「14歳未満はSNS禁止」——韓国政府が8年ぶりに動かした規制論議の中身

Shiritomo編集部 @shiritomoAI_jp 2026年7月17日 更新
「14歳未満はSNS禁止」——韓国政府が8年ぶりに動かした規制論議の中身

14歳未満はSNSへの新規登録を禁止。
14歳から19歳には、依存を誘発する「無限スクロール」や自動再生、興味関心に沿った動画を延々と流すおすすめアルゴリズムの露出を制限する。
2026年7月16日、韓国の放送メディア通信委員会(旧・放送通信委員会)の金鍾鉄(キム・ジョンチョル)委員長が、李在明大統領への業務報告でこう明かしました。

この一報を伝えたニュースアカウントの投稿は、Xで5700件を超えるいいねを集めています。
SNS上での反応は賛否真っ二つで、「保護のためなら当然」という声と、「なぜ子どもだけ縛るのか」という反発が同時に噴き出しました。
日本のSNS運用担当者やマーケターにとっても、他人事ではありません。
10代ユーザーを含むアカウント運用やターゲティング戦略が、規制の広がり次第で前提から変わりかねない話だからです。

先に結論をまとめると:
– 韓国の放送メディア通信委員会が、14歳未満のSNS新規登録禁止と、14〜19歳向けの依存誘発デザイン・おすすめアルゴリズム規制を検討していると発表した
– オーストラリアの16歳未満禁止(2025年12月施行)、EUの規制法案準備など、若年層向けSNS規制は世界的な潮流になりつつある
– 韓国は2011年の「ゲームシャットダウン制」の失敗(実効性不足・産業縮小・2022年廃止)を教訓に、拙速な一律規制を避ける姿勢を強調している

Xで何が起きているのか

発端は、大統領府(旧・青瓦台)で開かれた業務報告でした。
ニュース速報アカウントが投稿した内容を日本語に訳すと、「政府、14歳未満のSNS加入制限を検討……14〜19歳はおすすめアルゴリズムを規制」という趣旨です。

この投稿は公開から1日ほどで5700いいね超、3900件近いリポストを集めました。
引用コメントには「子どもの人権を無視するのか」という怒りの声から、「ずっと前からやるべきだった」という賛同の声まで幅広く並んでいます。
ただ、投稿自体は速報の見出しをそのまま伝えるものだったため、「実際にどこまで具体的に決まっているのか」「本当に実現するのか」という疑問が残ります。
そこで一次情報を確認しました。

調べて分かったこと

何が、どこまで決まっているのか

国内外の報道を確認すると、今回の発表はあくまで「検討段階」であり、法制化のスケジュールはまだ示されていません。
金鍾鉄委員長が明らかにしたのは、以下の2段階の枠組みです。

  • 14歳未満:SNSへの新規アカウント登録そのものを制限する
  • 14〜19歳:無限スクロールや自動再生など「利用時間を延ばすように設計された機能」、および興味関心に沿った動画を次々に表示するおすすめアルゴリズムの露出を、保護者の同意なしには提供できないようにする

委員長は国会に約7件の関連法案が既に提出されていることにも触れており、今回の業務報告は政府主導でこの流れを後押しする姿勢を示したものと受け止められています。

なぜ今なのか?

背景にあるのは、10代の動画・SNS依存への懸念の高まりです。
委員会は今回の検討を「青少年のYouTubeやSNSへの過度な没入を減らすため」と説明しており、対象はSNSだけでなく動画共有サービス全般に及ぶとみられます。

これは韓国だけの動きではありません。
オーストラリアは2025年12月、世界で初めて16歳未満のSNSアカウント保有を原則禁止する制度を施行しました。
EUも夏以降に制限的な立法を予定していると報じられています。
若年層向けSNS規制は、もはや一部の国の特殊事情ではなく、世界的な潮流になりつつあるというのが実情です。

本当に実現するのか? 慎重論の背景

一方で、韓国国内には規制の実効性を疑問視する声も根強くあります。
実際、Xの引用コメントの中にはこうした投稿もありました。

「SNSだけでなく、匿名コミュニティやYouTube、Web広告、ゲーム、ウェブトゥーンなど、有害なコンテンツはあらゆる場所にあふれている。
子どもだけを抑圧するのではなく、それを供給する大人の側を正すべきではないか」という趣旨の投稿です。

こうした懸念は、政府側も意識しているようです。
金委員長自身が引き合いに出したのが、2011年に導入された「ゲームシャットダウン制」(16歳未満の深夜のオンラインゲーム利用を法律で禁止した制度)の顛末でした。
この制度は実効性が不十分なまま運用され、ゲーム産業の縮小を招いたとして批判が強まり、2022年に廃止されています。
今回の当局が「社会的な公論化と青少年自身の参加を経て、丁寧に制度設計する」と繰り返し強調しているのは、この過去の失敗を踏まえたものと考えられます。

Shiritomo編集部の考察:SNS担当者が今から備えるべきこと

この規制論議が意味するのは、単に「韓国の話」では終わらないということです。
SNSプラットフォームは基本的にグローバル仕様で機能を設計するため、ある国で年齢別の機能制限が実装されれば、同種の仕組みが他地域にも波及する可能性は十分にあります。
実際、オーストラリア・EU・韓国と若年層向け規制が連鎖的に議題に上がっています。
「10代フォロワーへのリーチ」を前提にした運用設計は、数年単位で見直しを迫られるかもしれません。
おすすめアルゴリズムの露出制限が実装されれば、若年層向けのオーガニックリーチや広告配信の設計にも影響が及ぶでしょう。
ターゲット層に10代を含む企業アカウントほど、今のうちから「アルゴリズム頼みではないファン化の導線」を用意しておく価値がありそうです。

まとめ

韓国政府は14歳未満のSNS新規登録制限と、14〜19歳向けの依存誘発機能・アルゴリズム規制を検討段階で発表しました。
実現時期は未定ですが、オーストラリア・EUと足並みをそろえる形で、若年層向けSNS規制は世界的な流れになりつつあります。

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