「大大大挑戦」と本人も驚く──『はたらく細胞』はなぜ歌舞伎になったのか、新ジャンル”スクランブル歌舞伎”の中身
「大大大挑戦」。
俳優の石川凌雅さんは、自身のX投稿にそう書きました。
歌舞伎の舞台に立つのはこれが初めてだといいます。
その舞台の題材になったのが、体内の細胞たちを擬人化して描く人気漫画『はたらく細胞』です。
累計1100万部を超える作品が、2027年4月に東京・新橋演舞場で歌舞伎化されると発表されました。
しかも「歌舞伎」と一言でくくれない、これまでにない枠組みでの上演だといいます。
何が起きているのか調べました。
先に結論をまとめると:
– 『はたらく細胞』が”スクランブル歌舞伎”として2027年4月に新橋演舞場で上演決定
– 白血球(好中球)役に片岡愛之助、脚本・演出は横内謙介が担当
– 歌舞伎俳優と多彩なジャンルの出演者が組む、新ジャンル立ち上げの第一弾企画

Xで広がった上演決定の話題
発表があったのは8月15日。
原作の公式アカウントや出演者たちが一斉に投稿し、それぞれの投稿に1,000件を超えるいいねが集まりました。
中でも作品の展開を端的にまとめたのが、演劇専門メディアの投稿です。
スクランブル歌舞伎「はたらく細胞」2027年4月に上演決定!
— ステージナタリー (@stage_natalie) 2026年8月14日
⚪️白血球役に片岡愛之助
中村壱太郎、市川中車、関口メンディー、石川凌雅が出演
▼コメントありhttps://t.co/DECu6duNLq pic.twitter.com/oZnxXApVqW
白血球役に片岡愛之助、共演に中村壱太郎・市川中車・関口メンディー・石川凌雅——歌舞伎の家に生まれた俳優と、ダンサーや俳優として活動してきた面々が並ぶ顔ぶれです。
この組み合わせだけでも異色ですが、そもそも「スクランブル歌舞伎」という言葉自体が聞き慣れません。
ここから、企画の中身を確認していきます。
調べて分かったこと
なぜ『はたらく細胞』が選ばれたのか?
原作は清水茜さんによる漫画で、講談社「月刊少年シリウス」で連載されています。
赤血球や白血球、血小板といった体内の細胞たちを人間の姿で描き、体の中で起きている働きをわかりやすく物語化した作品として、すでにアニメ化・実写映画化も経験済みです。
累計発行部数は1100万部を超え、教育現場でも活用されるほど幅広い層に浸透しています。
体内を舞台にした群像劇という構造は、多人数が入り乱れる歌舞伎の様式と相性がよいと見られます。
原作はこれまでにテレビアニメ化・実写映画化を経ており、キャラクターの見た目や関係性はすでに幅広い世代に浸透済みです。
舞台化にあたって新しいファン層をゼロから開拓する必要がない点も、企画を後押しした要素の一つと考えられます。
今回の企画では、原作者の清水茜さんが「日本の伝統芸能である歌舞伎という素晴らしい舞台で上演していただけることになり、大変光栄に思っております」とコメントを寄せています。
“スクランブル歌舞伎”とは何か?
今回の肝は、企画名にもなっている「スクランブル歌舞伎」という新しい枠組みです。
これは歌舞伎俳優だけでなく、ダンサーや俳優など異なるジャンルの表現者が一堂に会し、歌舞伎の様式美とダイナミックな演出に、現代的な物語を交差させる試みだと説明されています。
『はたらく細胞』は、その第一弾に位置づけられました。
歌舞伎初挑戦となる出演者の一人、石川凌雅さんは投稿でこう心境を明かしています。
【出演情報】
— 石川凌雅 (@ryoga_ishikawa) 2026年8月15日
スクランブル歌舞伎『はたらく細胞』に出演いたします
そして今回、日本の文化である歌舞伎の世界に大大大挑戦でございます!
歌舞伎が大好きな方、
初めて歌舞伎に触れる方、
世界中の日本が大好きな方、
この作品があらゆる人にとって様々なキッカケになりますように!… https://t.co/TZiVsZfnWB
「歌舞伎が大好きな方、初めて歌舞伎に触れる方」に向けたメッセージからもわかる通り、この企画は既存の歌舞伎ファンだけを対象にしていません。
原作漫画のファン層を、新たに歌舞伎という伝統芸能へ橋渡しする狙いを持っているようです。
脚本・演出を務める横内謙介さんは、現代劇と歌舞伎の様式を組み合わせる作品を数多く手がけてきた演出家で、体内の細胞たちの活躍をどう舞台化するかが上演の見どころになりそうです。
Shiritomo ANIME編集部の考察:舞台化の”次の一手”としての歌舞伎
漫画やアニメの舞台化といえば、これまで2.5次元ミュージカルが主流の受け皿でした。
今回の『はたらく細胞』が選んだのは、その先にある伝統芸能・歌舞伎という土俵です。
「スクランブル歌舞伎」という新ジャンルを名乗ってまで挑むのは、原作ファンを新規の歌舞伎観客として取り込みたいという狙いがあるからでしょう。
歌舞伎自体の観客層を広げたいという業界側の課題とも一致した結果と見られます。
これまでも新橋演舞場では『ワンピース』などの人気漫画・アニメを題材にしたスーパー歌舞伎が上演されてきました。
今回はダンサーや俳優自身が歌舞伎の舞台に立つという点で、一歩踏み込んだ形です。
体内の細胞という「誰の中にもいる」普遍的なキャラクターを題材に選んだことも、幅広い世代を劇場に呼び込む上で効果的な選択といえるでしょう。
アニメですでに親しまれた作品が、今度は舞台という別の入り口からファンダムを広げていく動きとして、今後の展開が注目されます。
まとめ
『はたらく細胞』は2027年4月、新橋演舞場で”スクランブル歌舞伎”として上演されます。
白血球役の片岡愛之助を中心に、歌舞伎俳優と異ジャンルの出演者が組む新しい試みであり、原作ファンと歌舞伎ファンの双方を巻き込む企画として動き出しました。
さらに深掘りしたい方へ
公演の詳細や今後のチケット情報は、松竹の公演情報ページで随時更新される見込みです。
原作漫画『はたらく細胞』は講談社「月刊少年シリウス」で連載中です。