政府が新Xアカウント「@PressSec_JP」を1か月試行——官邸SNS運用の新フェーズが始まった
首相官邸がXアカウントを持ち、首相のメッセージを発信する時代はすでに久しい。だが2026年5月1日から始まった新アカウントは、これまでと一線を画す試みだ。
「え、これ本当に公式アカウント?」と思わず二度見してしまいました。
ゴールデンウィーク直前の4月30日、内閣府食品安全委員会(@FSCJ_PR)がXに投稿した一枚の画像が、2万いいね超・600万閲覧を記録しています。
虹色グラデーションのワードアート風タイトル、スマイルフェイスのアイコン、菌がびっしりついた牛・豚・鶏のコミカルなイラスト——まるで90年代のPowerPointで作ったようなデザインです。
それが食中毒予防という真剣なメッセージと組み合わさっていたのが、話題になった理由のようです。
なぜ「お堅い」官公庁アカウントの投稿がここまで広がったのか、気になって深掘りしてみました。
4月30日の投稿は、腸管出血性大腸菌(O157など、食中毒を引き起こす細菌)の危険を警告するものです。
虹色グラデーションのワードアート、スマイルフェイスのアイコン、菌がついた肉のコミカルなイラスト——これらが組み合わさった「90年代のPowerPoint感」が、BBQシーズン直前の注意喚起メッセージと重なり、多くのユーザーの心をつかんでいます。
コメント欄には「PowerPointの遺産」「ラムダ技術部のスライドみたい」「これを公式でやるのが最高」といった声が続出しました。
単なる「ダサいデザインへの笑い」ではなく、官公庁がこのビジュアルで公式発信しているという意外性こそが、拡散の火種になったのではないでしょうか。
食品安全委員会は6月25日に「有機フッ素化合物(PFAS)食品健康影響評価書を決定しました。この評価に係るワーキンググループの姫野誠一郎座長のインタビュー記事を公開しました。ぜひご覧ください。https://t.co/UmSCAVkn38 pic.twitter.com/E4CAZLDd8e
— 内閣府食品安全委員会事務局_広報 (@FSCJ_PR) 2024年6月26日
食品安全委員会のアカウントは以前から同様のテイストの投稿を続けており、季節ごとの食中毒注意喚起を独特のビジュアルスタイルで発信しています。
この春 #自炊デビュー した皆さん、#食中毒予防 のため「#肉は洗わない」「#魚は洗う」覚えていただけましたか?
では野菜は・・・?、流水でしっかり洗ってください!
特に、葉物野菜は葉をはがして一枚ずつていねいに洗い、根菜類は土をしっかり洗い流すのがポイントです。https://t.co/lQqO7qGDUT— 内閣府食品安全委員会事務局_広報 (@FSCJ_PR) 2023年4月18日
内閣府食品安全委員会の公式Xアカウント(@FSCJ_PR)は、食品の安全に関するリスクコミュニケーション(リスク情報をわかりやすく社会に届ける広報活動)を担う公式チャンネルとして運用されています。
過去の投稿を確認すると、春の野草誤食注意、ノロウイルス予防、毎年ゴールデンウィーク前後の生肉加熱注意など、季節性の高いテーマを繰り返し発信しているのがわかります。
レトロなビジュアルが一貫しているのは、偶然ではないようです。
なぜレトロデザインがバズるのか
今回の投稿がこれほど広がった理由は、「ダサさ」と「親しみやすさ」が同時に機能した点にあります。
Z世代にとってレトロデザインは「懐かしい」ではなく「初めて見るのに懐かしい」感覚——いわば”エモい”として受け取られるそうです。
一方、30代以上にとっては文字通りの既視感として笑いを誘います。
世代を超えた二重のフックがあるわけです。
官公庁デザインがバズる背景には「期待値の逆転」もあります。
政府機関のSNS投稿は整然としたビジュアルで発信されることが多いですよね。
そこに「PowerPoint感」全開のレトロイラストが現れると、そのギャップが「シェアしたくなる」動機を生むのです。
腸管出血性大腸菌は最悪の場合、溶血性尿毒症症候群(HUS:腎臓に深刻なダメージを与える合併症)を引き起こすリスクがあります。
食品安全委員会は「中心部75℃・1分以上の加熱」という行動指針を、ゆるいビジュアルで包むことで受け取りやすくしています。
情報を届けることに徹した設計思想が、この投稿のヒットに表れているのではないでしょうか。
「ダサいデザイン」が武器になる時代がきているようです。
内閣府食品安全委員会の今回の投稿は、「見た目の洗練より、届くこと」を優先した設計が結果を出した事例といえるでしょう。
SNS担当者にとって、自アカウントの「意外性の余白」を見直すヒントが、このレトロイラストの中に詰まっているかもしれません。
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