育菓子®バイキング」を開催#クラシエ #知育菓子 #マーケティング事例
🔽詳細はこちら…
「作るだけ」だったこれまでの知育菓子の遊び方に「選ぶ」という要素を足すことで、SNS投稿映えする瞬間を増やし、来場者自身が写真や動画を発信したくなる仕掛けになっている、と読み取れます。
体験料の数字ひとつにまで記念日の語呂合わせを仕込む細かさが、この施策全体の一貫性を支えているようです。
Shiritomo編集部の考察:便乗するなら「自社の言葉」で語れるか
記念日への便乗投稿は、ゼロから企画を立てるより圧倒的に低コストで話題に乗れる手法です。
ただ今回の事例を見ると、成功している便乗投稿には共通点があります。
それは「その記念日を、自社らしい言葉や失敗談として語り直せているか」という点です。
乗換案内NEXTの軸ポキッ失敗動画も、イオン九州の「中の人」の投稿も、単に知育菓子で遊んだ事実を報告するだけでなく、自社アカウントらしい間の抜け方・親しみやすさを乗せています。
SNS担当者が便乗を検討する際は、まず自社と関連の薄い記念日カレンダーを眺めるより先に、「自社アカウントの人格でこのネタを語ったら何が起きるか」を先に考えるべきでしょう。
逆に、ブランドトーンと無関係に流行だけを追う便乗投稿は、フォロワーに「取ってつけた感」を見透かされやすく、エンゲージメントが伸びない傾向にあります。
まとめ
「知育菓子の日」は、クラシエフーズが自社の理念を語呂合わせと夏休み前というタイミングに載せて制定した記念日であり、そこに便乗する企業アカウントの遊び心は偶然ではなく、低コストで好感度を稼ぐSNS運用の定石が動いた結果でした。
便乗投稿を仕掛けるなら、ネタの新しさより「自社らしく語れるか」を見極めることが、次の一歩になりそうです。
さらに深掘りしたい方へ
「知育菓子の日」の由来や制定の背景をさらに詳しく知りたい方は、クラシエ公式の特設ページや、記念日マーケティングの活用ポイントを解説したPR TIMES MAGAZINEの記事も参考になります。
有明ガーデンのバイキング施策をマーケティング視点で分析したPR EDGEの記事では、価格設計や体験設計の狙いがより詳しく紹介されています。
