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魔法の星図、東京国際映画祭史上初のアニメコンペ選出――10年がかりの木版画アニメ

Shiritomo編集部 @shiritomoAI_jp 2026年11月2日 更新
魔法の星図、東京国際映画祭史上初のアニメコンペ選出――10年がかりの木版画アニメ

完成までに10年かかりました。
使った木版画を売っては資金に換え、また彫り進める――そんな制作を続けてきたのが、中国出身のアーティスト、スン・シュンさんです。
その長編アニメーション『魔法の星図』が、東京国際映画祭のコンペティション部門に出品されています。

第39回東京国際映画祭は10月26日に開幕し、11月4日まで開催中です。
プログラミング・ディレクターの市山尚三さんによれば、同映画祭のコンペティションにアニメーション作品が選ばれるのは、今回が初めてだといいます。

劇場アニメや配信アニメとは縁遠い「映画祭のコンペティション」という場に、アニメーションがどうやって割って入ったのか――その背景を見ていきます。

先に結論をまとめると:
– 『魔法の星図』が第39回東京国際映画祭のコンペティション部門に出品され、同映画祭史上初めてアニメーション作品が選ばれました
– 監督は中国出身のアーティスト、スン・シュンさんで、完成までに10年を費やしています
– 木版画と手描き、デジタル処理を組み合わせた独自の手法で作られた作品です

映画祭史上初、アニメがコンペ入りした背景

第39回東京国際映画祭は、2026年10月26日に開幕し、11月4日まで開催されています。
その中のコンペティション部門に出品されたのが、中国出身のアーティスト、スン・シュン(孫遜)さんが監督・脚本・プロデュースを手がけた長編アニメーション『魔法の星図』です。

同映画祭でプログラミング・ディレクターを務める市山尚三さんは、同映画祭のコンペティション部門でアニメーション作品が上映されるのは今回が初めてだと述べています。
実写映画が主流を占めてきたコンペティションの枠に、アニメーション作品が加わったこと自体が、今回の映画祭における出来事のひとつです。

ただ、「初めて選ばれた」という事実だけでは、この作品がどういうものなのかは伝わりません。
実際にどんな物語で、なぜ10年もの制作期間を要したのか、もう少し踏み込んで調べてみました。

調べて分かったこと

どんな物語なのか?

『魔法の星図』は、炭鉱によって発展した架空の帝国を舞台にした物語です。
帝国の支配に異を唱えて逮捕された魔術師が、獄中で出会った孤児の少年に不思議な書物を託します。
少年はその書物を手がかりに、帝国の支配の下に隠されてきた人々の記憶へと踏み込んでいきます。
上映時間は85分、製作国はシンガポールです。

なぜ完成に10年もかかったのか?

本作は、手描き・木版画・デジタル処理を組み合わせた独自の技法で作られています。
監督のスン・シュンさんは、制作に使った木版画の作品そのものを売ることで資金を得ながら、10年かけて本作を完成させました。
大規模なスタジオ体制で分業するのではなく、版画家としての活動と並行しながら、一枚ずつ手作業で木を彫っては動かしていく手法が取られています。

なぜ日本の楽曲が使われているのか?

本作では中華圏の著名な音楽家の楽曲に加え、日本のシンガーソングライター・三上寛さんの楽曲も使用されています。
スン・シュンさんは、その理由について戦後の日本の映画や美術への憧れを挙げています。
中国出身の監督が、戦後日本の文化的な記憶を自作に取り込んでいる点も、本作のユニークな特徴のひとつです。

実際に上映を見た人の投稿では、この映画と美術の境界を踏み越えるような作風に触れたものがありました。

投稿では「日本のアニメだとIPの世界観に美術史を従えるのに対し、本作は美術史に物語を付与しようとしている」と評されています。
物語を出発点にするのではなく、美術表現を起点に組み立てていくという、本作ならではのアプローチに触れたコメントです。

Shiritomo ANIME編集部の考察

国内でアニメといえば、原作IPを軸にした商業作品がまず思い浮かびます。
しかし『魔法の星図』が映画祭のメインコンペティションに選ばれた意味は、むしろその逆にあります。
スタジオ体制を離れ、監督自身が版画を売りながら10年かけて1本の作品を完成させるという制作スタイルは、日本の商業アニメの作り方とは対極にあるものです。
それでも日本のシンガーソングライターの楽曲を選び、戦後日本文化への憧れを公言している点に、国境を越えたアニメーション表現への接続点が見えます。
東京国際映画祭がこうした作品をコンペティションに迎えたことは、アニメーションを「映画」という大きな枠組みの中でどう評価していくかという、業界全体への問いかけでもあるのではないでしょうか。

まとめ

10年をかけて1人のアーティストが作り上げた『魔法の星図』は、東京国際映画祭のコンペティション部門に初めて選ばれたアニメーション作品として、新たな記録を刻みました。
日本公開の予定はまだ明らかになっていませんが、今後の展開に注目です。

さらに深掘りしたい方へ

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より詳しい情報は映画祭の公式情報や各メディアの記事でも確認できます。

第39回東京国際映画祭 公式サイト

完成まで10年、映画と美術の境界を超えた壮大なアニメーション「魔法の星図」|映画.com