「JEVの競合となる」――OpenAIが新API「Decisions API」を発表、画像判定にも対応で差別化
150ミリ秒。
まばたき1回よりわずかに長いこの数字が、OpenAIが9月29日(現地時間)に開催したDevDay 2026で披露した新機能の処理速度として発表されました。
名前は「Decisions API」。
通常のAPIより約10倍速く、あらかじめ決めた選択肢の中から答えを返すという、これまでのチャット型AIとは違う設計です。
エージェント開発やコンテンツ審査にAIを組み込んでいる人にとっては、「返答の質」ではなく「判断の速さ」そのものが売り物になる、という新しい選択肢が増えたことになります。
先に結論をまとめると:
– OpenAIがDevDay 2026で「Decisions API」を発表。
GPT-6 Lunaという大規模言語モデルを土台に、決められた質問と選択肢から最速約150ミリ秒で回答を返す
– テキストだけでなく画像も判断材料にでき、コンテンツ分類・リクエストの振り分け・エージェントの次の行動選択などに使える
– 競合とされる「Jev」はテキスト専用で、Decisions APIは画像対応が差別化点。
現在は限定プレビューで、数日以内に一般提供の拡大が予定されている
何が起きたのか(Xでの盛り上がり)
発表直後からXでは、この新APIをめぐる投稿が広がりました。
1640件のいいねを集めた投稿はこう伝えています。
【速報】OpenAIがJEVの競合となるDecisions APIを発表
— AGIラボ (@ctgptlb) 2026年9月29日
JEVと異なり、画像の入力にも対応。本日より限定プレビューを提供し、数日以内に広く公開予定 pic.twitter.com/QmtfPxwi0M
投稿にある通り、Decisions APIは「JEVの競合」という文脈で語られています。
JEV(Jev)は、AIスタートアップTypeSafe AIが2週間ほど前に発表した意思決定特化型のモデルで、この投稿ではJevと違って画像の入力にも対応している点が強調されています。
発表当日から限定プレビューが始まり、数日以内に広く公開される予定という情報も、公式の発表内容と一致していました。
ただ、投稿の文面だけでは「なぜここまで速いのか」「Jevと何が違うのか」までは分かりません。
そこで一次情報を確かめてみました。
調べて分かったこと
なぜ150ミリ秒で答えが出るのか?
Decisions APIの正体は、GPT-6 Luna(OpenAIの大規模言語モデル)をベースにした専用エンドポイントです。
開発者は事前に「質問」と「あり得る回答の候補」を固定で定義しておきます。
すると通常のチャット応答のように文章を生成するのではなく、候補の中から最も確からしいものを、確信度スコア(その答えがどれくらい正しそうかを示す数値)付きで返す仕組みになっています。
文章をゼロから組み立てる必要がないぶん、応答が速いというわけです。
OpenAI公式もこの特徴をシンプルに説明しています。
Give your app real-time decision-making with Decisions API, powered by GPT-6 Luna.
— OpenAI Developers (@OpenAIDevs) 2026年9月29日
Define questions and possible answers to classify content, route requests, or choose an agent’s next action.
Available in limited preview. pic.twitter.com/LbaD18M6Do
日本語に訳すと「GPT-6 Lunaを搭載したDecisions APIで、アプリにリアルタイムの意思決定機能を持たせましょう。
質問と回答の候補を定義するだけで、コンテンツの分類やリクエストの振り分け、エージェントの次の行動選択に使えます。
現在は限定プレビュー提供中です」という内容です。
通常のLuna呼び出しが1.6秒ほどかかるのに対し、Decisions APIは約150ミリ秒で応答するとされ、約10倍の速度差になります。
速報性が求められる自動応答やモデレーション(不適切な投稿の自動判定)のような場面で効いてくる差だといえそうです。
Jevとの違いはどこにあるのか?
Decisions APIが「Jevの競合」と呼ばれる背景には、この2週間の業界の動きがあります。
TypeSafe AIが打ち出したJevは、自由に文章を書かせるのではなく決まった選択肢から答えを選ばせる、いわば「決める専用のAI」というカテゴリーを切り開いたモデルでした。
その2週間後にOpenAIが同じ土俵に乗ってきた格好です。
海外では、この流れの速さを皮肉る声も上がっていました。
a week or two later…
— steve (@SteveMoraco) 2026年9月29日
OpenAI Dev Day Today: “announcing Decisions API, it’s just GPT-6 Luna with one output token”
told you so lol https://t.co/1p9xQo9Lqh
日本語に訳すと「1、2週間後には……。
本日のOpenAI DevDayで『Decisions APIを発表します、出力トークンが1つだけのGPT-6 Lunaです』と言っていた。
ほら言った通りだろ(笑)」という投稿です。
技術の中身自体は目新しくなく、既存のLunaを1トークンだけ出力する形に絞ったものだ、という見方を示しています。
実際に両者を比べる記事でも、テキストのみに絞ったJevに対し、Decisions APIは画像入力にも対応している点が最大の違いとして挙げられていました。
開発者の間では、コンテンツ分類の幅が広がることへの期待の声がある一方、Jevが強みとする確信度スコアの精度をDecisions APIが同水準で出せるかは未知数だという指摘も見られます。
導入を検討するなら何を待てばいいのか?
Decisions APIは10月1日時点でまだ限定プレビュー段階です。
公式発表では「数日以内」の一般提供拡大が予告されているものの、正式な料金体系やレート制限の詳細はまだ明らかになっていません。
「AIに任せた判断がどこまで信頼できるか」は、Decisions APIに限らずこの種の分類特化型AIに共通する課題で、高リスクな用途(与信判断や安全性チェックなど)に使う場合ほど、確信度スコアの妥当性を自社データで検証する作業が欠かせなくなりそうです。
まずは一般提供のタイミングと料金の発表を待ち、コンテンツ分類やルーティングといった負荷の低い用途から試すのが現実的な進め方になるでしょう。
Shiritomo編集部の考察:判断の速さがSNS運用にもたらすもの
SNS運用の現場では、投稿の自動モデレーションやDMの自動振り分けなど、「文章を生成する」より「選択肢から選ぶ」だけで済むAI活用が意外と多く存在します。
これまでは汎用のチャットAPIを流用していたケースも、Decisions APIのような専用エンドポイントに置き換えることで、コストと応答速度の両方が改善する可能性があります。
特にエージェントを使った自動応答の分岐処理では、判断のたびに数秒待たされる設計だと利用者の離脱を招きやすく、150ミリ秒という数字はUX(利用体験)に直結する指標です。
一方で、OpenAIとTypeSafe AIという2社がわずか2週間差で似た機能を投入した事実は、「決める専用のAI」がにわかに競争領域になったことも示しています。
今後は速度だけでなく、確信度スコアの精度や対応言語の広さが選定基準になっていくのではないでしょうか。
まとめ
OpenAIのDecisions APIは、文章を生成する代わりに決められた選択肢から高速に答えを返す、意思決定に特化した新しいAPIです。
Jevとの画像対応の差別化を武器に、限定プレビューから一般提供へと広がっていく過程を、今後も追っていく価値がありそうです。
さらに深掘りしたい方へ
Decisions APIの発表内容や、Jevとの比較についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。