カシオF-91W、英国陸軍が新兵全員に配布——1989年発売の2,200円腕時計が選ばれた理由
新兵に届くウェルカムパックの中身は、入隊を歓迎する手紙とノート、ペン、そして腕時計1本です。
その腕時計が、スマートウォッチでもGPSウォッチでもなく、1989年発売の「カシオF-91W」だと知ると、意外に思う人もいるかもしれません。
英国陸軍が2026年6月から始めたこの取り組みは、入隊前の費用負担を減らす狙いがあるそうです。
時計選びに迷っている人にとっても、「安くて壊れにくい」という選び方の一つの答えになりそうな話です。
先に結論をまとめると:
– 英国陸軍が2026年6月から、正規新兵全員に「カシオF-91W」(英国内価格約20ポンド)を配布している
– これまでに2,900個を配布済みで、2027年末まで続ける方針
– 狙いは訓練前の準備を整え、入隊にかかる費用と不確実性を減らすこと
何が起きたのか
英国の防衛ジャーナリスト、ジェームズ・ワートン氏がXでこの取り組みを報じました。
Excl. The British Army has begun sending 'welcome packs' to new recruits ahead of starting Phase One training.
— James Wharton (@jameswharton) 2026年9月10日
The pack includes a welcome letter from the Head of Recruiting, a notebook and pen, and a Casio watch – worth £20. So far, 2,900 packs have been sent. pic.twitter.com/0RnhVWOS4k
投稿によると、対象は予備兵や士官候補生を除く、正規兵として入隊する新兵のみです。
パックには入隊を歓迎する手紙、ノート、ペンに加えて、約20ポンド(日本円で4,000円程度)のカシオの腕時計が入っています。
英国陸軍の広報担当者は、この取り組みについて「新兵が訓練に向けて適切に準備し、入隊に伴う費用と不確実性を減らすための簡単な方法」と説明しているそうです。
パイロット的な試みではなく、通常の調達プロセスを通じて2027年末までに入隊するすべての新兵分の数量を確保済みだということです。
ただ、数ある時計の中から、なぜこの「F-91W」が選ばれたのでしょうか。
調べてみました。
調べて分かったこと
なぜ「F-91W」が選ばれたのか?
カシオF-91Wは1989年に発売されたデジタル腕時計です。
ケースサイズは38.2×35.2×8.5mmで重さは21g、ウレタン樹脂製の軽いケースを採用しています。
日常生活用防水に対応し、ストップウォッチ(1/100秒計測・60分計・スプリット機能付き)とアラーム機能を搭載、電池寿命は約7年と長めです。
発売から35年以上、ほぼ同じ設計のまま販売が続いているという事実こそが、この時計の実用性を物語っているといえるでしょう。
訓練中は腕を使う動作が多く、画面が割れたり電池が切れたりしやすい高機能なスマートウォッチには不向きな場面もあります。
壊れても安く買い替えられるシンプルな時計のほうが現場に向いているという判断は理解しやすいものです。
実際、英国陸軍に限らず世界各地の軍や現場仕事で、同じ理由からF-91Wのような安価なデジタル時計が選ばれてきた歴史があります。
日本で買うといくら、どこで買えるのか?
同じF-91Wシリーズは、日本でも購入できます。
カシオ公式サイトでの価格は2,200円程度(2026年8月時点)で、家電量販店やオンラインショップではさらに安く手に入ることもあります。
Google広告のキーワードプランナーによると、2026年8月時点で「カシオF91W」は直近月で6,600件、12カ月平均で14,800件検索されています。
発売から35年以上経った今でも一定の検索需要が続いていることがうかがえます。
Shiritomo GADGET編集部の考察
スマートウォッチが当たり前になった今、「安くて壊れにくい」という評価軸はむしろ珍しくなっています。
多機能化が進むほど、充電や画面割れといった新しい弱点も増えていくものです。
英国陸軍の採用は、個人の購買ではなく組織の調達という形で、その価値があらためて見直された例だといえるでしょう。
注目したいのは、これが「安いから選ばれた」というだけの話ではない点です。
約20ポンドという価格は、訓練を始める前の新兵にとって負担にならない範囲に収まっています。
同時に、電池寿命7年・防水・耐久性という基本性能は、訓練環境でも壊れにくいという裏付けになっています。
価格と信頼性のバランスが評価されたからこそ、組織全体での採用という決定につながったのではないでしょうか。
他の公共機関や企業が、同じ理由からシンプルな実用品を選ぶ動きが広がるかどうかも、今後注目したい点です。
まとめ
英国陸軍が新兵全員に配ったのは、最新機能ではなく35年変わらない実用性でした。
安さと壊れにくさという評価軸は、スマートウォッチ全盛の今だからこそ、あらためて価値を持つのかもしれません。
この記事で取り上げた製品
カシオ F-91W
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