タイ人気俳優×ライブ配信×フラッシュ割引——Shopee 5.5セールが見せたライブコマースの破壊力
「黄色いシャツ姿で登場したフォースが、腕に日焼け止めを塗る姿にファンが大喜び」——このキャプションを読んだとき、「ああ、これはただのプロモーションじゃないな」と思いました。
タイの人気俳優フォース・ナッタワット(Force Nattawut)が、Shopee 5.5セールでスキンケアブランドCeraVeのライブ配信に登場した出来事が、5月5日にXで話題を集めています。
化粧品ブランドが有名俳優とライブコマースを組み合わせる——東南アジアでは当たり前のように行われているこの手法が、なぜこれほどの熱量を生み出すのか、気になって調べてみました。
何が起きたのか
Shopeeのビッグセールイベント「5.5セール」に合わせて、CeraVeがフォース・ナッタワットをライブ配信のホストに起用しました。
CeraVe Invisible Hydrating Fluid Sunscreen(SPF50+)のデモンストレーションを中心に、180バーツからのフラッシュ割引と700コインキャッシュバックを組み合わせた購買体験を展開。
フォースの笑顔や「お腹すいた」のジェスチャー、息子役ルックフヌーとのエピソードトークもライブ中に披露され、ファンを大いに沸かせました。

単に「有名人が商品を宣伝する」だけではなく、リアルタイムの割引・視聴者との掛け合い・ファン向けのサービスシーンが混在する、複合的なエンターテインメントになっているのが特徴です。
なぜ東南アジアのライブコマースはこれほど強いのか
タイのインフルエンサーマーケティング市場規模は約6,878万USD(2024年)。
そしてタイ消費者の92%がインフルエンサーの推薦を参考にして購買を決めているというデータがあり、これは東南アジアの中でも最高水準の数字です。
背景にあるのは、SNSとECが密接に統合されたプラットフォーム文化です。
ShopeeやTikTok Shopでは、動画を見ながらそのまま購入ができる仕組みが標準になっています。
日本のように「SNSで知る → 検索する → ECサイトで買う」という分断されたフローではなく、「見る → 感情が動く → その場で買う」という一体型の購買体験が成立しています。
ライブコマースが売れる理由——3つの仕掛け
① リアルタイムの限定感
「今だけ180バーツ」「残り○点」という表示は、視聴者に即断を促します。
フラッシュ価格やコインキャッシュバックが時間限定で設定されているため、「後で買おう」が「今買わなければ」に変わります。
ライブ中だけの特別価格と視聴者特典が、購買の背中を押す最大の武器です。
② 信頼できる人物による「体験」の共有
フォースが実際に腕に日焼け止めを塗って見せる場面は、テキストや静止画の広告とは全く異なる説得力を持ちます。
「この人が使っているから大丈夫」という感覚は、特に美容品・スキンケアのカテゴリーで強く機能します。
KOL(Key Opinion Leader)やセレブリティの「体験の実演」が、購買意向を一気に引き上げます。
③ ファンコミュニティとの接点
フォースのファンにとって、このライブはCeraVeの広告ではなく「推しのライブイベント」です。
コメント欄でのリアルタイムな反応・エピソードトーク・特定ファン向けのサービスシーンが、コミュニティの熱量をそのまま購買エネルギーに転換しています。
商品を「売る場」ではなく、ファンが「集まる場」として設計されているわけです。
日本のSNSマーケターへの示唆
日本でもInstagramライブ・TikTok Shop・YouTube Liveを使ったライブコマースは増えていますが、東南アジアほどの購買への直結度はまだ発展途上です。
ただ、流れは確実にライブコマース化の方向に向かっています。
今回のCeraVe×フォースの事例から学べるポイントは3つです。
- タレント・インフルエンサーの選定はファン層から逆算する: 購買層ではなく、ファンコミュニティがそのまま購買者になれる人物を選ぶこと
- 価格の魔法をライブ限定で使う: 特別割引・クーポン・限定特典は、事前告知よりもライブ中に設定することで即時性が生まれる
- 「商品の説明」より「体験の実演」に時間を割く: 成分説明より、実際に使う姿・反応・会話を見せることで、視聴者の感情が動く
さらに深掘りしたい方へ
- 東南アジア3大ライブコマース比較:TikTok Shop・Shopee Live・Lazada Live
- Shopee Liveを活用したリアルタイム販売の成功事例
- 2025年版|タイのSNS・EC・マーケティング最新統計まとめ
まとめ
タイでの「俳優×CeraVe×Shopeeライブ」は、ライブコマースが持つ可能性を凝縮した事例です。
リアルタイムの限定感・信頼できる人物の実演・ファンコミュニティの購買エネルギーという3つの掛け合わせは、プラットフォームや国を超えて機能するはずです。
東南アジアが先行している今、日本のSNSマーケターにとっても参考にしたい動きではないでしょうか。