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「ザ・AI小説」——1段落目で見抜かれるクセ、投稿者は検出スキルまで自作していた

Shiritomo編集部 @shiritomoAI_jp 2026年9月4日 更新
「ザ・AI小説」——1段落目で見抜かれるクセ、投稿者は検出スキルまで自作していた

「疲れているのか、それともカフェオレそのものがそういうものなのか、最近はよくわからなくなっている」——冷めたカフェオレを一口飲んだだけの場面に、そんな一文が続きます。
X上で「ザ・AI小説」の実例として紹介されていたこの一節、生成AIに文章を書かせたことがある人なら、どこかで見覚えがあるかもしれません。

Web小説の投稿サイトで生成AIを使う・使わないに関わらず、SNSやブログの文章づくりでAIの下書きを使っている人にとっても他人事ではないクセです。
今回はこのパターンが何と呼ばれ、どう見分けられているのか、そして投稿サイト側がAI小説をどう扱おうとしているのかを調べました。

先に結論をまとめると:
– 行動描写のあとに内面を無駄に掘り下げ「わからない」で着地する書き方が「ザ・AI小説」「Over-Explained Interior」と名付けられ、Xで広く共有された
– この症状を指摘した投稿者は、以前からGPTに作らせた「AIスロップ表現検出スキル」で同じパターンをラベリングしていたと明かしている
– カクヨム・なろうともに2026年にAI利用の表示ルールを整備しており、書き手側は「使ったかどうか」を明示する義務・推奨が強まっている

Xで広まった「ザ・AI小説」というあだ名

きっかけになったのは、なろうファンデータベースを運営する「新大宮」氏の投稿でした。

投稿では、ある文章の一節を引きながら「1段落目から分かりやすく『ザ・AI小説』だなって思いました」とした上で、行動や表情を描写したあとに無駄にその描写を掘り下げて説明し、結局「分からない」に着地しがちな書き方を指摘しています。
新大宮氏によれば、この症状は「Over-Explained Interior(説明過多の内面描写)」として、以前同氏がGPTに作らせた「AIスロップ表現検出スキル」ですでにラベリングされているパターンだといいます。
つまり、感覚的な「AIっぽさ」ではなく、ある程度パターン化・言語化された基準として認識され始めているということです。
この投稿には500件近い引用が集まり、Web小説を読む人・書く人の双方から反応が相次ぎました。
ただ、これだけでは「なぜ今このパターンが話題になったのか」という背景までは見えてきません。
そこで、Web小説の投稿サイトで何が起きているのかを調べてみました。

調べて分かったこと

「説明過多の内面描写」はなぜAIに起きやすいのか

指摘されている症状は、行動や表情を描写したあと、その意味を登場人物自身に延々と自問させ、最終的に「わからない」で締めるという型です。
一つの感情や状況に対して複数の解釈候補を律儀に並べてから結論を保留する書き方は、生成AIの文章でたびたび指摘されてきた特徴で、読者の想像に委ねる「余白」を残さず、説明を尽くしてしまう点が「AIらしさ」として認識されやすいようです。
ただし、この傾向がなぜ生成AIの出力に生じやすいのかについて、技術的な仕組みが公式に説明されているわけではなく、あくまで読み手側の経験則としてパターン化されている段階だといえそうです。

今回の話題はどこから来たのか

Web小説投稿サイトでのAI生成作品をめぐる摩擦は、今回が初めてではありません。
2025年7月には、カクヨムでAI生成とみられる作品が日間総合ランキング1位を獲得したことをきっかけに、いわゆる「カクヨムAI小説騒動」が起きています。
当時問題視されたのは作品の質そのものより投稿量で、ある投稿者は38作品を1日に複数回更新し、別の投稿者は約120作品を毎日更新していたと報告されました。
月額数万円の高性能AIツールを使い、1日10時間作業しても時給換算で800円程度だったという例も伝えられており、大量投稿によって新人作家の露出機会が奪われることへの懸念も広がりました。
今回の「ザ・AI小説」という呼び名の広がりは、こうした経緯を経て、読者側が生成AI特有の文体的な「クセ」そのものを見分けようとする動きの延長線上にあるといえそうです。

カクヨム・なろうはAI小説をどう扱おうとしているのか

投稿サイト側の対応も動いています。
カクヨムは2026年5月27日に投稿ガイドラインを一部変更し、生成AIの使用状況に応じたタグ付けを推奨する仕組みを導入しました。
本文の50%以上をAIが生成した場合の「AI本文利用」、50%未満の「AI本文一部利用」、アイデア出しや校正など補助的な利用にとどまる「AI補助利用」の3種類で、現時点では推奨であり必須ではないとされています。

一方、小説家になろうはより厳格な方針を取っています。
AI利用状況の申告を必須化し、2026年9月1日を期限に、作品ごとに利用状況を4区分から選んで設定するよう求めています。
本文執筆や物語構成の主要部分をAIが担った作品は、一部の公募・コンテストで応募対象外とする運用も始まっているようです。
同じ「AI小説」というくくりでも、カクヨムは自己申告を促す緩やかな運用、なろうは申告を義務づけ全文AI生成には厳しい線引きをする運用と、サイトごとに温度差があるのが現状です。

Shiritomo編集部の考察:見分けられる「クセ」は消せる

今回の話題で興味深いのは、「AIらしさ」が感覚の話ではなく、検出スキルという形でパターン化・可視化され始めている点です。
SNSの文章づくりでAIの下書きを使う場面でも、同じ「行動描写→内面の掘り下げ→わからないで着地」という型は起きがちで、投稿前に見直すだけで避けられるクセでもあります。
AI生成コンテンツを見分ける動きは、画像領域では既に定着していますが、文章領域でも「型」として言語化・共有され始めている段階だといえそうです。
AI活用を前提に発信する立場であれば、こうした「見分けられているクセ」を把握しておくこと自体が、今後の文章づくりの実務的な備えになりそうです。
プラットフォーム側の表示ルール整備も進んでいるいま、書き手にとっては「バレるかどうか」よりも「読者の余白を奪っていないか」という観点で自分の文章を見直す方が、長い目で見て実用的な指針になるのではないでしょうか。

まとめ

「ザ・AI小説」という呼び名は、生成AIの文章に見られる「説明過多の内面描写」という具体的なクセを指して広がりました。
背景には2025年のカクヨムAI小説騒動以来くすぶってきた摩擦があり、投稿サイト側もカクヨム・なろうそれぞれの形でAI利用の表示ルール整備を進めています。

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