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「LLM戦争から降りたAppleとGoogleは賢明だった」論はなぜ4300いいねを集めたのか

Shiritomo編集部 @shiritomoAI_jp 2026年7月21日 更新
「LLM戦争から降りたAppleとGoogleは賢明だった」論はなぜ4300いいねを集めたのか

「LLM戦争から早々にオリたAppleと、ほどほどにお茶を濁したGoogleは賢明だった」。
7月19日、@tesigarさんが投稿したこの一文に、4300件を超えるいいねと81万インプレッションが集まりました。

OpenAI(ChatGPTの開発元)やAnthropic(Claudeの開発元)が巨額の資金を投じてモデル性能を競い合う一方、AppleとGoogleは違う道を選んでいるように見える——この投稿は、そんな空気を一言で言い当てたことで広がりました。
SNSやAIサービスを日常的に使う人にとって、この「距離を置く戦略」が実際どこまで本当なのかは、今後どのAIをどう選ぶかにも関わってくる話です。

先に結論をまとめると:
– AppleはGoogleのGeminiを基盤モデルに採用しつつ、処理の主軸をオンデバイス(端末内処理)とプライバシー保護に置いている
– Googleは自社モデルGeminiを開発しながらも、Workspaceや検索など既存サービスへの組み込みで実利を優先している
– OpenAIとAnthropicは数兆円規模の資金調達と計算資源の確保を続けており、AI業界内には「バブル」への懸念も根強い

何が起きたのか

@tesigarさんの投稿が指しているのは、ここ数年のAI業界の構図です。
OpenAIとAnthropicは、より賢いモデルを作るために巨額の資金と電力を注ぎ込み、ベンチマーク(性能を測る指標)のトップ争いを続けてきました。
対してAppleとGoogleは、自前の最先端モデルを一から作ることに全力を注ぐのではなく、既存の強み——AppleならOS(基本ソフト)と端末、Googleなら検索やWorkspaceといったサービス群——にAIを組み込む方向に舵を切ってきました。

この対比が、多くの人の実感と重なったのだと思います。
派手な発表合戦の裏で、実際に手元のiPhoneやGmailで便利になっているのはどちらか。
そう考えたときに「早々にオリた」側の方が賢かったのでは、という見方に共感が集まったわけです。
ただ、これはあくまでXでの空気感の話です。
実際にAppleとGoogleが何をしていて、OpenAIやAnthropicの投資規模がどれほどのものなのか、一次情報で確かめてみました。

調べて分かったこと

Appleは本当にLLM開発から「降りた」のか

結論から言うと、完全に降りたわけではありません。
2026年6月のWWDC(Appleの開発者向けイベント)で、Appleは次世代の「Apple Intelligence」がGoogleのGeminiモデルを基盤にすることを発表しました。
つまり最先端モデルの開発そのものはGoogleに委ね、Apple自身はOSレベルでのAI統合とプライバシー保護に集中するという役割分担を選んだことになります。

処理の中心はあくまで端末内で完結させる設計で、端末だけでは処理しきれない複雑なタスクだけを、データを処理後すぐに削除する暗号化クラウド「Private Cloud Compute」に回す仕組みです。
さらに7月10日には、AppleがOpenAIを企業秘密の窃取で提訴したことも明らかになりました。
ハードウェア事業に参入したOpenAIとの関係が悪化した末の訴訟で、Appleが「モデルの性能」ではなく「製品体験と情報の防衛」に軸足を置いていることをうかがわせる出来事です。

Googleはなぜ全力でモデル競争に乗らないのか

Googleも独自にGeminiを開発してはいますが、力の入れ方はOpenAIやAnthropicとやや異なります。
2026年5月19日のGoogle I/Oでは最新モデル「Gemini 3.5 Flash」を発表した一方、後継の「Gemini 3.5 Pro」は6月末の予定から7月へと延期されました。

Googleが本当に力を入れているのは、既存サービスへの組み込みのようです。
Google Workspaceでは提案書作成の時間が平均4時間から1.2時間に短縮されたという企業の報告例もあり、モデル単体の性能競争よりも「すでに何億人も使っているサービスをどう賢くするか」に軸足を置いていることがうかがえます。

OpenAIとAnthropicの「戦争」はどれほどの規模なのか

一方、OpenAIとAnthropicの投資規模は桁が違います。
Anthropicは2026年2月に300億ドル(約4.5兆円)を調達して評価額3800億ドルに到達し、その後さらに評価額9000億ドル超を目指す新規調達も進めていると報じられています。
計算資源の確保も熾烈で、AmazonのAWSと5ギガワット規模の契約を結び、GoogleのTPU(AI専用の演算チップ)も別途3.5ギガワット分を押さえたとされています。
2026年4月時点の年間経常収益はAnthropicが300億ドルでOpenAIを上回ったとも報じられました。

両社ともIPO(新規株式公開)に向けて動いていますが、その計画は簡単には進んでいません。

Anthropic IPO postponed to 2027. OpenAI IPO postponed to 2027.(アンソロピックのIPOは2027年に延期。
OpenAIのIPOも2027年に延期)

こうした巨額投資の裏側で、AIバブルが2026年に崩壊しかねないと警鐘を鳴らすエコノミストもいます
学習データの枯渇、GPUや電力といった計算資源の逼迫、データセンター投資の重さが重なる「三重苦」も指摘されており、フロンティアモデル開発競争が誰にとっても勝算のある戦いとは言い切れない状況が見えてきます。

Shiritomo編集部の考察

今回の投稿がここまで伸びた背景には、SNS上で「堅実さ」を評価する空気が強まっていることがあると考えられます。
巨額の資金調達やIPOのニュースが出るたびに、その規模の大きさそのものが警戒感を呼び、対照的に「無理をしていない」企業への好感が相対的に高まる構図です。
企業アカウントの運用を考えるなら、派手な投資額を誇示するより、既存ユーザーの体験がどう良くなったかを具体的に語る発信の方が、いまのXでは共感を得やすいと言えそうです。
数字の大きさよりも、実感できる変化を見せる。
この投稿がバズった理由は、そこに集約されているように思います。

まとめ

AppleとGoogleは最先端モデルの開発競争そのものからは距離を置きつつ、既存の製品やサービスにAIを溶け込ませる道を選んでいます。
その堅実さが、巨額投資とバブル懸念が渦巻くOpenAI・Anthropicの動きと対比され、多くの共感を集めた一件でした。

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