我々は宇宙人、興収2億円で全93館に拡大――30歳監督が「アニメ最高賞」最年少受賞
公開から15日で、興行収入2億円、動員12万人。
そして10月17日、スペインでの授賞式で、もう一つの数字が加わりました。
日本人監督として史上最年少、30歳です。
アニメーション映画『我々は宇宙人』が、世界三大ファンタスティック映画祭のひとつに数えられる第59回シッチェス・カタロニア国際映画祭で、最優秀長編アニメーション映画賞を受賞しました。
9月25日にわずか72館で始まった公開は、口コミと受賞の知らせが重なるたびに規模を広げ、今は全国93館にまで届いています。
数字と賞の両方が同時に伸びていく映画というのは、実はそう多くありません。
何がこの広がりを後押ししているのか、追ってみました。
先に結論をまとめると:
– 公開15日で興収2億円・動員12万人を突破し、10月16日から21館増え全国93館に拡大上映中
– シッチェス映画祭で最優秀長編アニメーション映画賞を受賞。
カンヌ・アヌシー・オタワに続く4つ目の国際映画祭での評価
– 一部シーンに実写撮影を元に描く「ロトスコープ」技法を採用し、平成生まれ世代の子ども時代を描いた門脇康平監督の初長編アニメ
何が起きたのか
受賞の知らせは、公式アカウントからの投稿で広まりました。
👽映画『我々は宇宙人』公式👽
🏆世界的快挙!シッチェス国際映画祭 最優秀賞受賞🏆
世界三大ファンタスティック映画祭のひとつ、第59回シッチェス・カタロニア国際映画祭にて、映画『我々は宇宙人』が最優秀長編アニメーション賞を受賞しました!
🏆日本作品として6年ぶりの快挙!
👽映画『我々は宇宙人』公式👽
— 映画『我々は宇宙人』公式 (@wearealiens0925) 2026年10月17日
🏆世界的快挙!シッチェス国際映画祭 最優秀賞受賞🏆
世界三大ファンタスティック映画祭のひとつ、第59回シッチェス・カタロニア国際映画祭にて、映画『我々は宇宙人』が最優秀長編アニメーション賞を受賞しました!
🏆日本作品として6年ぶりの快挙!… pic.twitter.com/TYxduxNJSp
スペイン・シッチェスで10月8日から18日にかけて開催されるこの映画祭は、ホラーやファンタジー、アニメーションを対象にした歴史ある映画祭です。
そのアニメーション部門「Anima’t」での最優秀賞は、日本人監督としては史上最年少での受賞だったといいます。
ただ、この映画が評価されたのは今回が初めてではありません。
そこで、ここまでの歩みを一次情報で確かめてみました。
調べて分かったこと
なぜ72館から全国93館まで広がったのか?
本作は門脇康平監督が29歳のときに企画・脚本・監督を手がけた初長編アニメーションです。
9月25日、全国72館という決して大規模とはいえない体制で公開がスタートしました。
ところが公開15日で興行収入2億円、観客動員12万人を突破。
この勢いを受けて、10月16日からさらに21館が追加され、全国93館での上映になりました。
監督自身もXで感謝を伝えています。
昨日から21館増えまして全93館で上映されるようになりました。
ここまで導いて下さった我々は宇宙人のファンの皆様に心から感謝します。
この作品は映画館でやっぱり観てもらいたいと言う強い想いでつくった作品です。
どうか長く劇場でかかりますように。
引き続き応援宜しくお願い致します!
昨日から21館増えまして全93館で上映されるようになりました。ここまで導いて下さった我々は宇宙人のファンの皆様に心から感謝します。この作品は映画館でやっぱり観てもらいたいと言う強い想いでつくった作品です。どうか長く劇場でかかりますように。引き続き応援宜しくお願い致します! https://t.co/eJsEHMc4O4
— 門脇康平 KOHEI KADOWAKI (@KadowakiKouhei) 2026年10月16日
派手な宣伝を打っての拡大ではなく、観客の反応を受けての後追い拡大という点が、この作品らしいところです。
受賞はこれが初めてではない?
シッチェスでの受賞に先立ち、本作はすでに複数の国際映画祭で評価を受けていました。
第79回カンヌ国際映画祭の監督週間に正式出品され、ワールドプレミアを迎えたのが最初です。
続くアヌシー国際アニメーション映画祭2026では、長編コンペティション部門に選ばれた唯一の日本作品として、満席925人の観客の前で上映されました。
さらにカナダのオタワ国際アニメーション映画祭では長編部門グランプリを獲得しており、今回のシッチェスでの受賞は、わずか数カ月のうちに重なった4つ目の国際的な評価になります。
小規模公開のインディーズ作品が、国内の興行拡大と海外の映画祭評価を同時並行で積み重ねていくのは、珍しい広がり方だと言えるでしょう。
ロトスコープって何?
本作の魅力を語るうえで欠かせないのが、作画の手法です。
公式アカウントは制作過程の一端をこう明かしています。
👽映画『我々は宇宙人』公式👽
\実写撮影からアニメーションが生まれるまで/
映画『我々は宇宙人』では、リアルで緻密なアニメーション表現を追求するため、一部のシーンで実際に実写撮影を行い、その映像をもとに作画を進めています。
👽映画『我々は宇宙人』公式👽
— 映画『我々は宇宙人』公式 (@wearealiens0925) 2026年10月13日
\実写撮影からアニメーションが生まれるまで/
映画『我々は宇宙人』では、リアルで緻密なアニメーション表現を追求するため、一部のシーンで実際に実写撮影を行い、その映像をもとに作画を進めています。… pic.twitter.com/7afPeOSXIY
これは「ロトスコープ」と呼ばれる技法で、実写映像をなぞるようにアニメーションを描くことで、人物の動きにリアルな重みを持たせる手法です。
本作は坂東龍汰さん・岡山天音さんのW主演に加え、山﨑天さん(櫻坂46)、音楽アーティストのadieuさんが声優として参加し、平成生まれ世代の子ども時代を描いています。
あるファンは「気持ち全く離れず」「凄まじかった」と投稿しており、この作画へのこだわりと無関係ではなさそうです。
Shiritomo ANIME編集部の考察
この映画の広がり方は、今のアニメ映画の宣伝が辿れるひとつのルートを示しているように見えます。
大手配給の全国一斉公開ではなく、小規模公開からスタートし、観客の反応と海外映画祭での評価を交互に積み重ねながら上映館を広げていくやり方です。
カンヌでのワールドプレミアという「海外での一次評価」が先に立ち、それが国内の観客動員を後押しし、動員の数字がまた次の映画祭招待や受賞につながる。
一つの成功が次の成功の根拠になる循環が、公開から1カ月足らずの間に何度も回っています。
地上波での大々的な宣伝キャンペーンがなくても、監督自身が制作過程やお礼の言葉をXで発信し続けていることも、ファンとの距離の近さを保つ要因になっているのではないでしょうか。
まとめ
72館からの小規模公開で始まった『我々は宇宙人』は、興収2億円の突破と拡大上映、そしてシッチェス映画祭での最優秀賞受賞がほぼ同時に重なり、公開1カ月足らずで評価と規模の両方を広げています。

