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「アジア系の姓を混同していた」——Appleの弁護士ミスをOpenAIが証拠付きで暴露

Shiritomo編集部 @shiritomoAI_jp 2026年8月5日 更新
「アジア系の姓を混同していた」——Appleの弁護士ミスをOpenAIが証拠付きで暴露

「アジア系の姓を混同し、誤った相手にメールを送っていた」。
オープンAIが8月に入って公開した反論文には、そんな一文が並んでいます。
相手はもちろんアップルです。

アップルが2026年7月にオープンAIを提訴してから約1カ月。
今度はオープンAIが、メールのやり取りやiMessageのスクリーンショットまで公開して真っ向から反論しました。
AIとハードウェアを巡る両社の主導権争いがどこまで本気の対立なのか、気になった方も多いのではないでしょうか。
何が起きているのか、順を追って確認してみます。

先に結論をまとめると:
– アップルは7月10日、元社員2人とオープンAIを提訴。
未発表製品の情報を不正に得たと主張しています
– オープンAIは8月、アップルの外部弁護士が提訴前の連絡先を間違えていた事実などを証拠付きで公開し反論しました
– 反論が出たタイミングは、アップルが「仮処分」を新たに申し立てた直後で、単なる感情的な言い返しではありません

アップルとオープンAI、対立の発端

ことの発端は2026年7月10日。
アップルはカリフォルニア北部地区連邦裁判所に、オープンAIと元社員2人を相手取って提訴しました。
中心人物は2人です。
1人はタン・ユー・タン氏(Apple在籍24年、チーフ・ハードウェア・オフィサーを務めた後、ジョニー・アイブ氏が設立しオープンAI傘下となったハードウェア企業「io Products」に合流)。
もう1人はチャン・リウ氏(2026年1月22日付でアップルを退職)です。

アップル側の主張はこうです。
オープンAIが採用面接で、アップル社員に未発表製品の部品や設計図の提供を促し、転職予定の社員には行き先を隠すよう指導した——。
アップルの商業機密(トレードシークレット:企業が秘匿している技術情報や営業情報)を不正に取り込んだ、という筋書きです。

これに対しX上では「AI覇権争いの新局面」として注目する声が広がっています。
中でも、提訴前の連絡ミスを指摘した投稿が多くのインプレッションを集めていました。

日本語訳:「オープンAIによれば、アップルは初期の法的通知を誤ったメールアドレスに送り、それを無視されたと思い込んで提訴に踏み切ったとのこと。
今、オープンAIは自分たちの言い分を公開して反撃に出ています」

ただ、投稿の断片だけでは「本当に連絡ミスがあったのか」「Appleが何を主張し、OpenAIがどう反論したのか」は分かりません。
一次情報を確かめてみました。

調べて分かったこと

オープンAIは何を反論したのか?

オープンAIは2026年8月3日、公式ブログで「Apple is getting this wrong(アップルは間違っている)」と題した記事を公開しました。
冒頭で「アップルは史上最も偉大な企業のひとつであり、細部にこだわる姿勢で評判を築いてきた。
しかし今回の、不注意で攻撃的、かつ妙に個人的な訴訟はその評判にふさわしくない」と述べています。

反論の柱は大きく2つです。
1つ目は、アップルの外部弁護士が提訴前の連絡で2人のアジア系の姓を混同し、誤った相手にメールを送っていたという事実の開示
オープンAIによると、アップルは「2月に連絡したのに5カ月間無視された」として提訴の根拠にしていましたが、実際には連絡自体が届いていなかったというわけです。
オープンAIはこのやり取りのメール、そしてアップル側弁護士の謝罪メールまで公開しています。

2つ目は、退職後のチャン・リウ氏を巡るメッセージです。
オープンAIが公開したiMessageのやり取りでは、アップルの社員がリウ氏に社内ファイルの所在確認や技術的な質問への協力を退職後も依頼していたことが示されています。
ある社員は「もちろん他の人にも聞けるけど、あなたが一番だから。
もうここで働いていないのに」とリウ氏に送っていました。
オープンAIはこれを引き合いに、「アップルの秘密は持っていないし欲しくもない」と強調しています。

この点を取り上げた投稿がXでも拡散していました。

日本語訳:「気まずい話だ。
アップルはハードウェアの機密を盗まれたとしてオープンAIを提訴した。
ところがオープンAIは今、アップル自身が元エンジニアを退職後も使い続けていたことを示すメッセージを公開している。
メッセージでは、アップルの社員がチャン・リウ氏に社内ファイルの所在確認や製品判断の説明、技術的な質問への協力を、退職の数週間後まで求めていたようだ」

なぜこのタイミングで反論を公開したのか?

実は今回のブログ公開は、単なる感情的な反撃ではありません。
アップルは8月に入り、オープンAIと元社員2人に対して「仮処分(プレリミナリー・インジャンクション:判決確定前に、当面の行為差し止めを裁判所に求める手続き)」を新たに申し立てました。

アップルはこの申立ての中で、提訴後にオープンAIへ和解条件を5つ提示していたことも明かしています。
オープンAIはこのうち3つ(今後のアクセス停止、利用の中止、証拠の保全)には同意した一方、残る2つには応じませんでした。
オープンAIは「アップルの仮処分請求は誤った情報に基づいており、完全に不要だ。
私たちはアップルの商業機密を持っていないし、欲しくもない」とブログで述べています。
つまり今回の反論は、7月の提訴そのものへの再反論というより、8月の仮処分申立てへの対抗策として出されたタイミングだったわけです。

日本語訳:「アップルはどうしてここまで大失敗したのか。
アップルは、営業秘密の窃取を理由に提訴する前、オープンAIに5カ月間無視されたと主張していた。
ところが実際には、アップルの社外弁護士が2つのアジア系の姓を混同したせいで、最初の通知を誤ったメールアドレスに送っていたことが分かった。
さらに実際にはなかった電話協議があったと誤って主張してもいた」

なお、オープンAICEOのサム・アルトマン氏は7月の提訴直後、Xで「アップルを恐れてはいないが、非常に尊敬している。
Sティア(最上級)企業だ」と投稿していました。
当時は静かな対応でしたが、8月は一転して証拠を突きつける姿勢に転じています。

Shiritomo編集部の考察:企業対立の「証拠公開」が拡散する構造

今回の一件が興味深いのは、法廷でのやり取りがそのままSNS上のバズ材料になっている点です。
本来なら訴状や答弁書に埋もれるはずの「メールの誤送信」「元社員へのiMessage」が、企業の公式ブログを通じて一般公開されたことで、誰でも一次資料に触れられる状態が生まれました。

SNS運用の観点で見ると、これは「具体的すぎる証拠」が拡散を後押しする典型例です。
抽象的な「主張が食い違っている」という情報より、「姓を間違えた」「退職後も頼られていた」という固有名詞つきのエピソードの方が、引用や意見表明のハードルが低くなります。
企業広報にとっては、反論のタイミングと証拠の具体性をセットで設計する重要性を、今回のケースが示しているのではないでしょうか。

まとめ

アップルの提訴から1カ月、オープンAIは仮処分申立てをきっかけに、具体的な証拠を伴う反論に踏み切りました。
裁判の行方だけでなく、両社が公開する情報そのものが今後も話題を呼びそうです。

さらに深掘りしたい方へ

「他社の秘密に興味はない」——アップルがオープンAIを提訴、元幹部2人を名指しで告発「他社の秘密に興味はない」——アップルがオープンAIを提訴、元幹部2人を名指しで告発「他社の秘密に興味はない。 私たちはあらゆる人の役に立つ革新的な技術づくりに集中している」。 オープンAIの広報担当者がXに投稿したこの一文は、アップルからの提訴を受けての公式コメントでした。