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AIの電力消費を「光」で100分の1に——NTTが800億円の「IOWN AIファンド」で仕掛ける次世代インフラ戦略

shiritomo | AI・SNS・話題のテック情報メディア by Hashout編集部 @shiritomoAI_jp 2026年6月11日 更新
AIの電力消費を「光」で100分の1に——NTTが800億円の「IOWN AIファンド」で仕掛ける次世代インフラ戦略

ChatGPTに1回質問するだけで、Googleで検索するときよりも数倍の電力が消費されると言われています。
生成AIの普及が急速に進む今、データセンターの電力問題はもはや「いつか考える課題」ではなくなってきました。
電力会社が音を上げるほどのエネルギー消費が続いているというニュースを見て、「このままでいいのか?」と気になっていたところ、NTTが面白い動きを発表しました。

2026年6月10日、NTTは約800億円規模の投資ファンド「IOWN AI Fund」を設立すると正式に発表しました。
SK Telecom(韓国)、中華電信(台湾)、日本政策投資銀行、ソニーグループ、ブロードコムなど、世界22社以上が参加に意欲を示す大型ファンドです。
目的は、消費電力を従来比100分の1に削減できる光通信技術「IOWN」を核にした次世代AIインフラのエコシステム構築にあります。

「消費電力100分の1」——IOWNという技術の本質

IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)とは、NTTが2019年に提唱した次世代通信インフラの構想です。
従来の通信ネットワークは「光→電気→光」と繰り返し信号変換を行う構造で、変換のたびに電力を消費し、遅延も生じていました。
IOWNが目指す「All-Photonics Network(APN)」は、この変換をなくして光信号のままデータを届けることで、この非効率を根本から解消しようとするものです。

消費電力を従来比最大100分の1に削減できるというのが、IOWNの最大の強みです。
データ量が増えても電力消費がほとんど増えない特性は、AI時代の通信インフラとして理想的といえるでしょう。
NTTは2023年にすでに商用サービスを開始しており、技術的な実現性はすでに証明済みです。
AI需要が2030年までに20倍以上に膨らむとの予測を前提にすれば、この光技術が「選択肢」ではなく「必然」になるかもしれません。

NVIDIAのエコシステム戦略を参考に——なぜ「ファンド」なのか

今回の発表で注目したいのは、800億円という金額よりも「なぜファンドという形を選んだか」という点です。
ファンドを管理する新会社「Catalight Capital」のCEOには、元Samsung Electronics幹部のヤング・ジョン(Young Sohn)氏が起用されています。
シリコンバレーと東京に拠点を置き、北米・アジア・欧州のスタートアップへ幅広く投資する計画です。

関係者によれば、NTTが参考にしたのはNVIDIAがGPUを中心に数百社のスタートアップを取り込んで業界標準を作り上げた「エコシステム戦略」です。
フォトニクス、AI半導体・パッケージング、分散コンピューティングプラットフォーム、AIソフトウェアとアプリケーションまで、投資対象は幅広く設定されています。
個々の技術ではなく、IOWN周辺の産業ごと育てようという発想が見えてきます。

読売新聞も「次世代通信の国際展開加速」として速報し、Xでも注目を集めました。

「韓国・台湾の大手通信会社などと連携し、約800億円」という規模に驚く声も上がっています。

日本・韓国・台湾という東アジアの通信大手が一堂に会す構図には、「AIインフラの標準規格をアジア発で作る」という長期的な意志も感じられます。
NTTの島田明社長は「1社では作れないインフラを技術で結ぶ」と力説しており、この言葉がファンド設立の背景をよく表しているように思います。

「勝負どころ」は今、という判断

AIブームでデータセンターへの投資が世界中で加速している今、光通信への注目度は以前とは比べものになりません。
電力問題が現実の課題として認識されるようになったからこそ、NTTのIOWNに対して欧米・アジアの投資家が本気で向き合うタイミングが来た、ともいえるでしょう。

投資家の中には、「IOWN AI Fundの規模800億円は、NVIDIAエコシステムと比べると小さすぎる」と冷静に見る声もあります。
確かにNVIDIAが作り上げた生態系の規模とはまだ大きな差があります。
しかし光技術による省エネは物理的な優位性であり、電力問題が深刻になるほど注目が高まる構造にあります。

さらに深掘りしたい方へ

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まとめ

AIの電力消費問題という「避けられない課題」を前に、NTTが光通信技術と国際連携という二枚の切り札で本格的に動き出しました。
NVIDIA中心のAIインフラ市場に光技術という新たな軸を持ち込もうというこの試みが、2030年代のデジタルインフラをどう変えていくのか、注目し続けたいと思います。