支援額1,598万円を集めたVR顔トラッカー「FocusRay」、いざ届くと相次いだ不満の中身
クラウドファンディングでの目標達成率は399%。
支援者は1,134人、総支援額は1,598万円にのぼりました。
そこまで期待を集めた新型デバイスが、実際に支援者の手元に届き始めると、期待とは違う反応が目立つようになっています。
VRChatなどのVR空間で自分の表情をアバターに反映させる「顔トラッキングデバイス」。
その最新製品「FocusRay」が、まさにこの状況にあります。
資金調達は大成功だったのに、なぜ実機に不満の声が上がっているのか。
VRSNS(VR上のソーシャルサービス)を日常的に使うユーザーにとっても人ごとではない話なので、詳しく調べてみました。
先に結論をまとめると:
– VR向け顔トラッキングデバイス「FocusRay」がKickstarterで達成率399%・支援額1,598万円を集めたのち、出荷が始まった
– 先行出荷された有線モデルの一部で、IRLED(赤外線)の光量不足や本体の作りの甘さを指摘する声があるとみられる
– 開発元のAoharuNEXTは無線モデルで設計変更を実施済みだが、有線モデルの品質改善は現時点で明言されていない
VRChatで「FocusRay」の何が話題になっているのか
FocusRayは、株式会社AoharuNEXTが開発したVRSNS向けの顔トラッキングデバイスです。
120fpsで撮影できるグローバルシャッターカメラと赤外線(IR)照射モジュールを搭載し、口元の動きを細かく検知してVRChat・Resonite・ChilloutVRなどのアバターに反映させます。
重さはわずか38.5gと軽量で、Meta QuestシリーズやPICO、Valve Indexなど幅広いVRヘッドセットに取り付けられるのが特徴です。
2026年3月18日から5月12日まで実施されたKickstarterキャンペーンでは、開始からわずか3時間で目標金額を達成する人気ぶりでした。
開発元のAoharuNEXTは、キャンペーン終了時にこの結果を自社アカウントで報告しています。
/
— 株式会社AoharuNEXT (@aoharunext_inc) 2026年5月12日
📢VRSNS向けフェイストラッキングデバイス「FocusRay」Kickstarterキャンペーンが達成率399%、総支援額1,598万円を達成で終了
\… pic.twitter.com/P7HSkZQu5f
ここまでは順調な立ち上がりに見えます。
ですが、8月から先行出荷が始まった有線モデルが支援者のもとに届き始めると、VRChatコミュニティの反応は少し違う方向に動き始めました。
なぜ「品質」が問題視されているのか
出荷された有線モデルについて、X上ではIR照射がうまく機能しない、本体の作りが期待していたほど良くない、といった声が一部で見られるようです。
同じくVRSNS向けの顔トラッキングを実現する別プロジェクト「Paper Tracker」と比較して見劣りするという指摘も出ているようです。
開発元は問題を把握しているのか?
実はAoharuNEXT自身も、無線モデルについてはKickstarterの更新情報で設計上の課題を認めています。
IRLEDの光量不足、筐体設計への負荷、Type-Cコネクタ周りの耐久性、そして高負荷時の排熱といった項目です。
これを受けて、本体重量を約10.5g増やし、サイズを最大4.5mm拡張、バッテリー容量を500mAhから1000mAhへ引き上げるなど、無線モデルには複数の設計変更が加えられました。
つまり、開発元は無線モデルについては問題を認識し対応済みです。
一方で、今回不満の声が集まっているのは先行出荷された有線モデルであり、この点について同様の改善が行われるかどうかは現時点で公式にアナウンスされていません。
しかも開発元は今、無線モデルの出荷と並行して、視力補正レンズと併用できる新製品「FocusRay Extension」の発売準備も進めています。
/
— 株式会社AoharuNEXT (@aoharunext_inc) 2026年4月12日
📢VRSNS向けアイトラッキングデバイス「FocusRay Extension」を2026年10月17日に世界同時発売
\
株式会社AoharuNEXTは、様々な視力補正レンズなどと併用可能な、VRSNS向けアイトラッキングデバイス「FocusRay… pic.twitter.com/ynfounxdK1
2026年10月17日発売予定・税込17,700円というこの新製品の告知を見る限り、開発元のリソースは複数のプロジェクトに分散しており、有線モデルの品質改善にまで手が回りきっていない可能性がありそうです。
Shiritomo GADGET編集部の考察:クラウドファンディングは「量産の壁」を隠してしまう
クラウドファンディングの達成率や支援総額は、あくまで「欲しい人がどれだけいたか」を示す数字であって、「作られたものの品質」を保証するものではありません。
FocusRayのように開始3時間で目標を達成するほどの熱量があっても、実際に量産・出荷の段階に入って初めて表面化する設計上の弱点は珍しくないのです。
今回のケースで注目すべきは、開発元が無線モデルについては設計変更という形で明確に対応している点です。
つまり、フィードバックを受けて改善する姿勢自体はあります。
ただし有線モデルの扱いが宙に浮いたままだと、「先に届いた人ほど損をする」という構図が生まれかねません。
クラウドファンディング発の製品を検討する際は、達成率の高さだけでなく、出荷後のアップデート対応がどこまで速いかも合わせて見ておくと、期待外れを避けやすくなるはずです。
まとめ
VR空間での表情表現を大きく広げるはずだったFocusRayですが、先行出荷された有線モデルには品質面での不満の声も一部で見られます。
無線モデルではすでに設計変更が行われており、開発元の対応力自体は評価できる一方、有線モデルの今後の扱いには注目が必要です。
